データセンター用ガス発電の排出量、国家規模を超える恐れ

米国の排出実態

11施設で年間1.29億トンのCO2排出可能性
モロッコ一国分を上回る温室効果ガス
xAIのメンフィス施設が住民の抗議を招く
送電網を介さない自家発電方式が急増
Stargate計画関連だけで年2400万トン
Fermiのトランプ冠施設は年4030万トン規模

環境目標との矛盾

Metaのオハイオ3施設で年550万トン排出
4年間の削減実績の10%超を相殺する恐れ
効率的タービンの世界的な不足が問題悪化
天然ガスから原子力への移行時期は不透明
再エネ投資と化石燃料依存の二面性が鮮明に
Googleはオーストリアに持続可能性重視の新施設

業界の今後

2026年初頭で100GWのガス発電が計画段階
2024年初頭の4GWから25倍に急増
ホワイトハウスの電力料金保護誓約は象徴的
上院民主党議員が排出量の説明を要求
Fermi CEOの突然の退任で先行き不透明に
許可取得と実際の建設は別問題
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AI需要の急増に伴い、米国各地でデータセンター専用のガス発電施設の建設が加速しています。WIREDの調査によると、米国内11か所のデータセンター向け天然ガスプロジェクトは、合計で年間1億2900万トン以上の温室効果ガスを排出する可能性があり、これは2024年のモロッコ一国の排出量を上回る規模です。送電網に接続せず自前で発電する「ビハインド・ザ・メーター」方式が、AI企業の間で主流になりつつあります。

排出規模が特に大きいのは、テキサス州アマリロ近郊に建設中のFermiの「ドナルド・J・トランプ先端エネルギー・知能キャンパス」で、年間4030万トン以上のCO2換算排出が見込まれます。OpenAIStargate計画関連では3施設で年間2400万トン超、xAIのメンフィスとサウスヘイブンの2施設は合計で年間約1280万トンに達します。Microsoftがシェブロン系企業から電力購入を検討する西テキサスの施設は、単独でジャマイカ一国を超える年間1150万トンの排出が許可されています。

一方、Googleはオーストリアのクロンストルフに同社初のアルプス地域データセンターを発表しました。太陽光パネル付き緑化屋根、排熱回収システム、地元エンス川の水質改善基金など持続可能性を前面に打ち出しています。100人の直接雇用を創出し、上部オーストリア応用科学大学との人材育成連携も開始します。大手テック企業が環境負荷の大きいガス発電に依存する中、対照的なアプローチです。

気候への影響は深刻です。Metaはオハイオ州の3施設だけで年間最大550万トンを排出する可能性があり、同社が過去4年間で削減したとする2380万トンの10%超を相殺しかねません。エネルギー研究者ジョン・クーメイ氏は、データセンターは一般の発電所と異なり需要変動に応じた出力調整が不要なため、許可上の最大排出量に近い実排出になると指摘しています。さらに高効率タービンの世界的不足が、非効率な機器の使用を余儀なくさせています。

ただし、すべての計画が実現するとは限りません。Fermiは4月にCEOとCFOが相次いで退任し、株価が20%以上急落しました。OpenAIStargate計画の英国展開を一時停止しています。各社は天然ガスを原子力への「橋渡し」と位置づけますが、ガスタービンの廃止時期は明示されていません。2026年初頭時点でビハインド・ザ・メーター方式のガス発電計画は100GWに達しており、2024年初頭の4GWから25倍に膨れ上がっています。研究者マイケル・トーマス氏は「これが10倍になったらどうなるか」と警鐘を鳴らしています。