マスク氏、SpaceX上場で兆万長者へ 規制回避も加速
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イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの新規株式公開(IPO)が、史上最大規模の約1.25兆〜1.5兆ドルの評価額で迫っています。実現すれば、マスク氏は人類史上初の兆万長者(トリリオネア)となる見通しです。しかしその道筋には、通常の市場ルールからの大幅な逸脱が含まれており、専門家から強い懸念の声が上がっています。
IPOの構造面では、マスク氏はスーパー議決権株式により約85%の議決権を掌握しています。火星に100万人のコロニーを建設するなど達成困難なマイルストーンに紐づく報酬パッケージを設定しつつ、未達成でもその株式の議決権行使や担保借入が可能という異例の仕組みです。さらにNASDAQ-100への組入れ待機期間が通常の90日から15日に短縮され、インデックスファンド経由で事実上すべての個人投資家がSpaceX株を保有することになります。
一方、2022年に買収した旧TwitterであるXは、あらゆる主要指標で縮小が続いています。売上高は買収前の40%未満にとどまり、ユーザー成長も停滞しています。唯一伸びているのはAI企業向けのデータライセンス収入で、xAIのコロッサスデータセンターの一部をAnthropicに月額12.5億ドルで貸し出す契約も結ばれています。Xはまずxに統合され、さらにSpaceXに吸収されるかたちで、事業としての存在感は薄れています。
規制面では、マスク氏はFTC(連邦取引委員会)が課した20年間のデータプライバシー監査命令からの脱却を再び試みています。この命令は買収前のTwitterが二要素認証用の電話番号・メールアドレスをターゲット広告に流用していた問題に起因します。マスク氏による大規模な人員削減でコンプライアンス体制の37%が空白となり、FTCはX社の遵守能力について深刻な疑問を呈しています。
SpaceXのS-1では28兆ドルという史上最大のTAM(総アドレス可能市場)が提示されていますが、その根拠は薄く、専門家からは「信じてくれ」という姿勢だとの批判があります。Starlink事業は年間114億ドルの売上で唯一の黒字部門ですが、AI部門は64億ドルの赤字を計上しており、収益構造の偏りが目立ちます。市場のルール変更とFOMO(取り残される恐怖)に支えられた異例のIPOが、どのような結果をもたらすか注目されます。