教皇レオ14世、AIの倫理統治求める初の回勅を公布
詳細を読む
教皇レオ14世は2026年5月25日、就任後初の回勅「Magnifica Humanitas」を公布しました。4万2000語を超えるこの文書は、AI時代における人間の尊厳の擁護を主題とし、AI兵器の規制、労働者の保護、民主主義の維持、子どもへの影響など幅広い論点を扱っています。教皇は技術の拒絶ではなく「武装解除」を掲げ、AIが権力集中や利益の独占に使われることへの歯止めを求めました。
回勅の提言は具体的です。自動化やAI導入には社会的基準を設け、影響を受ける労働者への再訓練プログラムを整備すること。致死的な武力行使の判断は人間が担うこと。採用やサービスへのアクセスにアルゴリズムを使う場合は透明性と説明責任を確保すること。教皇はこれらを「人類家族への責任ある配慮」と位置づけています。
発表の場にはAI企業Anthropicの共同創業者クリス・オラーが招かれ、スピーチを行いました。オラー氏はAI企業が商業的圧力や地政学的競争にさらされている現状を認め、教会のような外部の倫理的批判者の存在が不可欠だと述べています。さらにAIモデル内部に人間の神経科学と類似する構造や内省の兆候が見つかっていることに触れ、継続的な考察の必要性を訴えました。
TechCrunchの分析記事は、この回勅の本質はAIそのものではなく、不平等や権力集中、民主主義の侵食といったより古くから存在する問題だと指摘しています。教皇は少数のエリートが構築し統治する技術は公共の利益に奉仕できないと論じており、この視座は1891年にレオ13世が産業革命下の労働者保護を説いた回勅「レルム・ノヴァルム」と直接つながるものです。
回勅の公布は、トランプ大統領がAIの安全保障に関する大統領令への署名を延期した直後というタイミングでした。AmazonやMeta、Googleの代表者も回勅公布前にバチカン関係者と面会したと報じられており、テック業界が教会の立場に影響を与えようとする動きも見られます。技術と倫理の対話は始まったばかりです。