NYT発行人、AI無断学習は「窃盗」
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NYTの発行人A.G.サルツバーガー氏は7月28日、WIREDのインタビューで、AI企業による記事の無断学習を「窃盗」と厳しく批判しました。同氏は、OpenAIとMicrosoftを相手取った著作権侵害訴訟に2年半で2000万ドル超を投じており、これはジャーナリズムを守るための費用だと述べました。AIが報道機関の存立基盤を揺るがす中、業界全体の生き残りへ危機感を示した形です。
サルツバーガー氏は、AI製品を支える4要素としてコード・計算資源・電力・データ(=報道や書籍などのコンテンツ)を挙げました。前者3つには巨額の報酬や投資が払われる一方、データだけは「許可も対価もなく奪われた」と指摘し、これをAIの「原罪」と表現しています。権利行使には多額の費用がかかるため、地方紙が単独で巨大企業に対抗するのは事実上不可能だと訴えました。
報道機関にとって、検索大手Googleの存在も脅威となっています。同氏は、検索結果にAI要約(AI Overview)が表示されるようになった結果、この1年半で参照リンク経由の流入が急減したと明かしました。読者がリンクをクリックせずに済むこの変化だけでも、出版社の収益基盤に打撃を与えていると語っています。
一方で、サルツバーガー氏はAIを報道の取材ツールとして積極的に活用する姿勢も示しました。大量データからパターンや異常を見つける用途に適しており、実際にAIを使った調査報道でピュリッツァー賞を受賞した例もあります。ただし「AIはフィルターにすぎず、最終的な確認と責任は人間が負う」として、記事の生成をAIに丸投げする姿勢を戒めています。
AIと並ぶもう一つの課題が、報道の自由への圧力です。同氏は、カタールから贈られた大統領専用機を巡る報道を理由に、トランプ政権の司法省が記者らに召喚状を出したことを「1世紀ぶりの弾圧規模」と批判しました。競合と競いつつも権利侵害には結束すべきだと呼びかけ、有料会員1300万人を抱えるNYTでさえアニメ配信のCrunchyrollより会員が少ない現状に触れ、業界全体の拡大が民主主義に不可欠だと結びました。