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イーロン・マスク氏率いるAI企業xAIが、女性AIチャットボット「Ani」の訓練のため、従業員に顔や声といった生体認証データの提供を「職務要件」としていたことが判明しました。米紙報道によると、一部従業員からはデータの悪用や倫理的な問題に対し強い懸念が示されています。
このデータ収集は「プロジェクト・スキッピー」というコードネームの機密プログラムの一環でした。AIチューターに任命された従業員は、自身の顔と声について、xAIが永続的かつ世界的に使用、複製、配布できるライセンスを許諾する同意書への署名を求められたと報じられています。
一部の従業員は、提供したデータが他社に売却されたり、ディープフェイク動画に悪用されたりするリスクを危惧しました。また、チャットボット「Ani」が持つ性的な性質や、日本の「ワイフ」文化を彷彿とさせるキャラクター設定にも不快感を示したとのことです。
従業員の懸念に対し、xAIの弁護士は社内会議で、データ収集は「xAIの使命を前進させるための職務要件」と説明しました。これにより、従業員が拒否しにくい状況が作られていた模様です。企業の目的達成と個人の権利のバランスが問われる事態となっています。
話題の「Ani」はXの有料サービスで提供され、一部で「現代版テレホンセックス」とも評されます。AIの人間らしさを追求する裏で、開発手法の倫理と透明性が問われる形となりました。AI活用企業にとって、従業員のデータ取り扱いは避けて通れない経営課題となりそうです。