Alibaba、Claude Code利用を全社禁止へ

禁止の概要

7月10日から全社利用禁止
情報漏えいの安全性懸念
自社ツールQoderへ切替指示

背景と反論

中国企業は元々利用禁止
抜け穴封じの実験が発端
Anthropicは悪用対策と説明
現在は強化策を導入済み

中国のAlibabaは、Anthropicの開発支援ツールClaude Codeを7月10日から全従業員に利用禁止とする方針を固めました。ロイターなど複数の報道によると、同社はClaude Codeリスクソフトに分類し、安全性への懸念を理由に挙げています。従業員には代わりに自社製ツール「Qoder」の使用を指示するとされます。

Anthropicはもともと、中国企業やその傘下の外国法人によるモデル利用を禁止してきました。同社は中国のユーザーがClaudeへアクセスする抜け穴をふさぐ作業を進めており、今回の一件はその延長線上にあります。

問題視されたのは、Claude Codeの一部バージョンが中国のユーザーを秘密裏に識別できたとする指摘です。Reddit上の投稿で明るみに出たこの挙動が、バックドア懸念としてAlibabaの判断につながったとみられます。

これに対しAnthropicのThariq Shihipar氏はX上で反論しました。同氏はこの仕組みを「不正な再販業者によるアカウント悪用の防止と、蒸留(他モデルの出力を学習に使う手法)への対策として3月に始めた実験だ」と説明しています。さらに「その後より強力な対策を導入済みで、以前からこの実験を取り下げるつもりだった」と述べ、意図的な監視ではないと強調しました。

Midjourney、ハリウッドにAI利用の開示要求

訴訟の開示争い

ディズニーら3社が著作権侵害で提訴
MidjourneyAI利用の開示を要求
既存の開示制限の撤回を申し立て

双方の主張

学習はフェアユースと反論
スタジオも無許諾学習と示唆
スタジオ側は過剰請求と批判

画像生成AIの新興企業Midjourneyは2026年7月、著作権侵害を巡り係争中のハリウッド大手スタジオ3社に対し、スタジオ自身のAI利用実態を開示するよう裁判所に申し立てました。ディズニー、ユニバーサル、ワーナー・ブラザースは、同社のモデルがバート・シンプソンやダース・ベイダーなど著作権キャラクターを生成できると問題視し、順次提訴していました。今回の焦点は、証拠開示(ディスカバリー)でスタジオがどこまで情報を出すべきかにあります。

裁判所は以前、スタジオの生成AI利用について「消費者向け」の動画画像に限って開示を命じていました。Midjourneyはこの制限の撤回を求め、現状ではスタジオが市場損害の主張に有利な文書だけを「つまみ食い」でき、同社の防御に資する文書を得られないと訴えています。

同社は、スタジオが隠している文書こそ「まさに彼らがMidjourneyを訴えている行為を、非公開で自ら行っているかを明らかにするものだ」と主張します。例えばスタジオが絵コンテ作成などの社内用途画像生成AIを開発していれば、無許諾の著作物をダウンロードし学習させることが業界慣行だと示せる、との論法です。同社は自らの学習がフェアユースで許されると一貫して反論しています。

一方、スタジオ側の主任弁護士デビッド・シンガー氏は、この開示要求を根拠なき「探索的請求」と切り捨てました。同氏は「AI技術を止めたりMidjourneyの事業を潰したりする意図はない」とし、あくまで「映画やテレビ番組の複製、そして著名キャラクターの無許諾利用をやめてほしいだけだ」と述べています。開示範囲を巡る攻防は、AI学習と著作権の線引きを左右する試金石となりそうです。

仏MistralがOpenAI型でなく企業向けAIで成長

会社の実像

フォワード配備型の企業支援
OpenAI型ではない事業モデル
年間経常収益4億ドル超
評価額231億ドルで調達中

戦略と主権

政府・大企業へのAI導入支援
夏にオープンウェイト新モデル
仏・スウェーデンにデータセンター

フランスのAI企業Mistralが、米国依存の低減を求める欧州の主権技術の機運を背景に注目を集めています。同社を「欧州OpenAI」として測る見方は的外れで、実像は政府や大企業にフォワード配備エンジニアを送り込み、AI導入と用途別の最適化を支援するPalantir型の事業だと、記事は指摘します。チャット兼エージェント「Vibe」の知名度はChatGPTに遠く及びません。

業績は急伸しています。2月に開示した年間経常収益は4億ドル超で、前年の2000万ドルから大きく伸び、今年は10億ドル突破を見込むと主張しています。現在は評価額231億ドルで約35億ドルを調達中と報じられ、これは米国の先端研究所には及ばないものの、ダボス会議やフランス議会で発言の場を得る後押しとなっています。

CEOのArthur Mensch氏はLinkedInで事業内容を説明しました。同社は顧客のインフラ上にモデルとエージェント基盤を展開し、顧客自身のデータで独自モデルを構築できるForgeを提供しています。「国家や企業による中央集権的な支配の外で、誰もが最良のAIにアクセスできるようにする」という理念を掲げます。

モデル面では、言語モデルはまだ最良ではないと認めつつ差を縮めてきたとし、この夏にオープンウェイトの新モデルを投入し7月に早期アクセスを開放すると表明しました。音声・視覚・文書処理では最先端の解決策を持つと主張します。加えてインフラ企業Koyebを初買収し、フランスとスウェーデンに40億ユーロ規模のデータセンターを整備する計画で、技術は各組織が確保すべき「コモディティ」だとの前提を示しています。

AIが米国民277人の大規模討議を実現

ハイパー通信技術

AIエージェント群集を連結
277人が並行で討議
20分のリアルタイム熟議
Thinkscapeが基盤

米国の三大貢献

第1位はインターネット
第2位は医療の進歩
第3位は民主主義の普及

米建国250周年に合わせ、AIを活用した集合知の実験が実施されました。無作為に選ばれた米国人277人がオンライン上に集い、わずか20分間で「米国が過去250年間に世界へもたらした三大貢献」をテーマに討議しました。運営したのは集合知企業のUnanimous AIで、大規模な同時対話を可能にするハイパー通信と呼ばれる新技術が使われました。

この技術の核心は、参加者を4〜5人ずつの小グループに分け、それらをAIエージェントの群れで連結する仕組みにあります。通常の会議や座談会は8〜10人が限界とされ、大人数ではリアルタイムの深い議論が成立しにくいという課題がありました。AIが各グループの意見をつなぐことで、数百人規模でも一人ひとりが発言し、互いの主張に応答できる熟議が実現します。

277人はまず94個のアイデアを出し、上位10、そして上位3へと段階的に絞り込みました。導き出された第1位はインターネットで、米国の学術・政府研究から生まれ世界へ普及した点が評価されました。第2位は医療の進歩、第3位は民主主義の普及が選ばれ、それぞれワクチンや米国憲法の世界的影響が理由として挙げられました。

重要なのは、この結果が100%人間の知性による産物だという点です。AIエージェントの役割はあくまで人々を「つなぐ」ことであり、人間に「取って代わる」ことではありません。筆者でスタンフォード大博士のルイス・ローゼンバーグ氏は、参加者が意見を述べ合い、論拠に基づいて結論へ収束できるスケーラブルな熟議にこそ価値があると強調しています。