Alibabaの新手法がエージェントのトークンを99%削減

手法の中身

タスクを分解し最適スキルを選定
検索と経路付けの三段構え
依存関係をDAGで実行計画化
反復フィードバックのSAD技術

実験成果

トークン消費99.9%減
全ツール投入方式の精度は21%
分解精度が最大92%に向上
7B軽量モデルで大型を凌駕

中国Alibabaの研究チームは2026年7月2日、AIエージェントのツール選定を効率化する枠組み「SkillWeaver」を発表しました。膨大なツール群から適切なものを選ぶ従来手法に比べ、精度を高めつつトークン消費を99%以上削減できると報告しています。企業のAI活用が複雑な業務フローへ広がる中、ツール選定の非効率が課題となっていました。

SkillWeaverは「分解・検索・構成」の三段階で動きます。まずLLMが複雑な指示を単一スキルで済む小タスクに分け、次に埋め込みモデルで各タスクに合う候補ツールを絞り込みます。最後にプランナーがツール間の入出力の相性を確かめ、依存関係を有向非巡回グラフ(DAG)として実行計画にまとめる仕組みです。

核となる技術が反復型のSkill-Aware Decomposition(SAD)です。LLMが作る手順は抽象的で、実際のツールの専門用語と噛み合わないことが多いという問題があります。SADはまず暫定計画で予備検索を行い、見つかったスキルをヒントとしてLLMに戻すことで、粒度と語彙を実在ツールに合わせて書き直させます。

評価では独自ベンチマーク「CompSkillBench」を使い、公開MCPエコシステムから集めた2209種の実ツールで300問の多段クエリを検証しました。7B軽量モデルでの分解精度は通常51.0%でしたが、SADを有効化すると67.7%まで上昇し、大型のQwen-Maxでは92%に達しています。難易度の高い4〜5スキルを要するタスクでは精度が50%改善しました。

興味深いのは、大型モデルほど無誘導だと精度が下がる傾向です。14Bモデルはタスクを細かく分解しすぎて7Bを下回りましたが、SADのヒントで現実に引き戻され精度が回復しました。全ツールを一括投入する方式は文脈を圧迫し、正しいカテゴリの取得率が21.1%にとどまる一方、SkillWeaverは88万トークンを約1160トークンへ削減しています。

課題も残ります。研究チームはソースコードを未公開ですが、SADはプロンプト設計と検索ループの組み合わせで、LangChainなど既存ツールで再現可能だとしています。一方でエラー回復機能がなく、途中のAPI呼び出しが失敗すると連鎖全体が壊れるため、本番導入には再試行や代替処理を各自で実装する必要があります。

Z.ai、GLM-5.2向け開発環境ZCode公開

エージェント型IDE

GLM-5.2専用開発環境
計画から検証まで自律実行
macOS/Windows/Linux対応
スマホから遠隔操作可能

低価格と自己ホスト

16.20ドルから提供
Claude Opus最大82%安
MITライセンスで自社運用可

中国北京のAI研究所Z.aiは7月2日、旗艦モデルGLM-5.2専用の無料デスクトップ開発環境ZCodeを正式に公開しました。CursorやアンソロピックのClaude CodeGitHub Copilot、グーグルのAntigravityが競う、Gartner推計で約100億ドル規模のAIコーディング市場への本格参入となります。macOSWindows、Linuxに対応し、他社モデルを持ち込むBYOK設定も可能です。

ZCodeは、チャット欄を後付けする従来型IDEと異なり、エージェント優先の設計を採ります。利用者が成果を伝えると、エージェントが作業を計画し、ファイルを編集し、チェックを実行し、目標達成まで反復します。WeChatやFeishu、Telegramといったメッセージアプリからスマホ経由で実行中のエージェントを操作できる点は、これらの基盤が普及する中国開発者市場を強く意識した差別化要素です。

価格戦略も鮮明です。ダウンロードは無料で、収益はGLM Coding Planの月額課金で得ます。料金は「Lite」の月16.20ドルから「Max」の月144ドルまでで、Claude CodeCursorの同等プランを大きく下回ります。基盤となるGLM-5.2は7440億パラメータの混合エキスパート型で、100万トークンの文脈窓を持ち、MITライセンスオープンウェイトとして公開されています。

ZCodeの登場は、直近の地政学的な動きと切り離せません。6月12日に米政府がアンソロピックの最上位モデルへの外国人アクセスを一時停止した際、Z.aiは同日にGLM-5.2をオープンソースで公開しました。米政府は6月30日に規制を撤回しましたが、この一件は開発者主権的アクセスリスクという新たな観点を突きつけ、自己ホスト可能な代替への関心を一気に高めました。

もっとも、課題は小さくありません。ZCode自体はオープンソースではなく、Linux版はベータ段階で、SSHやメッセージ連携での認証情報の扱いには慎重な検証が求められます。Z.aiは1280億ドルと評価される一方で赤字を抱えており、Cursorの洗練されたUXやClaude Codeの深いエージェント基盤、Copilotの圧倒的な普及と競う中で、西側企業の信頼をどこまで得られるかが問われます。

OpenAI、米政府に株式5%提供を打診 規制回避狙う

提案の中身

Altmanが株式5%提供を打診
評価額8520億ドルで約426億ドル相当
国民に成長果実を還元する主権基金構想
他のAI大手にも同様の拠出を要請

狙いと背景

Trump政権との関係改善が目的
高まるAI批判の緩和を意図
過度な規制の回避を期待

実現への壁

協議は初期段階で議会承認が必要

OpenAISam Altman最高経営責任者(CEO)が、米政府に同社株式の5%を提供する案を打診していることが2026年7月2日、英フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道で明らかになりました。関係者2人の話として伝えられたもので、Trump政権との関係を改善し、高まるAIへの反発を和らげる狙いがあるとされます。Altman氏は、国民に金銭的な利害を持たせることがAIの恩恵を分かち合う最善の方法だと主張しています。

提供が取り沙汰される5%という株式は、直近の資金調達評価額8520億ドルとされた同社の規模を踏まえると、約426億ドルに相当します。構想では、この株式を米国主権的資産基金(ソブリン・ウェルス・ファンド)に拠出し、そこからの運用益を国民に直接分配する形が想定されています。OpenAIは4月の政策文書でも、AI企業に直接投資する公的基金の設立を提案していました。

この提案は、Trump政権が異例なほどAI業界に直接関与する局面で浮上しました。政権はすでに半導体大手Intelの株式10%を取得したほか、NvidiaやAMDに対し中国向けAIチップ売上の15%を求めたと報じられています。Altman氏が5%提供を打診した背景には、こうした過度な規制や介入を回避したいという思惑があるとみられます。

AI企業が譲歩に傾く理由は、世論の逆風にあります。米国では調査で7割が近隣へのデータセンター建設に反対し、半数がAIに期待より懸念を抱くという結果が出ています。両党の有権者が規制強化を望むなか、企業側は反AI感情の沈静化を急いでいるのです。

ただし実現への道のりは平たんではありません。FTによると協議はなお初期段階にあり、正式な決定には議会の承認が必要になる可能性が高いとされます。政府はGoogleMetaにも同様の拠出を打診したとされますが、両社は5%が妥当との立場を示しておらず、業界横断の枠組みが成立するかは不透明です。

MS、企業AI導入へ25億ドルの新会社設立

新会社の概要

Microsoft Frontier Company設立
25億ドルの投資を投入
6000人の技術者を配置
成果重視の導入支援組織

業界の潮流

AWSは10億ドルの同種事業
OpenAIAnthropicも参入
FDE型モデルの広がり

Microsoftは7月2日、企業向けAIの導入支援に特化した新事業「Microsoft Frontier Company」を発表しました。同社は25億ドルを投資し、業界とエンジニアリングの専門家6000人を投入します。狙いは、自社の既存AIツールを使った企業のAI導入を成果まで見届けることにあります。

商業部門CEOのJudson Althoff氏は、この取り組みを従来の「フォワード・デプロイド・エンジニアリング(FDE)」の枠を超えるものだと位置づけました。「業界で最大かつ最も有能な、成果重視のエンジニアリング組織になる」と述べ、単なる技術者派遣とは一線を画す姿勢を強調しています。

とはいえ、この新会社はここ数カ月で相次いで発表されたFDE型事業と多くの共通点を持ちます。わずか2日前にはAWSが10億ドルを投じる同種の社内事業を発表し、FDEモデルを明確に掲げました。OpenAIAnthropicもすでに同様の合弁事業を立ち上げており、こちらは外部の投資会社からの資金も取り込んでいます。

Microsoftが優位に立つ理由は、既存の顧客基盤にあります。同社はすでにフォーチュン500企業の多くにエンジニアを配置しており、新事業は大きな先行者利益を得られる見込みです。発表では、ロンドン証券取引所グループとの初期提携に加え、Unilever、Land O'Lakes、Accentureとの連携も挙げられました。

SpaceXのCursor買収、他社モデル継続に不透明感

買収の構図

SpaceX600億ドル買収
計算資源で自社モデル増強
MuskがAI開発ツール掌握

モデル中立の岐路

OpenAIAnthropic継続が焦点
過去にWindsurf遮断の前例
AnthropicSpaceX計算契約

独立性の価値

大企業がモデル独立を重視
SpaceX傘下で価格競争力

SpaceXは先月、人気のAIコーディング企業Cursor600億ドル買収することで合意しました。CursorはAI大手の計算資源を得て自社モデルの学習に活用でき、SpaceXイーロン・マスク氏は市場で最も普及した開発者向けAIツールの一つを手中に収めます。買収は所定の規制当局の承認を経て年内に完了する見通しです。

最大の焦点は、買収後もCursorオープンな基盤であり続けられるかどうかです。同社はこれまでAnthropicOpenAIなど複数社のモデルから利用者が選べる仕組みを強みとしてきました。この戦略は、常に最良または最安のモデルを提供できる利点を生み、Cursorを最大級の顧客とするAnthropicOpenAIにも恩恵をもたらしてきました。

しかし両社との関係はこれまでも試されてきました。OpenAICodexAnthropicClaude Codeが主力事業に育ち、Cursorは補完相手から直接の競合へと変わりつつあります。買収完了後、OpenAIAnthropicCursorの利用者に届くためにマスク氏と取引する必要が生じ、この対立は一層深まる可能性があります。

過去にAI大手は互いにモデルを売り合うことに消極的でした。昨年、OpenAIによるWindsurf買収報道が出るとAnthropicは即座にアクセスを遮断し、共同創業者は「ClaudeOpenAIに売るのは奇妙だ」と述べています。ただ状況は変わりつつあり、Anthropicは最近SpaceXから数十億ドル規模の計算資源を購入する契約を結びました。共通の敵であるOpenAIに勝つため、両者が違いを脇に置く可能性も指摘されています。

業界ではモデル独立を重視する声も強まっています。競合の新興企業FactoryのCTOは、特定のAI大手に縛られない柔軟性がフォーチュン500企業に評価されると語りました。一方でSpaceXの潤沢な計算資源を得たCursorは、次期モデルの学習に従来の10〜20倍の計算力を投じ、大手並みの攻めた価格設定も可能になるとみられます。買収後、CursorSpaceX企業向けAI部門へと変貌する展開も予想されます。

Anthropic、Samsungと独自AIチップ協議

協業の狙い

Samsung独自チップ協議
用途や性能は未定
NVIDIA依存からの脱却狙い
4月から検討を本格化

競合の動き

OpenAIBroadcomと自社チップ
GoogleAmazonTPU提供
SamsungNVIDIAの主要製造委託先

米AI大手のAnthropicが2026年7月、韓国Samsungと独自AIチップの共同開発に向けて協議していることが明らかになりました。米メディアThe Informationの報道を受けたもので、深刻化するチップ不足への対応策として、自社設計チップの実現を本格的に模索し始めた形です。4月にReutersが検討段階を報じて以来、構想が一段と具体化してきました。

ただし現時点では、チップ用途や性能、サーバーへの組み込み方法など基本仕様はいずれも未定です。AnthropicはTechCrunchの取材に対し、GoogleAmazonNVIDIAチップを組み合わせた多様なハードウェア構成が引き続き計算戦略の要になると回答しました。Samsungとの提携そのものについては、コメントを控えています。

背景には、多くのAI企業が独自チップ開発を急ぐ動きがあります。特定の計算処理に最適化した独自ハードを得ると同時に、業界の圧倒的リーダーであるNVIDIAへの依存を和らげる狙いです。今回の動きは、先週に競合OpenAIがBroadcomと組み、推論チップ「Jalapeño」を発表したことへの対抗策とも見られます。

提携先として名前が挙がるSamsungは、すでにAI業界に深く関与しています。NVIDIAの主要な製造パートナーとして同社のチップを手掛ける一方、韓国国内では両社でAIチップ工場の建設も進めています。さらにGoogleチップ製造でも提携を協議しており、AnthropicSamsungを選ぶ土壌は整っていると言えるでしょう。

NVIDIA、収益分配型でAI計算基盤を新興勢に開放

新たな事業モデル

収益分配と信用支援を導入
AIクラウド経由で基盤を提供
製品収益に加え利用連動収益
資本力の乏しい新興企業を支援

AIファクトリー稼働

Sharon AIがGB300を最大4万基
FirmusがインドネシアでDSX建設
最大17万GPU、360メガワット規模

半導体大手のNVIDIAは2026年7月2日、AIクラウド事業者と収益を分配する新たな事業モデルを発表しました。資本集約的な計算基盤に手が届きにくかった新興企業やモデル開発者に、大規模な高速計算資源を素早く提供する狙いです。AIが開発段階から本番の推論運用へ移り、トークンを大量生成する「AIファクトリー」への需要が急拡大している状況に対応します。

新モデルでは、AIクラウド事業者がNVIDIA製の基盤を調達し、AIネイティブ企業や事業会社、ISV向けにクラウドサービスとして販売します。NVIDIAは通常の製品収益に加え、対象容量のクラウド収益の一部を受け取る仕組みです。信用支援も組み合わせることで、長期契約でも資金調達が難しかった新興勢の計算アクセスを開きます。

この構造はNVIDIAにとって、成長著しいAIネイティブ領域での基盤採用を加速させると同時に、利用量に連動した継続的な収益源を生み出します。利用者側は、用地選定や電力調達、建設、機材立ち上げを待たずに、フルスタックの高速計算へ早く到達できる利点があります。

取り組みはすでに動き出しており、Sharon AIとFirmusが初期の協業企業として名を連ねます。Sharon AIはNVIDIAのGrace Blackwell GB300を最大4万基導入し、大規模かつ主権的なAI計算基盤の構築を進める方針です。

FirmusはインドネシアのバタムでDSX準拠のAIファクトリー拠点を建設中で、最大360メガワット、17万基のGPU規模まで拡張する計画です。BasetenやFireworks AI、Together AIといったAIネイティブ企業も、モデル学習や大量のエージェント推論に向けたクラウド容量の即時利用を求めており、需要の広がりを示しています。

GoogleのAI増設で電力消費が過去最大の37%増

記録的な電力

2025年の電力消費37%増
同社史上最大の伸び幅
2019年比で250%超の増加
データセンターが消費の中心

排出量の明暗

運用時排出量は2%減
サプライチェーンは25%増
野心基準の総排出は18%増

Googleは7月2日公表の最新の環境報告書で、2025年の年間電力消費が前年比で37%増加したと明らかにしました。これは同社史上最大の伸び幅で、シリコンバレーで続くAIデータセンターの増設が主因です。前年の2024年も27%増えており、拡大傾向が加速しています。

電力消費の大半を占めるのがデータセンターです。2025年の消費量は4200万メガワット時超に達し、前年の3060万メガワット時から大きく伸びました。この規模はニュージーランドやデンマーク、ナイジェリアといった一国全体の電力消費に匹敵します。

同社の総電力消費は2019年比で250%以上増えています。Googleはこの急増を、Google Cloudの成長やYouTube動画配信、そして各種AI製品を支えるデータセンターの建設と運用によるものだと説明しました。

電力消費が急増する一方で、Googleは運用時の排出量を同期間で2%削減したと報告しました。大量のクリーンエネルギーを購入し続けたためで、電力使用の増加と排出量を切り離す動きは有望だとしています。ただし今後はクリーンエネルギー投資と地域との連携強化が必要だとも認めました。

しかし課題も残ります。契約先の製造業者やサプライヤーからのサプライチェーン排出量は、脱炭素電源が不足するアジア太平洋地域の電力網を背景に25%増加しました。この結果、Googleの野心基準による総排出量は2024年から2025年にかけて18%増えています。

プライバシー団体、FTCにX監査継続を要請

監査打ち切りに反対

15団体がFTCに書簡
X監査の継続を要請
EFFやEPICが署名
打ち切り請願を全面反論

対立の背景

旧Twitterの2FA情報流用が発端
Xは改称とGDPRを根拠に主張
7月2日が意見公募期限

プライバシー保護団体など15の組織が2026年7月2日の意見公募期限を前に、連邦取引委員会(FTC)に対し、イーロン・マスク氏率いるXへのデータ監査を継続するよう求める書簡を提出しました。書簡には電子フロンティア財団(EFF)や電子プライバシー情報センター(EPIC)、Demand Progress、全米消費者連盟が名を連ねています。

問題の発端は、旧Twitterがユーザーが二要素認証のために提出した連絡先情報を、コーディングエラーによって広告ターゲティングに不正利用していた事実です。FTCはこれを問題視して是正命令を出し、Xに独立した監査の実施と、データ保護法の順守を確認するための文書提出を義務づけました。

これに対しXは、命令が過大なコストを課しているとして打ち切りを申請しました。マスク氏によるTwitter買収後に社名を刷新した点や、欧州のGDPRの下で同様の義務を負っており命令が重複している点を根拠に挙げています。

しかし団体側は、Xの主張がいずれも監査を打ち切るための法的基準を満たしていないと反論します。書簡はXと現経営陣が「米国民のプライバシーとデータ保護に深刻なリスクをもたらす」と指摘し、FTCの監督継続が必要だと訴えました。

経営者にとって注目すべきは、企業の改称や事業再編が過去の規制上の義務を消し去るわけではないという点です。マスク氏はXをSpaceXに統合し事業が変質したと主張していますが、当局と市民団体はデータ取り扱いの責任が引き継がれると見ています。FTCの判断は、AI開発を進める大手プラットフォームへの監視のあり方を左右する試金石となりそうです。

Metaがスマートグラス機能を月額課金化

課金化の内容

Meta One Premiumで機能解放
会話強調は無料で月3時間まで
課金しても15時間が上限
優先サポートも特典に付与

狙いと競争

端末は原価販売で収益は課金
AIコスト回収ではなく収益化
GoogleApple参入で価格競争

Metaは2026年7月2日、同社のスマートグラスの一部機能を利用するには月額サブスクリプション「Meta One Premium Plan」への加入が必要になると、ヘルプページで明らかにしました。Ray-BanやOakley、Metaブランド版など全機種が対象で、加入しなくても基本機能は使えますが、一部の高度な機能に制限がかかります。

対象となる代表例が、騒がしい環境で会話相手の音声を強調して聞き取りやすくする「Conversation Focus」です。無料では月3時間までしか使えず、より長く使うには課金が必要で、それでも上限は15時間に据え置かれます。加入者にはこのほか、専門スタッフによる優先的なデバイスサポートも提供されます。

Metaの広報担当はWIREDに対し、これは「AIの利用制限ではない」と説明しています。Conversation Focusは端末上で処理されサーバーを経由しないため、一般的なAIサービスのレート制限とは性質が異なるという主張です。ただ利用時間をリアルタイムで確認する手段はなく、上限に近づくと通知が届く仕組みになっています。

カーネギーメロン大学のクリス・ハリソン氏は、この課金がAI投資の回収を目的にしたものではないと指摘します。「この18カ月でトークン生成の効率は劇的に改善した。コスト回収ではなく顧客の収益化が狙いだ」と述べ、価値を抽出する手段だと分析しました。

背景には独特の収益構造があります。Metaはグラスを299ドルの新モデルのようにほぼ原価で販売し、まず利用者の裾野を広げたうえで、サブスクリプションで収益を伸ばす戦略です。今後も新機能が追加されるたびに、同様の課金対象になる可能性が高いとみられます。

課題は競争です。年内にはGoogleSamsungやWarby Parkerと組んでスマートグラスを投入予定で、AIモデルの運用効率で先行する同社が、機能を課金で区切らず無料で提供する余地もあります。Appleも参入が噂されており、ハリソン氏は「価値を届けられなければ人々は無料版を選ぶ」と述べ、月10ドルに見合う価値を示せるかが問われると語りました。

サンドイッチ店IPO書類にAI22回、過熱する誇大宣伝

AI熱の広がり

S-1でAI22回言及
サンドイッチ販売企業
投資家のAI選好が背景
非AI企業もAI連呼

リスク開示の実態

投資家向け警告にもAI
用途説明は曖昧なまま
他社ではAI失敗事例

米メディアTechCrunchは2026年7月2日、サンドイッチチェーンのJersey Mike'sが新規株式公開(IPO)に向けて米証券取引委員会(SEC)へ提出したS-1書類で、人工知能(AI)に22回も言及していたと報じました。俳優ダニー・デビートを広告塔とする同社はAIソフトを売る企業ではなく、あくまで潜水艦型サンドイッチを販売する事業者です。投資家のAIへの強い関心を背景に、本業と無関係な企業までAIを持ち出す風潮の象徴だと筆者は指摘します。

なぜサンドイッチ店がAIを持ち出すのでしょうか。記事は、昨今の投資家AI関連にこそ資金を投じたがるため、テック企業だけでなく非AI系のスタートアップ買収企業まで、売り込み文句にAIをまぶす必要を感じていると説明します。実際、S-1ではソフトウェアが52回、データが112回と、事業運営に不可欠な語も多く登場していました。

とりわけ筆者が注目したのが、投資家向けのリスク警告にまでAIが登場した点です。同社は「当社は事業でAI技術を使い始めている」とだけ述べ、何にどう使うのか具体的な説明はありません。定型的な文面ながら、食品業界では実際にAIの失敗も起きており、必要な開示とも言えます。

その一例として記事は、Starbucksが導入後わずか数カ月で撤回したAI在庫管理ツールを挙げます。このツールは在庫を正しく数えられず、店舗の作業を遅らせたため廃止されました。生身のサンドイッチを作る企業にとって、こうしたAI障害のリスクは実在します。

もっとも筆者は、実物のサンドイッチを作る店がAI災害に見舞われる確率は、店舗が落雷に遭う程度だと皮肉を込めて予測します。皮肉なことにS-1で天候への言及はわずか5回、落雷に至っては一度もありませんでした。AIという言葉だけが独り歩きする現状は、経営者にとって投資家心理と実態の乖離を見極める好例と言えるでしょう。

Metaが生成AIゲームアプリPocketを静かに公開

Pocketの概要

AIプロンプトで作るミニアプリ生成
作品を共有するスクロール型フィード
対話体験は「gizmo」と呼称

買収と展開

買収したGizmoチームが開発
6月29日に両ストア配信開始
公式発表なしの実験段階
Meta AI創作ツールの拡張

Metaは2026年6月29日、AIプロンプトから小さなインタラクティブなアプリやゲームを生成できる新アプリ「Pocket」を、App StoreGoogle Playで静かに公開しました。同社は「gizmoと呼ぶ作品を制作・共有するための創作プラットフォーム」と説明し、他ユーザーの作品で遊べるスクロール型のフィードも備えています。

Pocketは、Metaが今年初めに買収したvibe-codingゲームプラットフォームGizmoのチームによる成果です。Google Playのスクリーンショットを見る限り、AIプロンプトで小さな体験を作る機能や発見フィードなど、既存のGizmoアプリと多くの共通点があります。

公開を最初に見つけたのは、新機能の発見で知られるリバースエンジニアのアレッサンドロ・パルッツィ氏でした。同氏がX上でPlayストアの画面を投稿し、Business InsiderやInvesting.comなどの媒体も報じましたが、Metaはコメント要請に応じていません

今回の動きは、AI創作ツールをより主流に押し広げるMetaの取り組みの一環です。同社はこれまでも、Meta AIアプリでのAI画像生成、AI動画アプリ「Vibes」、動画編集アプリ「Edits」へのAI機能追加などを進めてきました。

Metaが正式発表していない点から、Pocketはまだ初期の実験段階にある可能性が高いとみられます。一方で前身のGizmoは、iOSGoogle Playの累計で63万5000件のインストールを記録し、98%が好意的な評価だったとアプリ調査会社Appfiguresは指摘しています。

AIエージェントで恋活自動化が拡大、懸念も

拡散する自動化

OpenClawで恋愛作業を自動化
W杯連動のリール量産で反響
数日で再生100万・DM200件
研究や別れの連絡も自動化

問われる是非

会話の代行には賛否
人による承認の必要性を強調

米メディアTechCrunchは2026年7月2日、AIエージェントOpenClaw」で恋愛にまつわる作業を自動化する人々が現れていると報じました。起業家のベン・ゲーズ氏はサッカーW杯の結果に連動させ、敗戦国の女性へ「DMを開放している」と訴えるほぼ同一の動画を量産。数日で再生数100万回、200件のDMを得たといいます。

ゲーズ氏の仕組みは、OpenClawがW杯の結果を追跡し、試合後にClaudeが同じテンプレートの「トライアルリール」を自動投稿するというものです。この投稿は公開プロフィールには表示されないため、同じ内容を国名だけ変えて十数回繰り返しても外部からは気づかれにくい仕組みになっています。

利用の形は人によって様々です。PR会社創業者のジェフ・ワイスビーン氏はデートの店選びの下調べにOpenClawを使う一方、会話そのものをAIに任せることには否定的です。テック企業に勤めるケイリー氏は、交際を終える際の別れの連絡文をClaude自動生成・自動送信させていたと明かしました。

こうした使い方には賛否が分かれます。相手との関係が生まれた後にAIを介在させることには、当事者たちもためらいを見せています。ケイリー氏の場合、別れの連絡を自動化していた事実がデート相手に伝わり、「話しているのはClaudeかケイリーか」と問われる一幕もありました。

安全性の観点からは懸念も強まっています。セキュリティ重視の代替サービス「NanoClaw」共同創業者のレイザー・コーエン氏は、個人情報やアカウントへのアクセスをAIに与える際には人による承認が不可欠だと指摘。本人の同意なくAIがマッチングプロフィールを作成した事例などを挙げ、情報漏洩リスクに警鐘を鳴らしています。