🥇 GPT-5、専門業務で人間に迫る性能 OpenAIが新指標発表

運用基盤モデル

OpenAIは9月25日、AIモデルが人間の専門家と比べてどの程度の業務を遂行できるかを測定する新しいベンチマーク「GDPval」を発表しました。最新モデルであるGPT-5が、多くの専門職の業務において人間が作成したものに匹敵する品質に近づいていることが示されました。これは、汎用人工知能(AGI)開発に向け、AIの経済的価値を測る重要な一歩と言えるでしょう。

GDPvalは、米国の国内総生産(GDP)への貢献度が高い9つの主要産業(医療、金融、製造業など)から、44の職種を選定して評価します。例えば、投資銀行家向けのタスクでは、AIと専門家がそれぞれ作成した競合分析レポートを、別の専門家が比較評価します。この「勝率」を全職種で平均し、AIの性能を数値化する仕組みです。

評価の結果、GPT-5の高性能版は、専門家による評価の40.6%で、人間が作成したレポートと同等かそれ以上の品質であると判断されました。これはAIが、調査や報告書作成といった知的生産タスクにおいて、既に専門家レベルの能力を持ち始めていることを示唆します。経営者やリーダーは、こうした業務をAIに任せ、より付加価値の高い仕事に集中できる可能性があります。

興味深いことに、競合であるAnthropic社の「Claude Opus 4.1」は49%という、GPT-5を上回るスコアを記録しました。OpenAIは、この結果について、Claudeが好まれやすいグラフィックを生成する傾向があるためではないかと分析しており、純粋な性能差だけではない可能性を示唆しています。モデルごとの特性を理解し、使い分けることが重要になりそうです。

AIの進化の速さも注目に値します。約15ヶ月前にリリースされたGPT-4oのスコアはわずか13.7%でした。GPT-5がその約3倍のスコアを達成したことは、AIの能力が急速に向上している証左です。この進化のペースが続けば、AIが人間の専門家を超える領域はさらに拡大していくと予想されます。

もちろん、このベンチマークには限界もあります。現在のGDPval-v0はレポート作成という限定的なタスクのみを評価対象としており、実際の専門業務に含まれる多様な対話や複雑なワークフローは反映されていません。OpenAIもこの点を認めており、今後はより包括的なテストを開発する計画です。

従来のAIベンチマークの多くが性能の飽和を迎えつつある中、GDPvalのような実世界でのタスクに基づいた評価指標の重要性は増しています。AIがビジネスに与える経済的インパクトを具体的に測定する試みとして、今後の動向が注目されます。

🥈 Google、思考するロボットAI発表 物理世界で複雑タスク遂行

エージェント基盤モデルマルチモーダル

Google DeepMindは2025年9月25日、ロボットが物理世界で複雑なタスクを自律的に解決するための新AIモデル群「Gemini Robotics 1.5」を発表しました。計画を立てる「思考」モデルと指示を実行する「行動」モデルが連携。Web検索で情報を収集し、多段階のタスクを遂行します。汎用ロボットの実現に向けた大きな一歩となり、一部モデルは開発者向けにAPIが公開されます。

今回の発表の核心は2つのモデルの連携です。「Gemini Robotics-ER 1.5」が脳のように高レベルな計画を担当。Google検索を使い情報を集め、物理環境を理解し行動計画を作成します。単一指示への反応を超え、真の課題解決能力を目指します。

計画モデル「ER 1.5」が立てた計画は、自然言語の指示として行動モデル「Gemini Robotics 1.5」に渡ります。行動モデルは視覚と言語を理解し、指示をロボットの動作に変換。例えば、地域のゴミ分別ルールを調べ、目の前の物を正しく仕分けるといった複雑なタスクを実行します。

新モデルの大きな特徴は、行動前に「思考」する点です。単に指示を動作に変換するだけでなく、内部で自然言語による推論を行います。タスクを小さなステップに分解し、複雑な要求を理解。この思考プロセスは言語で説明可能で、意思決定の透明性向上にも繋がります。

「Gemini Robotics 1.5」は、異なる形状のロボット間での学習転移能力も示しました。例えば、2本腕ロボットで学習したスキルが、人型ロボットでも特別な調整なしに機能します。これにより、新しいロボットへのスキル展開が加速し、知能化と汎用化が大きく進むと期待されます。

Google DeepMindは責任ある開発も重視しています。行動前に安全性を考慮する思考プロセスを組み込み、同社のAI原則に準拠。安全性評価ベンチマーク「ASIMOV」を更新し、新モデルが高い安全性能を示すことを確認しました。物理世界でのAIエージェントの安全な展開を目指します。

思考モデル「Gemini Robotics-ER 1.5」は、Google AI StudioのGemini API経由で開発者向けに提供が開始されました。これにより、物理世界で機能するAIエージェントの構築が促進されます。同社はこれを、物理世界での汎用人工知能(AGI)実現に向けた重要な一歩と位置付けています。

🥉 GoogleのAI、科学的仮説を自ら生成し研究を加速

エージェント導入事例

Googleが開発した「AI Co-Scientist」が、単なる情報検索ツールを超え、新しい科学的仮説を自ら生成する「研究の相棒」となり得ることを示しました。2つの生物医学研究でその能力が実証され、研究開発のプロセスを根本から変える可能性が注目されています。

スタンフォード大学の研究では、有効な治療法が少ない肝線維症の治療薬候補を探すためAIを活用。AIは既存薬の中から3つの候補を提案し、そのうち2つが実験で線維化を抑制し、肝臓再生の兆候さえ示しました。人間が選んだ候補薬では効果が見られませんでした。

インペリアル・カレッジ・ロンドンでは、細菌の進化に関する謎をAIに問いかけました。AIはわずか2日で、研究者らが数年かけて突き止めた未発表のメカニズムと同じ結論を導き出しました。その論理的な思考プロセスは研究者らを驚かせています。

このAIの強みは、科学的推論に特化した設計にあります。OpenAIなどの汎用モデルとは異なり、複数のAIエージェントが仮説の生成、批判、改良、順位付けを繰り返します。外部の文献やツールで情報を補強しながら、より深い思考を行う仕組みです。

Googleは現在、世界中の学術機関と協力し、このシステムのパイロット運用を進めています。スタンフォード大学の「Virtual Lab」など競合も登場しており、AIを科学的発見のエンジンにするための開発競争が激化しています。

一方で、AIは既存の情報を再構成しているだけで、真に独創的な発見はできないとの批判もあります。AIが生成した仮説に過度に依存すれば、人間の創造性や批判的思考が阻害されるリスクも指摘されており、今後の検証が求められます。

AIから価値ある洞察を引き出すには、専門家による巧みな問いかけや対話的なフィードバックが不可欠です。現段階では、AIは専門家の能力を拡張し、思考を補助する優秀なアシスタントと捉えるべきでしょう。

④ OpenAI、新機能Pulse発表 ユーザーを先読みし朝に情報提供

エージェントプロダクティビティ

OpenAIは9月25日、ChatGPTの新機能「Pulse」を発表しました。これはユーザーのチャット履歴や連携アプリの情報を基に、毎朝パーソナライズされた最新情報を能動的に提供する機能です。Proユーザー向けにモバイルアプリで先行公開され、AIが受動的な応答から能動的なアシスタントへと進化する大きな一歩となります。

Pulseは、ユーザーが寝ている間に「非同期リサーチ」を行います。チャット履歴や保存された設定を分析し、関連性が高いと判断したトピックの最新情報を自動で生成。翌朝、視覚的な「カード」形式で5〜10件の概要が届けられ、ユーザーはわざわざ質問せずとも情報を得られます。

より精度の高い提案のため、GmailやGoogleカレンダーとの連携も可能です。例えば、カレンダーの予定に基づいて会議の議題案を作成したり、出張先のレストランを推薦したりします。これらの連携機能は初期設定ではオフになっており、ユーザーが任意で有効にすることで利用できます。

OpenAIが示したデモでは、特定のスポーツチームの試合結果の要約、家族旅行の旅程案、個人の食生活に合わせた夕食メニューの提案などが紹介されました。ユーザーはフィードバックを送ることで、翌日以降の提案内容をさらに自分好みに調整していくことが可能です。

この新機能は、まず月額200ドルのProプラン加入者向けに提供が開始されます。計算資源を大量に消費するため段階的な展開となりますが、将来的には全ユーザーへの提供を目指しています。AIの高度な支援を誰もが利用できるようにするという、OpenAIの目標を反映した動きです。

Pulseの導入は、OpenAIが目指す「AIエージェント」構想の実現に向けた重要なステップです。これまでの受動的なチャットボットから、ユーザーの目標を理解し、先回りして行動を支援する能動的な存在への進化を狙っています。無限スクロールを排した設計も特徴で、ユーザーの生産性を高める意図がうかがえます。

⑤ DatabricksとOpenAI提携、企業AI導入を1億ドルで加速

市場動向導入事例エージェント

データ分析基盤のDatabricksは25日、AI開発のOpenAIと複数年にわたる1億ドル規模の契約を結んだと発表しました。この提携で、DatabricksのプラットフォームにOpenAIの最新AIモデル「GPT-5」などが統合されます。企業が自社データを安全に活用しAIアプリを構築できるようにし、エンタープライズ市場での生成AI導入を加速させる狙いです。

今回の統合で、顧客はDatabricksのAI製品「Agent Bricks」上で自社データに基づくAIアプリやエージェントを構築できます。OpenAIの最新モデルが選択肢に加わり、SQLやAPI経由でアクセス可能です。「GPT-5」は旗艦モデルとして提供される予定で、企業のAI開発の選択肢が大きく広がります。

提携の背景には、生成AIを企業システムに組み込む競争の激化があります。企業は自社の機密データを安全に活用できるAIツールを求めており、今回の提携はこの需要に応えるものです。OpenAIのCOOは「企業の安全なデータがある場所で、我々の最先端モデルを提供する」と述べ、企業のAI活用を支援する姿勢を示しました。

今回の契約でDatabricksはOpenAIに最低1億ドルの支払いを保証します。これは関連収益が目標に達しなくても支払うもので、企業顧客のOpenAIモデルへの移行に賭ける戦略です。一方、急速なデータセンター増設を進めるOpenAIにとっては、安定した収入源の確保に繋がります。

Databricksは今年初めにAnthropicとも同様の契約を結んでおり、マルチAIモデル戦略を鮮明にしています。既にMastercardなどの顧客からOpenAIモデルへの強い需要があるとしており、今回の提携が企業のAI活用をさらに後押しすることが期待されます。

⑥ MIT、新素材発見AIを開発 燃料電池で記録的性能を達成

エージェントマルチモーダル

マサチューセッツ工科大学(MIT)が、新素材発見のプロセスを根本から変える可能性を秘めたAIプラットフォーム「CRESt」を開発しました。このシステムは、科学論文から実験データ、画像まで多様な情報を統合し、ロボットと連携して自律的に実験を進めます。研究開発のあり方を大きく変革する一歩となるでしょうか。

CREStはすでに具体的な成果を上げています。研究チームはCREStを用いて900以上の化学組成を探索し、3500回の電気化学試験を実施。その結果、ギ酸塩燃料電池において記録的な出力密度を達成する触媒材料を発見しました。高価な貴金属の使用量を4分の1に抑えつつ、性能を大幅に向上させることに成功しています。

CREStの最大の特徴は、多様な情報源(マルチモーダル)を扱える点です。従来のAIが特定のデータのみに依存していたのに対し、CREStは論文のテキスト、化学組成、顕微鏡画像などを統合的に学習します。これにより、人間の科学者が持つような幅広い知見に基づいた、より高度な判断を可能にしました。

研究者はコーディング不要で、自然言語(チャット)を使ってCREStに指示を出せます。指示を受けたCREStは、液体処理ロボットや材料合成装置、自動試験装置などを駆使して実験を遂行。実験結果は再びAIにフィードバックされ、次の実験計画が最適化されるというサイクルが自動で構築されます。

材料科学の実験では、再現性の確保が大きな課題でした。CREStはカメラと画像認識モデルを用いて実験プロセスを常時監視します。ピペットの位置ずれやサンプルの形状異常といった問題を検知し、人間に対して修正案を提案することで、実験の品質と一貫性を高めることにも貢献します。

研究チームは、CREStを「人間の研究者に取って代わるものではなく、アシスタントである」と位置づけています。AIが仮説立案や実験の自動化を担う一方で、最終的な判断やデバッグは人間が主導します。人間とAIの協働による、より柔軟で効率的な「自律駆動型ラボ」の実現に向けた大きな一歩と言えるでしょう。

⑦ Google Gemini、スプレッドシートの数式を平易に解説

プロダクティビティ

Googleは2025年9月25日、表計算ソフト「Google Sheets」に搭載された生成AI「Gemini」の機能を拡張したと発表しました。この新機能により、ユーザーは複雑な数式の内容やエラーの原因を自然言語で説明してもらえるようになります。データ集計や分析の生産性を高めたいビジネスパーソンにとって、強力な支援ツールとなりそうです。

シート右側のチャット画面で「招待客のうち『はい』と返信した人数を数えたい」などと自然言語で指示すると、Geminiが適切な数式を提案します。複数の選択肢がある場合はそれぞれの利点を解説。エラー発生時も、原因を特定し修正方法を段階的にガイドするため、試行錯誤の時間を大幅に削減できます。

この機能は、これまで関数の知識不足で諦めていた高度なデータ集計を可能にします。例えば、ある記者が結婚式の招待客リストで試したところ、どの関数を使うべきか迷う場面で、Geminiは即座に「COUNTIF」関数を提示。クリック一つで数式をシートに挿入できたといいます。

より複雑なタスクにも対応の道筋を示します。例えば「ゲストの移動距離の総計」といった直接計算が困難な問いに対し、GeminiはGoogle Maps APIの利用や、代替計算式(ハーベサインの公式)を提案。AIが万能でなくとも、問題解決の糸口を提供するパートナーとしての価値を示しました。

今回の機能強化は、専門知識がないビジネスパーソンでもデータ活用の恩恵を受けられるようにするものです。AIとの対話を通じて、誰もがスプレッドシートを高度な分析ツールとして使いこなせる時代が近づいています。これは個人の生産性向上だけでなく、組織全体のデータドリブンな意思決定を加速させるでしょう。

⑧ AWS、生成AIで給付金請求処理を自動化・高速化

エージェントRAG/ナレッジマルチモーダル

アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2025年9月25日、生成AIサービス「Amazon Bedrock Data Automation」を活用し、企業の給付金請求処理を自動化・高速化するソリューションを発表しました。この仕組みは、従来の手作業に依存しがちだった処理の遅延や入力エラー、高い管理コストといった課題を解決します。これにより、企業は業務効率を大幅に向上させ、従業員や顧客の満足度を高めることが可能になります。

多くの企業では、給付金請求処理が旧式のシステムや手作業に依存しており、これが業務のボトルネックとなっています。申請書類の不備や診断コードの欠落は、差し戻しや再作業を頻発させ、従業員と医療機関の双方に不満を生じさせていました。また、不正請求の検知や、複雑な規制への対応も大きな負担となり、運営コストを押し上げる要因でした。

こうした課題に対し、生成AIが有効な解決策となります。AWSの「Amazon Bedrock Data Automation」は、文書や画像といった非構造化データから高精度で情報を抽出し、分類することが可能です。これにより、手作業によるミスを減らし、処理時間を短縮します。自然言語処理能力を活用して、担当者のメモなども解釈し、規制遵守を支援します。

今回発表されたソリューションは「取り込み」「抽出」「検証」「統合」の4段階で構成されます。申請者がポータル経由でアップロードした書類画像は、まずAmazon S3に保存されます。次に、Bedrock Data Automationが書類の種類を自動で識別し、必要な情報を抽出。その後、業務ルールと照合して申請を検証し、最終的に承認・否認の判断を下します。

この自動化の鍵は「Blueprint」と「Knowledge Bases for Amazon Bedrock」です。Blueprintは文書の種類ごとに抽出項目を定義した設計図の役割を担います。一方、Knowledge Basesは業務手順書を取り込み、AIがビジネスルールを理解するための知識源となります。これに基づき、AIが自動で承認・否認を判断するのです。

このソリューションの大きな利点の一つは、ビジネスルールの管理が容易になることです。従来、ルールの変更にはコードの修正が必要で、時間と開発コストがかかりました。しかし、本ソリューションでは、業務手順書を更新するだけでAIの判断基準を変更できます。これにより、市場や規制の変化に迅速に対応できる俊敏な組織運営が可能になります。

本ソリューションを導入することで、企業は請求処理の効率を飛躍的に高められます。手作業を削減し、より迅速で正確な処理を実現するだけでなく、AIによる高度な分析で不正請求のパターンを検知することも可能です。これにより、コストを最適化し、従業員や提携先との信頼関係を強化し、競争力のある福利厚生制度の提供につながるでしょう。

⑨ Microsoft、AIチップ冷却新技術で性能向上と省エネ両立へ

インフラ

Microsoftは2025年9月25日、AIチップの性能向上とデータセンターの省エネ化を両立する新冷却技術「マイクロフルイディクス」の研究成果を発表しました。この技術は、チップの裏面に直接微細な溝を彫り、冷却液を流すことで発熱を効率的に抑えます。実験では従来の冷却方式より最大3倍高い熱除去性能を示しており、次世代AIチップの開発や持続可能性向上に繋がると期待されています。

新技術の核心は、チップの裏面に髪の毛ほどの幅の溝を直接形成し、そこに冷却液を循環させる点にあります。同社はAIを活用して最も効率的な冷却経路を設計しました。熱源である半導体に冷却液が直接触れるため、熱を素早く奪うことが可能です。これにより、GPUの最大温度上昇を65%削減できたと報告しています。なぜこれほど効率的なのでしょうか。

従来の主流であるコールドプレート方式では、チップと冷却液の間に熱伝導を妨げる層が存在しました。マイクロフルイディクスではこの中間層をなくすことで、熱伝達の効率を飛躍的に高めました。その結果、冷却液を過度に冷やす必要がなくなり、冷却システム全体の消費電力削減に貢献します。これはデータセンターの運用コストに直結する利点です。

この高い冷却性能は、チップの処理能力を意図的に高める「オーバークロック」をより安全に行うことを可能にします。これにより、サーバーはピーク時の需要にも柔軟に対応でき、結果的にデータセンター全体のサーバー台数を削減できる可能性があります。設備投資の抑制や省スペース化にも繋がるでしょう。

さらに、この技術はこれまで発熱が大きな障壁となっていた3Dチップアーキテクチャの実現にも道を開きます。半導体を立体的に積層できれば、処理能力は飛躍的に向上します。マイクロフルイディクスは、ムーアの法則の先を行く次世代AIチップ開発を加速させる鍵となるかもしれません。

ただし、この技術はまだ研究開発段階であり、製造プロセスへの統合やサプライチェーンの構築といった実用化への課題は残っています。Microsoftは具体的な導入時期を示していませんが、業界全体の持続可能な発展に貢献する技術として、今後の動向が注目されます。

⑩ DeepMind、製造ロボット群を協調させるAI「RoboBallet」開発

エージェント

Google DeepMindが、製造現場で複数のロボットアームの動きを自動で最適化するAIシステム「RoboBallet」を開発しました。従来は手作業で膨大な時間を要したタスク割り当て、スケジューリング、衝突回避という3つの難題をAIが同時に解決します。これにより、製造ラインのセットアップ時間を大幅に短縮し、生産性向上に貢献することが期待されます。

これまでの製造現場では、コンベアベルトに沿って配置されたロボットの動きは、専門家が手作業でプログラムしていました。この作業には数百から数千時間かかることも珍しくありません。特に、どのロボットがどの作業をどの順序で行うか、さらに互いに衝突しないように動作計画を立てることは、自動化が極めて困難な課題でした。

「RoboBallet」の革新性は、これまで個別に扱われてきた3つの難題を同時に解決する点にあります。DeepMindの研究者によれば、従来のツールは動作計画の一部を自動化できても、タスク割り当てとスケジューリングは手作業でした。この統合的なアプローチこそが、本研究の画期的な点と言えるでしょう。

開発チームは、まずシミュレーション環境でAIの学習を行いました。これは「ワークセル」と呼ばれる、ロボットチームが製品に対して作業を行うエリアを模したものです。この仮想空間内で、最大8台のロボットアームがテーブル上のアルミ製部品に対して最大40種類のタスクを完了するよう、AIは学習を重ねました。

シミュレーションのタスクでは、ロボットアーム先端(エンドエフェクタ)が正しい位置と角度で工作物に接近し、一定時間停止することが求められます。この停止は、溶接やネジ締めなどの実作業を想定したものです。AIは、このような複雑な動作の連携を衝突なく自律的に計画する能力を実証しました。

⑪ Googleフォト、対話型AI編集で誰でもプロ級の写真加工

マルチモーダルプロダクティビティセキュリティ

Googleは、写真編集アプリ「Googleフォト」に新たな対話型AI編集機能「Ask Photos」を導入しました。Pixel 10スマートフォンで先行搭載され、対応するAndroid端末にも展開されます。この機能を使えば、メニューやスライダーを操作することなく、音声やテキストで指示するだけで直感的な写真編集が可能です。

使い方は極めてシンプルです。「背景のゴミを消して」「もっと明るくして」といった自然な言葉で指示するだけで、AIが意図を汲み取って編集を実行します。これまで専門的な編集ソフトで数分かかっていた作業が、わずか数秒で完了します。写真編集のハードルを劇的に下げる機能と言えるでしょう。

Adobe Photoshopのような高機能ソフトは、高価な上に専門知識を必要としました。しかし、この新機能は誰でも手軽に利用できます。カーネギーメロン大学の専門家は、ChatGPTのような一部のAIが目新しさで終わるのに対し、この機能は多くの消費者にとって実用的な価値を持つと指摘しています。

スマートフォンの小さな画面でのスライダー操作は、精密な調整が難しいという課題がありました。対話型インターフェースは、この煩わしさからユーザーを解放します。「もっと良くして」といった曖昧な指示でも、AIが写真の構図や明るさを適切に調整してくれるため、編集作業がより身近になります。

現状では、被写体をフレーム内で移動させたり、特定の部分だけを細かく調整したりすることはできません。例えば、顔のハイライトだけを抑えようとすると、画像全体のハイライトが変更されてしまうことがあります。より精緻な編集機能の実現が今後の課題です。

生成AIによる簡単な画像加工は、偽情報拡散のリスクもはらみます。Googleはこの問題に対処するため、編集された画像にC2PA(コンテンツ来歴と真正性のための連合)の認証情報や、電子透かし技術「SynthID」を付与。これにより、画像がAIによって編集されたことを追跡可能にしています。

専門家は、この機能がコンピューターとの関わり方を変える大きな一歩だと見ています。これまでのコンピューターは人間が操作する「道具」でした。しかし、対話を通じて人間の意図を理解し実行するAIは、コンピューターを「パートナー」へと昇華させる可能性を秘めています。

⑫ AI生成アーティストのレコード契約、著作権保護の壁が浮き彫りに

規制・法務マルチモーダル市場動向

AIで生成されたR&Bアーティスト「Xania Monet」が人気を集め、その作詞家であるTelisha Jones氏が米レコード会社Hallwood Mediaと契約しました。Monetの楽曲はSpotifyで100万回以上再生されていますが、その容姿、ボーカル、楽曲は全てAIによって生成されています。

この契約は、著作権に関する根本的な問題を提起します。米国の現行法では、AIが自律的に生成した作品に著作権は認められません。保護されるのは、Jones氏が創作した「歌詞」のように、人間による表現的要素がある部分に限られる可能性が極めて高いのです。

では、レコード会社は一体何に価値を見出し、契約したのでしょうか。楽曲の大部分が著作権で保護されない場合、他者が無断で商業利用しても権利主張は困難です。専門家は、著作権がないものに対価を支払うビジネスモデルの危うさを指摘しています。

楽曲制作に使われたのは、AI音楽生成ツール「Suno」です。Sunoは現在、大手レコード会社から「大規模な著作権侵害」で提訴されています。AIモデルの学習に、インターネット上の膨大な既存楽曲を無許諾で使用したと認めており、生成物そのものに法的なリスクが内包されています。

米国著作権局は「著作権保護は人間の創作活動にのみ与えられる」との方針を明確にしています。AIへの指示(プロンプト)だけでは作者とは見なされません。専門家も「人間が作ったものは保護され、AIが作ったものは保護されない。これが現在の境界線だ」と断言しています。

今回の事例は、テクノロジーの進化に法整備が追いついていない現状を象徴しています。専門家は、現在の法制度を「未整備な状態」と表現します。米国議会ではAIの学習データの透明性を求める法案も提出されていますが、法律が技術の進歩に追いつくには時間がかかります。

AIでコンテンツを制作・販売する企業やクリエイターは、どこまでが人間の創作物として法的に保護されるのかを慎重に見極める必要があります。契約を結ぶ際には、権利の範囲を明確に定義しなければ、将来的に深刻な紛争に発展するリスクを抱えることになるでしょう。

⑬ Clarifai、AI推論エンジンで処理速度2倍・コスト4割減

インフラエージェント

AIプラットフォームのClarifaiは25日、AIモデルの実行速度を2倍にし、コストを40%削減する新しい推論エンジンを発表しました。既存ハードウェアの性能を最大限引き出す多様な最適化技術を搭載し、複雑なAIの計算負荷増大に対応します。

新エンジンの性能は第三者機関によるベンチマークテストで検証済みです。スループット(処理能力)とレイテンシー(遅延)の両方で業界最高水準を記録。これにより、同じハードウェアでより多くの処理を高速に実行できることが客観的に示されました。

高速化は、学習済みAIモデルを運用する「推論」処理に特化した最適化で実現されます。同社CEOによると、CUDAカーネルレベルの最適化から高度な投機的デコーディング技術まで、様々なソフトウェア技術を組み合わせているとのことです。

開発の背景には、単一の指示で複数ステップの思考を要するエージェント型AIの台頭があります。こうしたモデルは計算負荷が極めて高く、推論コストの増大が課題でした。新エンジンは特にこうした多段階処理を行うモデル向けに調整されています。

AIブームによるGPU需要の急増を受け、同社はAIの計算オーケストレーション(最適管理)に注力しています。CEOは「巨大データセンター需要に対し、アルゴリズム革新はまだ終わっていない」と述べ、ハードウェア増強だけでなくソフトウェアによる最適化の重要性を強調しました。

⑭ PropHero、BedrockでAI投資顧問開発 業務効率化とコスト60%削減

導入事例エージェント運用

不動産投資管理サービスのPropHero社が、AWSと協業し、生成AIサービス「Amazon Bedrock」を用いてインテリジェントな不動産投資アドバイザーを開発しました。このシステムは、顧客に合わせた投資戦略を自然言語で提案し、業務効率化と大幅なコスト削減を両立した事例として注目されます。

導入によるビジネスインパクトは顕著です。AIアドバイザーの投資目標達成率は90%に達し、有料ユーザーの70%以上が積極的に利用しています。また、一般的な問い合わせ対応を30%自動化し、スタッフはより複雑な業務に集中できるようになりました。戦略的なモデル選択により、AIコストも60%削減しています。

高い性能とコスト効率はどのように両立したのでしょうか。その鍵は、複数のAIエージェントが協調動作する「マルチエージェント・アーキテクチャ」にあります。各エージェントは、質問の分類、専門的な助言、最終応答の生成など、特定のタスクに特化しており、LangGraphというツールでその連携を制御しています。

同社は、タスクの複雑さに応じて最適な基盤モデル(FM)を選択する戦略を採用しました。例えば、簡単な応答には高速で安価な「Amazon Nova Lite」、専門的な投資助言には高性能な「Amazon Nova Pro」を割り当てることで、コストパフォーマンスを最大化しています。

高品質な応答を維持するため、継続的な評価システムを組み込んでいます。会話データから「文脈との関連性」や「回答の正確性」といった指標をリアルタイムで測定します。これにより、AIアドバイザーの品質を常に監視し、迅速な改善サイクルを回すことが可能になっています。

専門知識の提供には「Amazon Bedrock Knowledge Bases」を活用しています。FAQ形式のコンテンツに最適化されたセマンティックチャンキングや、Cohere社の多言語モデルを採用することで、スペイン語圏の利用者にも正確で文脈に沿った情報を提供できる体制を整えました。

開発の背景には、不動産投資における情報格差やプロセスの煩雑さという課題がありました。PropHero社はこれらの障壁を取り除くため、誰でも専門的な知見にアクセスできるAIシステムの開発を目指しました。特にスペインとオーストラリアの市場に合わせた対応が求められていました。

本事例は、生成AIが具体的なビジネス価値を生み出すことを明確に示しています。モジュール化されたアーキテクチャと堅牢な評価基盤を組み合わせることで、顧客エンゲージメントを継続的に向上させるソリューションを構築できるのです。

⑮ MS、Windows MLを正式公開。AIアプリ開発を加速へ

インフラ導入事例

マイクロソフトは9月25日、開発者がAI機能をWindowsアプリに容易に組み込めるプラットフォーム「Windows ML」を正式公開しました。これにより、応答性が高く、プライバシーに配慮し、コスト効率の良いAI体験の構築を支援します。Windows 11 24H2以降で利用可能で、PCのCPUやGPU、NPUを最適に活用します。AdobeやMcAfeeなどのソフトウェア企業が既に対応を進めています。

Windows MLは、PC搭載のCPU、GPU、NPU(Neural Processing Unit)を最適に使い分ける「ハードウェア抽象化レイヤー」として機能します。AIの処理内容に応じて最適なハードウェアを自動で割り当てるため、開発者はアプリケーションの性能を最大限引き出せます。これにより、複雑なハードウェア管理から解放されるのです。

既にAdobe、McAfee、Topaz Labsといった大手ソフトウェア企業が、開発段階からWindows MLの採用を進めています。各社は今後リリースする製品に、同プラットフォームを活用したAI機能を搭載する計画です。Windowsエコシステム全体でのAI活用の加速が期待されます。

具体的な活用例として、Adobeは動画編集ソフトでNPUを使い高速なシーン検出を実現します。McAfeeはSNS上のディープフェイク動画や詐欺の自動検出に活用。Topaz Labsも画像編集ソフトのAI機能開発に利用しており、応用分野は多岐にわたります。

マイクロソフトはWindows MLを通じて、WindowsアプリへのAI実装を効率化し、OS自体の魅力を高める狙いです。ローカルでのAI処理は応答速度やプライバシー保護、コスト削減に繋がります。今後、同様のAI体験を提供するアプリの増加が見込まれます。

⑯ Amazon Bedrock、反復処理を強化するDoWhileループ機能を追加

エージェントRAG/ナレッジ

アマゾン ウェブ サービス(AWS)は2025年9月25日、生成AI開発基盤「Amazon Bedrock」のワークフロー構築機能「Flows」に、反復処理を可能にする「DoWhileループ」を追加したと発表しました。これにより、AIモデルの呼び出しやカスタムコード実行などを組み合わせ、特定の条件を満たすまで処理を繰り返すワークフローをBedrock内で直接構築できます。複雑な反復処理の開発を簡素化し、企業による高度なAIソリューション導入を加速させます。

新機能のDoWhileループは、特定の条件が満たされるまで一連の処理を繰り返すためのものです。プロンプト、AWS Lambda関数、Knowledge Basesといった多様な機能をループ内で組み合わせられます。これにより、外部サービスを使わずに複雑なワークフローを構築でき、開発プロセスが大幅に簡素化されます。

具体的な活用例として、ブログ記事の自動生成が挙げられます。指定した品質基準を満たすまで記事を繰り返し修正する、といったワークフローを構築できます。AIが生成した初稿を別のAIが評価し、評点が低い場合は改善指示を出して再生成させる、といった自律的なコンテンツ改善サイクルを実現可能です。

この機能はAWS Management ConsoleとAPIの両方から利用でき、ループの各反復はトレース機能で詳細に追跡できます。ただし、ループ内に別のループを配置する「ネスト」はサポートされていません。また、無限ループを避けるため、最大反復回数の設定が必須となる点には注意が必要です。

DoWhileループ機能は、AWS GovCloud(US)リージョンを除く、Amazon Bedrock Flowsが利用可能な全てのAWSリージョンで提供が開始されました。この機能追加により、これまで専門的な知識が必要だった高度な反復処理を含むAIアプリケーションの開発が、より多くの開発者にとって身近なものとなるでしょう。

⑰ MIT、対話型AI「MultiverSeg」開発 医療研究を加速

マルチモーダルプロダクティビティ

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、医療画像のセグメンテーション(領域分割)作業を劇的に効率化する新しい対話型AIシステム「MultiverSeg」を開発しました。このシステムは、ユーザーが画像上で行うクリックや走り書きなどの簡単な操作から学習します。作業を繰り返すほどAIの精度が向上し、最終的にはユーザーの操作なしで高精度なセグメンテーションが可能になり、臨床研究の加速やコスト削減が期待されます。

MultiverSegの最大の特徴は、ユーザーの操作を学習し続ける点にあります。従来の対話型ツールでは画像ごとに同じ操作を繰り返す必要がありましたが、本システムは過去の作業結果を「コンテキストセット」として記憶・参照します。これにより、新しい画像を処理する際のユーザーの負担が徐々に軽減され、作業効率が飛躍的に向上します。この仕組みは、これまでのアプローチの長所を組み合わせたものです。

性能比較実験では、他の最先端ツールを上回る結果を示しました。例えば、9枚目の画像を処理する頃には、わずか2回のクリックでタスク特化型モデルより高い精度を達成しました。X線画像のような特定のケースでは、1〜2枚の画像を手動で処理するだけで、AIが自律的に高精度な予測を行えるようになります。これは、手作業に比べ圧倒的な時間短縮です。

このツールのもう一つの利点は、機械学習の専門知識や事前のデータセット準備が不要なことです。研究者や医師は、セグメンテーションしたい新しい画像をアップロードし、直感的に操作を始めるだけですぐに利用できます。AIモデルの再トレーニングも不要なため、導入のハードルが低く、幅広い臨床現場や研究での活用が見込まれます。

研究チームは今後、臨床現場での実証実験を通じてフィードバックを収集し、システムの改善を進める計画です。また、現在は2D画像のみに対応していますが、将来的には3D医用画像への応用も目指しています。この技術が普及すれば、新しい治療法の研究が加速し、臨床試験や医療研究全体のコスト削減に大きく貢献する可能性があります。

⑱ AI採用のJuicebox、セコイア主導で3000万ドル調達

市場動向検索・回答プロダクティビティ

AI採用スタートアップのJuicebox社は9月25日、Sequoia Capitalが主導するシリーズAラウンドで3000万ドルを調達したと発表しました。これにより総調達額は3600万ドルとなります。同社は大規模言語モデル(LLM)を活用し、自然言語で候補者の情報を分析する検索エンジン「PeopleGPT」を開発。採用プロセスを革新し、企業の採用活動を支援します。

同社は2023年後半に製品「PeopleGPT」をリリース後、短期間で急成長。スタートアップから大企業まで2500社以上が導入し、年間経常収益(ARR)は1000万ドルを超えています。CognitionやPerplexityといった先進企業も同社のサービスを利用しています。

リード投資家であるSequoiaのDavid Cahn氏は、同社の驚異的な成長力と実行力を高く評価しています。わずか4人のチームで顧客2000社を獲得した実績に感銘を受けたと語ります。専門の採用担当者なしで十数名を採用したスタートアップの事例が、投資の決め手の一つとなりました。

Juiceboxの強みは、LLMが人間のように候補者の情報を推論する点にあります。履歴書に特定のキーワードがなくても、公開情報からスキルや適性を分析し、最適な人材を発見します。これにより、従来のキーワード検索では見逃されていた優秀な人材にアプローチすることが可能になります。

同社のツールは、採用担当者の業務を大幅に効率化します。候補者検索を自動化することで、採用担当者は候補者との関係構築といった、より付加価値の高い業務に集中できます。さらに、候補者を特定した後のメール送信や初回面談の日程調整といったプロセスも自動化するエージェント機能を備えています。

競合もAI機能を強化していますが、SequoiaはJuiceboxが「スタートアップのデフォルトツール」になる可能性を信じています。Cahn氏は、Stripeが決済の標準となったように、Juiceboxが全てのスタートアップにとって最初の従業員を雇うための必須ツールになることを期待していると述べています。

⑲ Spotify、AI生成音楽にラベル表示導入へ 不正利用対策も強化

運用規制・法務マルチモーダル

音楽配信大手Spotifyは9月25日、AI生成音楽に関する新方針を発表しました。AI利用の透明性を高め、不正なスパムやなりすましからアーティストとリスナーを保護することが目的です。創造的なAI活用は支援しつつ、プラットフォームの健全性を維持する構えです。

新方針の柱は、AI使用を明記するラベル表示の導入です。音楽業界の標準化団体DDEXと協力し、楽曲制作のどの過程でAIが使われたかを詳細に示すメタデータ標準を開発。すでに主要レーベル15社が採用を表明しており、業界標準となる可能性があります。

AIによるスパム行為への対策も強化します。今秋から、再生数稼ぎを目的とした短尺曲の大量アップロードなどを検出する新しいスパムフィルターを順次展開。同社は過去1年間で既に7,500万ものスパム楽曲を削除したと公表しており、対策を一層強化します。

アーティストの声を無断で複製する「AI音声クローン」やディープフェイクといった、なりすまし行為も明確に禁止します。許可なく他者の声を使用した楽曲はプラットフォームから削除する方針を改めて示し、アーティストの権利保護を徹底する姿勢を強調しました。

Spotifyは、アーティストがAIを創造的なツールとして責任を持って利用することは罰しないと明言しています。「我々はシステムを悪用する者を阻止する」と同社幹部は述べ、AIの利点を享受するためにも、不正行為の防止が不可欠であるとの考えを示しました。

この動きの背景には、誰でも簡単に音楽を生成できるAIツールの急速な普及があります。一部のサービスでは、毎日数万曲のAI生成楽曲がアップロードされるなど、コンテンツの急増が課題となっています。Spotifyは業界に先駆けて対応することで、市場の混乱を防ぐ狙いです。

⑳ ベトナム、NVIDIAと連携し「国家AI」戦略を加速

規制・法務インフラ導入事例

NVIDIAは9月23日、ベトナムのホーチミン市で「AI Day」を開催しました。イベントには800人以上が参加し、ベトナム政府は「国家AI(Sovereign AI)」を経済戦略の中心に据え、国を挙げて推進する姿勢を強調しました。NVIDIAはAIエコシステムの構築や地域に特化したデータ・モデルの重要性を指摘。ベトナムは2030年までに東南アジアのAI先進国トップ4入りを目指します。

「国家AI」を成功させる鍵は何でしょうか。NVIDIA幹部は5つの重要要素を挙げました。具体的には、①AIの必要性に対する国家的な認識、②開発者や企業から成るエコシステム、③AI人材の育成、④言語や文化に合わせたAIモデルとデータ、⑤国内で管理・運営される「AIファクトリー」です。これらが成功の基盤となります。

ベトナムは野心的な目標を掲げています。2030年までに東南アジアにおけるAI先進国トップ4に入り、3つの国家データセンターを建設する計画です。FPTソフトウェアのCEOは「技術における主権は、国家安全保障や国民のプライバシー保護にも繋がる」と述べ、国家AIの重要性を強調しました。

ベトナムのAIエコシステムは着実に成長しています。国内には100社以上のAI関連スタートアップが存在し、約10万人のAI人材が活躍しています。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも、ベトナムの若者の数学や科学技術分野での優秀さを高く評価しており、将来の技術開発における強固な基盤になると期待を寄せています。

現地のパートナー企業も具体的な動きを見せています。IT大手FPTは、NVIDIA製GPUを活用した国内AIファクトリーの構築を進めています。また、GreenNodeやZaloといった企業は、ベトナム特有の言語や文化に合わせた大規模言語モデル(LLM)の開発に取り組んでおり、国産AI技術の確立を目指しています。

㉑ AIで食品供給網を革新、新興Burntが5.7億円を調達

市場動向導入事例エージェント

食品サプライチェーンのバックオフィス業務を自動化するAIスタートアップのBurntは25日、シード資金調達ラウンドで380万ドル(約5.7億円)を調達したと発表しました。このラウンドはNBAのスター選手、ステフィン・カリー氏が支援するベンチャーキャピタル「Penny Jar Capital」が主導しました。同社はAIエージェントを活用し、従来型のソフトウェアでは解決が難しかった食品業界の非効率な業務プロセスの変革を目指します。

同社のAIエージェント「Ozai」は、電話やFAXなど多様な形式の注文を自動処理します。既存のERPシステムを置き換えず、その上で動作するのが特徴です。これにより企業は従来の業務プロセスを大きく変えることなく、非効率な手作業から解放されます。

同社は今年1月のサービス開始以来、月間1000万ドル(約15億円)以上の注文を処理。英国の大手食品コングロマリットも導入を進めるなど事業は順調です。すでに数十万ドル規模の年間経常収益を達成しており、市場での需要の高さがうかがえます。

食品サプライチェーンは長年、技術導入の遅れが課題でした。多様なチャネルからの注文を、スタッフが手作業で旧式システムに入力することが常態化。従来のシステム刷新は高コストで導入期間も長く、中小企業の多い業界の障壁となっていました。

Burntの強みは創業チームの業界知見です。CEOのジェイコブ氏は食品業界で育ち、現場を経験。この経歴が関係性を重視する業界での信頼獲得につながっています。投資家もこうした「見過ごされた」産業にこそ、大きな機会があると評価しています。

今回の事例は、業界課題を深く理解し、AIで「置き換え」ではなく「補完」するアプローチの有効性を示唆します。既存の業務フローを尊重しつつ、非効率な部分を自動化する手法は、IT化が遅れる他の伝統的産業にも応用できるのではないでしょうか。

㉒ AI大手、軍事契約へ軸足移す 安全性の理念は後退

市場動向規制・法務セキュリティ

OpenAIやAnthropicなど主要AI企業が2024年以降、米国防総省との大型契約を相次いで締結し、軍事分野への進出を加速させています。かつては安全性を重視する姿勢を掲げていましたが、利用規約の変更や防衛企業との提携を通じて方針を転換。この動きに対し、専門家からは高リスクな環境でのAI利用や、技術が悪用される危険性について強い懸念の声が上がっています。

OpenAIは2024年、利用規約から「軍事および戦争」での利用を禁じる項目を削除しました。その後、米国防総省と2億ドルの契約を締結し、自律型兵器を開発する米アンドゥリル社とも提携。軍事技術開発への関与を明確にしています。

「安全志向」で知られるAnthropicもこの流れに追随しています。データ解析企業パランティアと提携し、自社モデルが米国の防衛・諜報目的で利用されることを許可。同社もまた、国防総省から2億ドルの契約を獲得しており、業界全体の方針転換を象徴しています。

この動きは新興AI企業に限りません。Amazon、Google、Microsoftといった大手テック企業も、防衛・諜報分野向けのAI製品開発を一層強化しています。この方針に対し、社内外の批評家や従業員からは抗議の声が高まっています。

AI倫理の研究機関AI Now Instituteの専門家は、この急激な変化に警鐘を鳴らします。AI企業が生成AIをリスクの高いシナリオにあまりにも安易に導入していると指摘。安全性の検証が不十分なまま実用化が進むことに強い懸念を示しています。

軍事グレードのAI開発は、意図せぬ結果を招く恐れもあります。特に、悪意ある第三者がAIを化学・生物・放射性物質・核(CBRN)兵器の開発に利用するリスクが懸念されます。この危険性はAI企業自身も認識しており、業界全体の深刻な課題となっています。

㉓ マイクロソフト、イスラエル軍へのクラウド提供停止 パレスチナ人監視利用で

規制・法務データ・プライバシー

米マイクロソフトは2025年9月25日、イスラエル国防省の一部門に対し、クラウドサービス「Azure」と一部AIサービスの提供を停止したと発表しました。内部調査の結果、同社の技術がパレスチナ人の通話データを監視・保存するために利用されていたことが判明したためです。この決定は「民間人の大量監視を助長しない」という同社の原則に基づくもので、大手テック企業が国家の利用方法を問題視し、契約を打ち切る異例の対応となります。

同社のブラッド・スミス副会長はブログで「我々はこの原則を世界中の国で適用してきた」と強調しました。顧客のプライバシー保護のため通常は利用内容を確認できませんが、8月の英ガーディアン紙の報道が調査のきっかけになったと説明。報道がなければ問題を認識できなかったとし、その重要性を認めました。

問題視されたのは、イスラエル軍の諜報部門「ユニット8200」による利用です。同部門はパレスチナ人の通話データを監視・収集し、その膨大なデータをAzureのクラウドストレージに保管していたと報じられていました。マイクロソフトは、この利用が標準的な利用規約に違反すると判断しました。

この問題を巡り、マイクロソフトは社内外から厳しい批判にさらされていました。イスラエルとの契約に反対する従業員による抗議活動が頻発し、幹部のオフィスでの座り込みや、抗議を理由とした従業員の解雇といった事態にも発展していました。今回の決定は、こうした圧力も背景にあるとみられます。

今回の決定は、AIやクラウドを提供する企業が、技術の利用方法についてより強い倫理的責任を負うことを示唆します。顧客が国家機関であっても、倫理規定に反すればサービスを停止するという厳しい姿勢は、他のテック企業にも影響を与える可能性があります。技術の意図せぬ利用リスクをどう管理するかが、今後の大きな課題となるでしょう。

㉔ Meta、OpenAIから研究者獲得 超知能開発を加速

市場動向

Metaは2025年9月、AI開発競争の激化を背景に、OpenAIの著名な研究者ヤン・ソン氏を「Meta Superintelligence Labs」の研究責任者として採用しました。この動きは、マーク・ザッカーバーグCEOが今夏から進める人材獲得攻勢の一環です。ソン氏は、OpenAI出身のシェンジア・ジャオ氏の直属となり、超知能開発を加速させる狙いがあります。AI分野におけるトップ人材の獲得競争が、さらに激しさを増していることを示しています。

ソン氏はOpenAIで戦略的探査チームを率いていました。スタンフォード大学の博士課程在学中には、OpenAIの画像生成モデル「DALL-E 2」の開発に貢献した画期的な技術を開発した実績を持ちます。彼の専門知識は、大規模で複雑なデータセットを処理するモデルの能力向上に貢献すると期待されています。

今回の採用は、ザッカーバーグCEOが今夏に開始した大規模な人材獲得攻勢の一環です。MetaはOpenAI、Google、Anthropicなどから、これまでに少なくとも11人のトップクラスの研究者を引き入れています。CEO自らが主導し、AI開発体制の強化を急いでいることがうかがえるでしょう。

ソン氏が所属する研究所は、同じくOpenAI出身のシェンジア・ジャオ氏が7月から率いています。ジャオ氏はChatGPTやGPT-4の開発にも携わった人物で、MetaがOpenAIからの人材を中核に据えて開発を進めていることが鮮明になっています。AIの最先端を走る人材の獲得は、企業の競争力を左右する重要な要素です。

一方で、Metaの超知能研究所からは、設立発表後に少数の研究者が離脱する動きも見られます。一部は古巣のOpenAIに戻るなど、トップ人材の流動性は非常に高まっています。企業は優秀な人材を惹きつけ、維持し続けることが大きな課題となっているのです。

㉕ xAI、AI「Grok」を米政府に破格の42セントで提供

市場動向導入事例

イーロン・マスク氏が率いるAI企業xAIが、AIチャットボット「Grok」を米国連邦政府に提供するため、米国共通役務庁(GSA)と合意しました。1年半の利用料は42セントという驚くべき低価格です。この動きは、すでに政府向けに1ドルでAIサービスを提供しているOpenAIやAnthropicへの直接的な挑戦状であり、政府調達市場における競争が新たな段階に入ったことを示しています。

xAIの提示額は、OpenAIの「ChatGPT」やAnthropicの「Claude」が政府向けに提示する年間1ドルをさらに下回ります。この破格の価格には、政府機関が技術を円滑に導入するためのxAIエンジニアによる技術サポートも含まれており、非常に競争力の高い提案内容となっています。価格競争を通じて市場シェアの獲得を狙う戦略が鮮明です。

42セントという特異な価格設定は、マスク氏が好んで使う数字「420」にちなんだジョークか、あるいは彼の愛読書「銀河ヒッチハイク・ガイド」で「生命、宇宙、そして万物についての究極の答え」とされる数字「42」への言及ではないかと見られています。彼の遊び心が価格設定にも表れている可能性があります。

xAIの政府との契約は、一度頓挫しかけた経緯があります。今年初め、Grokが不適切な投稿を生成した問題で提携が見送られましたが、8月下旬にホワイトハウスがGSAに対し、xAIを「可及的速やかに」承認ベンダーリストに追加するよう指示したことが内部メールで明らかになり、事態は急転しました。

今回の契約に加え、xAIは国防総省との2億ドルの契約を獲得したAI企業の一つにも選ばれています。マスク氏はトランプ前政権下で「政府効率化局」を率いるなど、以前から政府との関係を構築しており、自身のビジネスに関連する規制や契約において影響力を行使してきた背景があります。

㉖ Google、EUデジタル市場法を批判 ユーザーと中小企業に悪影響

規制・法務検索・回答市場動向

Googleは2025年9月25日、欧州連合(EU)のデジタル市場法(DMA)が、本来保護すべき欧州のユーザーや中小企業に深刻で意図しない損害を与えていると批判し、「リセット(見直し)」を求めました。検索結果の品質低下や消費者価格の上昇、セキュリティリスクの増大などを指摘し、欧州委員会に事実に基づいた明確な法執行への転換を強く要請しています。

DMAがもたらす悪影響の具体例として、観光業界が挙げられています。Google検索では、航空会社やホテルの公式サイトへ直接誘導する便利な表示が停止されました。代わりに仲介サイトへのリンクが表示されるため、消費者の支払う価格が上昇し、事業者のサイトへの直接のトラフィックが減少する事態が起きています。

この変化により、欧州の観光業界の一部では、Google検索からの無料の直接予約トラフィックが最大30%も急落しました。ある経済影響調査によると、DMAによって欧州の全セクターの企業が被る収益損失は、最大で1140億ユーロ(約18兆円)に達する可能性があると推定されています。

Googleは、こうした変更が一部の仲介サイトの商業的利益を優先した結果だと懸念を示しています。多くの企業が顧客へ直接販売する能力よりも、少数の特定企業の利益がDMAによって重視されていると指摘。この構造が市場全体の健全性を損なっていると批判しています。

問題は検索だけではありません。DMAは、Androidのセキュリティ機能にも影響を及ぼしています。詐欺や悪意のあるリンクからユーザーを保護するための正規の安全保護機能の削除を強制されているのです。これにより、本来オープンな設計であるAndroidの安全性が脅かされると、同社は警鐘を鳴らしています。

規制の負担と法的な不確実性は、欧州の競争力にも影を落としています。Googleの最新AI機能など、新製品やサービスの欧州での提供が、世界の他の地域より最大1年も遅れる原因になっているのです。これは、最新技術の恩恵を受けるべき欧州の消費者と企業にとって、大きな不利益と言えるでしょう。

GoogleはこれまでもDMAを遵守する変更を行ってきましたが、依然として大きな不確実性に直面しています。同社は欧州委員会に対し、今後の法執行はユーザー中心で、事実に基づき、一貫性のある明確なものであるべきだと要求。高品質なサービスを維持するため、DMAの「リセット」が必要だと結論づけています。

㉗ ChatGPTでの銘柄選定に警鐘、専門家が潜むリスクを指摘

導入事例市場動向

専門家が、ChatGPTのような汎用AIモデルを使った株式銘柄選定に警鐘を鳴らしています。AIは数値を誤引用したり、過去のデータに過度に依存して未来を予測したりするリスクを抱えているためです。個人投資家がAIを「水晶玉」のように安易に信じると、市場の危機や下落局面で適切に対応できなくなる恐れがあると指摘。AIツールの利用が広がる中で、その限界とリスク管理の重要性が問われています。

個人投資家によるAI利用は、技術革新の延長線上にあります。1980年代の電子取引に始まり、90年代のオンライン証券、2008年の金融危機後にはアルゴリズムで資産運用する「ロボアドバイザー」が登場しました。ChatGPTは、個人が直接AIに銘柄を尋ねるという新たな段階を切り開いたと言えるでしょう。

しかし、ChatGPTには限界もあります。有料で提供される専門的な分析情報にはアクセスできず、重要な情報を見逃す可能性があります。このため一部の利用者は、「空売りアナリストの視点で」といった具体的な役割を与えるプロンプトを工夫し、より精度の高い回答を引き出そうとしています。

ロボアドバイザー市場は2029年までに約600%成長すると予測されており、AIによる金融アドバイスへの依存は今後も高まる見通しです。しかし専門家は、AI投資で順調に利益を得ている投資家が、市場の下落局面で適切にリスク管理できるかについて懸念を示しています。危機の際の対応戦略が問われます。

㉘ ピーター・ティール氏、AIの厳格な規制は「反キリスト」を招くと警鐘

規制・法務

著名投資家でペイパル共同創業者のピーター・ティール氏が、サンフランシスコでの講演で、AIなどへの厳格な規制が聖書の「反キリスト」を招くと主張しました。同氏は、技術革新を恐れるあまり強力な世界統一政府が生まれ、それが全体主義的支配につながると警鐘を鳴らしています。この独特な視点は、シリコンバレーのAI規制論議に大きな波紋を広げています。

ティール氏の論理は、AIや生物兵器などの技術がもたらす存亡のリスクが、人々の不安を煽るという点から始まります。この不安を解消するために「平和と安全」を掲げる強力な世界統一政府が台頭し、あらゆる技術を管理下に置こうとします。ティール氏は、この絶対的な力を持つ全体主義的な統治機構こそが、現代における「反キリスト」だと定義しています。

したがって、技術の進歩を恐れ、性急な規制を求める声こそが、結果的に「反キリスト」の到来を早めるとティール氏は結論づけています。世界の終末を回避するための技術管理という名目が、皮肉にも聖書が予言する終末の登場人物を呼び寄せてしまうという逆説的な論理です。これはAI規制推進派への痛烈な批判と言えるでしょう。

この一連の講演は、ティール氏の協力者が運営する非営利団体「Acts 17 Collective」によって主催されました。この団体は、テクノロジー業界の創業者やクリエイターといったリーダー層に対し、キリスト教的な価値観を伝えることを目的としています。専門家や技術者に向けて、宗教的・哲学的な視点から警鐘を鳴らす異例の試みです。

ティール氏が終末論に関心を示すのは今回が初めてではありません。同氏は以前、フーヴァー研究所のポッドキャストでも、古代の予言と現代技術を結びつけ、同様の「推測的テーゼ」を展開していました。今回の講演は、その思想をさらに発展させたものとみられ、同氏の強い信念がうかがえます。

ティール氏の主張は一見すると奇抜に聞こえるかもしれません。しかし、AIを巡る議論が技術論や経済論を超え、人間の価値観や社会のあり方を問う哲学的な領域に及んでいることを示唆しています。リーダーはこうした多様な視点を理解し、自社のAI戦略を多角的に検討する必要があるのではないでしょうか。

㉙ NVIDIAクラウドゲーム強化、人気メカアクションなど10作追加

インフラ市場動向

NVIDIAは今週、クラウドゲーミングサービス「GeForce NOW」に新作メカアクション『Mecha BREAK』など10タイトルを追加しました。最新描画技術「DLSS 4」に対応し、高品質なストリーミング体験を提供します。また、『Alan Wake 2』などがGeForce RTX 5080対応となり、LG電子との連携も発表されるなど、サービス全体の強化が進んでいます。

新たに追加された『Mecha BREAK』は、多様なメカを操りチーム対戦を繰り広げるマルチプレイヤーゲームです。DLSS 4技術により、クラウド経由でも鮮明なビジュアルと滑らかなフレームレートを実現。デバイスを問わず、いつでもどこでも迫力あるアクションを楽しめる点が大きな魅力です。

カプコンの人気法廷ゲーム『逆転裁判123 成歩堂セレクション』も対応しました。シリーズ初期3作品を収録し、デバイスを問わず手軽に法廷バトルを楽しめます。このほかPC Game Pass対応の新作など計10タイトルが今週追加され、ゲームの選択肢がさらに広がりました。

高性能ストリーミングも強化しており、新たに『Alan Wake 2』などがGeForce RTX 5080サーバー対応タイトルに追加されました。最高峰のグラフィックス性能を要求するゲームも、クラウドを通じて快適にプレイできます。ユーザーは手元のデバイス性能に依存せず最新ゲームを楽しめるのが利点です。

ハードウェアとの連携も進んでいます。LG電子は、世界で初めてGeForce NOWの4K 120fpsストリーミングにネイティブ対応したOLEDテレビを発表しました。これを記念したキャンペーンも実施しており、クラウドゲーミングがリビングの大画面でより手軽に楽しめる環境が整いつつあります。

㉚ TechCrunch Disrupt、AIと恋愛の未来をTinder・Replikaと議論

導入事例市場動向

TechCrunchは、10月27日からサンフランシスコで開催するカンファレンス「Disrupt 2025」で、AIが恋愛に与える影響を議論します。AIコンパニオン「Replika」創業者、マッチングアプリ「Tinder」のプロダクト責任者、キンゼー研究所の研究者が登壇。テクノロジーが人間の親密な関係をどう変えるのか、その未来を探ります。

登壇するのは、業界を代表する3名です。3500万人以上のユーザーを持つAIコンパニオン「Replika」創業者のEugenia Kuyda氏、マッチングアプリ大手「Tinder」でプロダクトを率いるMark Kantor氏、そしてキンゼー研究所でデジタル時代の人間関係を研究するAmanda Gesselman博士が専門的な知見を交わします。

議論の焦点は、AIが私たちの恋愛をどう変容させるかです。推薦エンジンが相手選びに与える影響や、AIとの「恋愛」がもたらす心理的インパクトとは何でしょうか。また、親密さが最適化されることで失われるものや、見過ごせない倫理的な課題についても鋭く切り込みます。

このパネルディスカッションは、単なる恋愛談義ではありません。AIがユーザーの感情や行動に深く関わる製品を開発する上で、どのような設計思想や倫理観が求められるのか。全てのAI製品開発者、特にC向けサービスを手掛ける経営者やエンジニアにとって、示唆に富んだ内容となるでしょう。

㉛ トップVCが語るAI投資基準、TechCrunch Disruptで

市場動向

テッククランチは、10月27日からサンフランシスコで開催するイベント「Disrupt 2025」で、AI投資戦略セッションを実施します。著名VC3名が登壇し、投資家が注目する点や巨大企業が支配する市場での差別化戦略を議論。AI分野の創業者にとって、資金調達の鍵となる知見を得る貴重な機会となるでしょう。

セッションでは、2025年におけるAIスタートアップの競争優位性とは何か、という問いが中心となります。VCが資金提供を決定する前に求める具体的なシグナルや、多数の競合の中から抜きん出るための戦略が明かされます。ピッチ資料だけでは伝わらない、投資家の本音が語られる予定です。

登壇するのは豪華な顔ぶれです。TeslaやLyftの急成長を支えたDVx Venturesのジョン・マクニール氏、「ユニコーン」の概念を提唱したCowboy Venturesのアイリーン・リー氏、UberやCoinbaseへの初期投資で知られるKindred Venturesのスティーブ・ジャン氏の3名です。

本セッションは、AIスタートアップの資金調達を目指す創業者にとって必見です。VCがどのような視点で企業を評価しているのかを直接学ぶことで、自社の戦略を見直す機会となるでしょう。イベントには1万人以上のリーダーが集まり、新たな事業機会の創出も期待されます。

㉜ TechCrunch Disrupt 2025、チケット早期割引が26日終了

市場動向

米TechCrunchは、2025年10月27日から29日にサンフランシスコで開催するスタートアップイベント「Disrupt 2025」の早期割引チケットの販売を、9月26日午後11時59分(太平洋時間)に終了します。このイベントには創業者、投資家、技術革新者など1万人以上が参加予定です。早期割引では最大668ドルの割引が適用され、最先端の技術動向やネットワーキングの機会を求める参加者にとって絶好の機会となります。

Disruptは、スタートアップの成長を加速させるための絶好の場です。資金調達や製品開発、人材採用、事業戦略に関する知見を得られます。また、投資家にとっては次の有望な投資先を発見する機会ともなります。最先端の技術に触れ、業界のキーパーソンと繋がることで、自社の成長戦略を大きく前進させることができるでしょう。

イベントでは、250人以上の技術界の重鎮が登壇します。Khosla Venturesのヴィノッド・コースラ氏やSequoia Capitalのロエロフ・ボサ氏、Boxのアーロン・レヴィ氏など、著名な投資家や起業家がAIやインフラ、事業成長の未来について語ります。彼らの経験から得られる学びは、参加者にとって貴重な財産となるはずです。

3日間で200以上のセッションが5つの業界別ステージで開催されます。Q&Aセッションや円卓会議なども用意されており、参加者は実践的な知識やインスピレーションを得られます。特に、厳選された初期段階のスタートアップが競うピッチコンテスト「Startup Battlefield 200」は、VCのリアルな評価を聞ける貴重な機会です。

イベントの中核をなす展示ホールでは、100社以上のスタートアップがデモや製品発表を行います。また、数千人のVCやイノベーターとの出会いの場も設けられています。計画的なミーティングはもちろん、偶然の出会いが新たな提携や投資に繋がる可能性も秘めています。1年分の人脈を数日で築くことも可能でしょう。

TechCrunch創立20周年を記念する本イベントは、スタートアップの戦略を磨き、次なる技術トレンドを掴むために見逃せません。最大668ドルの割引が適用される早期割引は、まもなく終了します。価格が上がる前に、参加を検討してみてはいかがでしょうか。