元a16zパンデ氏、AI活用で年5件の集中投資に転身
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スタンフォード大学の化学教授からアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)のバイオ・ヘルスケア投資を率い、運用額を約40億ドル規模に育てたヴィジェイ・パンデ氏が、2025年6月に同社を去り、新たな投資会社VZVCを立ち上げました。長年の投資仲間ザック・ワーナー氏と共同創業した新会社では、年間数十件ではなく年5件程度の厳選した投資に集中する方針を掲げています。
新会社は投資担当がパンデ氏とワーナー氏の2人のみで、当初予定していたアソシエイトの採用も、AIエージェントの活用によって不要になったといいます。パンデ氏は、通常のファンドが新規投資先を追加する感覚を「Facebookで友達を増やすようなもの」と例える一方、自身の投資判断は「もう一人子どもを持つかどうかのような重い決断」と表現し、一件一件に強いこだわりを持って臨む姿勢を示しています。
パンデ氏はAIと創薬の関係についても言及し、テキストと異なり生物データはインターネット上から収集できないため、各企業が独自にデータを囲い込む『壁』が生まれていると指摘します。この構造はオンコロジーと内分泌科の医師同士が連携しにくいような、医療現場の縦割り構造とも似ていると分析。一方で、生物学的データを集約した基盤モデルの構築が進んでおり、オープンソースの基盤モデルが今後、大きな影響力を持つ可能性があるとの見方を示しています。
創薬の最大のボトルネックとされる臨床試験についても、パンデ氏はAIへの期待を語ります。新薬候補が最終段階まで成功する確率は約20%にとどまり、主因はマウスなどの動物実験モデルがヒトの反応を十分に予測できない点にあるといいます。AIモデルは完璧ではないものの動物モデルより精度が高く、ゲノムだけでなくプロテオミクスなど個人差を反映したデータを組み合わせることで、集団平均ではなく個人に最適化した精密医療の実現に近づいていると説明しました。
投資先の見極めについて、パンデ氏は創業者との信頼関係を最も重視すると語ります。誠実で有言実行する人物と、5年から10年、あるいはその先の会社まで長期的に付き合っていきたいと考えており、『他者を出し抜くのではなく、共に勝つ方法』を考えられる創業者を求めているといいます。また、これまでの投資経験から、技術がどれほど優れていても事業の成否を分けるのは市場開拓力であり、科学出身の創業者ほどこの点への意識を高める必要があると助言しています。