詳細を見る
米Microsoft Researchは2025年12月10日、生成AIへの指示(プロンプト)作成を支援する新たなUIフレームワーク「Promptions」を発表しました。ユーザーの入力内容に合わせて動的に操作パネルを生成し、対話の精度と生産性を劇的に向上させる技術です。
従来のAI利用では、意図通りの回答を得るために何度も指示を書き直す「試行錯誤」が大きな課題でした。特に専門的なタスクにおいては、詳細度や役割設定、出力形式などを正確に言語化することに多くの時間を費やし、ユーザーが本来の業務や学習に集中できない状況が生じていました。
Promptionsはこの問題を解決するため、ユーザーの入力文脈を解析し、最適な「調整オプション」を即座に可視化します。例えば数式の解説を求めた際、対象読者のレベルや説明の深さをスライダーやボタンで直感的に選択できるため、長く複雑なテキスト指示を入力する負担から解放されます。
社内の実証実験では、あらかじめ固定された設定項目を使う場合と比較して、動的に生成された選択肢の方がユーザーの心理的負担が少ないことが判明しました。さらに、提示された選択肢が思考の補助線となり、ユーザー自身が気づいていなかった「本当に知りたかった視点」を発見する効果も確認されています。
技術的には、ユーザーと大規模言語モデル(LLM)の間に介在する軽量なミドルウェアとして機能します。開発者は既存のチャットインターフェースにコンポーネントを追加するだけで、文脈に応じた高度な制御機能を容易に実装することが可能です。
本フレームワークはMITライセンスのオープンソースソフトウェアとして、GitHubおよびMicrosoft Foundry Labsですでに公開されています。カスタマーサポートや教育、医療など、正確なコンテキスト制御とユーザー体験の向上が求められる分野での広範な活用が期待されます。