卒業式でAI推進CEOに怒号、全米に拡大
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2026年の米国卒業シーズンで、AI推進を訴える企業幹部への大規模なブーイングが全米各地の大学で相次いでいます。元Google CEOのエリック・シュミット氏はアリゾナ大学の式典で「ロケットに乗れ」とAI受容を促し、持続的な野次を浴びました。フロリダ州、テネシー州、カリフォルニア州の大学でも同様の抗議が発生し、カリフォルニア芸術大学ではラジャン学長が壇上から追い出される事態に発展しています。
学生の怒りの背景には、数万ドルの学費を投じながら生成AIによって就職先が消滅しつつあるという切実な危機感があります。ジョージ・メイソン大学を卒業したペニー・オリバー氏は「一生働かなくても困らない人間が、自分たちを置き換える技術に乗れと言っている」と憤りを語りました。NYUゲームセンターでMFAを取得したオースティン・バーケット氏も、同級生の一部がAIモデルの訓練という不安定なギグワークに追い込まれている現実を指摘しています。
AI技術そのものへの不信感も怒りを増幅させています。アリゾナ州グレンデール・コミュニティ・カレッジでは、AI名前読み上げシステムが卒業生の半数以上の名前を読めず会場がブーイングに包まれました。また、AI活用で執筆されたノンフィクション書籍にAIが捏造した偽の引用が多数含まれていたとニューヨーク・タイムズが報じています。作家マーガレット・キルジョイ氏は「70%の精度の構造技術者に橋の設計を頼む人はいない」と批判しました。
一方で、この怒りは具体的な社会運動にも結びついています。全米でAIデータセンター建設への反対運動が急拡大しており、ギャラップ調査では米国民の7割が自地域での建設に反対と回答しました。今年提案されたデータセンター計画のほぼ半数が中止または延期に追い込まれています。卒業生たちはSNSでの発散にとどまらず、「集まって行動を起こさなければ変わらない」と組織的な抵抗への転換を模索しています。