データセンター(インフラ)に関するニュース一覧

フィラデルフィア住民、AIデータセンター建設停止要求

住民の反対運動

100人超が市庁舎前集会
建設一時停止の要求
正式な建設提案は未提出

地域が抱く懸念

大気汚染と騒音
水・電力需要の増加
雇用効果への疑念

各地の政策対応

大型案件の許認可停止
複数都市の建設停止措置

2026年9月14日、アメリカ・フィラデルフィアの市庁舎前で、住民団体Philly ThriveなどがAIデータセンター建設の一時停止を求める運動を始め、100人超が集会に参加しました。市内で正式な建設提案はまだありませんが、市当局は候補地を2カ所挙げ、うち1カ所はかつて大規模製油所が稼働したグレイズ・フェリー地区です。住民は大気汚染、騒音、水・電力消費、雇用効果への懸念を訴えています。

グレイズ・フェリーの製油所は2019年の爆発後に閉鎖されるまで、地域の近くで操業していました。住民活動家のShawmar Pitts氏らは、家族や近隣住民の慢性疾患を目にしてきた経験から、新たな大規模産業施設の受け入れに慎重な姿勢を示しています。

記事は、データセンターの環境負荷は旧製油所ほど深刻ではない可能性にも触れています。一方、BloombergNEFは2035年までにアメリカのデータセンターがドイツと日本の合計を上回る天然ガスを消費すると予測し、Clean Air Councilは非常用ディーゼル発電機による汚染を懸念しています。

事業者側は雇用と経済成長を掲げますが、住民は電気料金、水不足、騒音、監視への懸念を訴えています。限られた水と電力が地域住民から奪われるのではないかという不安も、反対運動の背景です。

ニューヨーク州は大規模データセンターの新規許可を一時停止し、影響を調べています。デンバー、インディアナポリス、アッシュビル、シャーロット、リノでも建設停止措置が承認され、自治体が環境や資源への影響を検討する時間を確保しています。

Google、ネバダ州で1,000万ドルのエネルギー基金

基金と助成

総額1,000万ドル
NCEFへ500万ドル
年内に次回助成発表

無料の住宅改修

既存制度対象外の世帯
無料の耐候化・省エネ改修

地域への効果

月々の光熱費削減
健康・安全と送電網強化

Googleは2026年9月15日、ネバダ州のエネルギー技術と負担軽減を支える総額1,000万ドルの「Energy Impact Fund」を発表しました。このうち500万ドルをNevada Clean Energy Fundへ拠出し、同社のデータセンター周辺に住む家庭の光熱費削減と住宅の健康・安全改善に充てます。初回助成を通じ、既存制度から外れる世帯へ無料の住宅改修を届ける計画です。

500万ドルは、Nevada Clean Energy Fundの住宅エネルギー改修プログラム「RE-UP」を支援します。対象は、住宅改修への金銭的な障壁がありながら、既存の支援制度の条件を満たさない世帯です。住宅の耐候化と省エネ改善を、住民の費用負担なしで提供します。

事業はGoogleのデータセンターがあるネバダ州北部と南部の地域で展開されます。参加家庭の毎月の光熱費を下げるだけでなく、周辺地域を含む公衆衛生と送電網の強靭性にも効果を広げる狙いです。GoogleとNevada Clean Energy Fundが連携して実施します。

今回公表された具体的な配分は基金総額の半分です。Googleは次の助成を2026年内に発表するとしており、残る500万ドルの用途と支援先は今回の発表では示していません。基金全体の成果を評価するには、次回の配分内容を確認する必要があります。

NVIDIA黄CEO、トランプ大統領とAI減速を否定

壇上で政策一致

電話を会場へ生中継
AI減速案への反対
米国の主導権重視

安全論との対立

Anthropicの抑制提案
MuskとAltmanも賛同
慎重さと継続の両立

データセンター論争

地域反対は7割
環境資源への懸念

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは9月14日、All-In Summitの壇上でドナルド・トランプ大統領からの電話をスピーカーにつなぎ、AI開発の減速を認めない姿勢で一致しました。Anthropicのダリオ・アモデイCEOが提起した最先端AIの開発ペース抑制を巡る議論の最中で、米国の競争力維持を優先する立場を鮮明にした形です。

アモデイ氏は直前に公表した論考で、AIの能力向上を遅らせ、政府間で協調するよう提案しました。SpaceXのイーロン・マスクCEOとOpenAIのサム・アルトマンCEOも賛意を示す一方、フアン氏は開発継続を支持しています。

トランプ氏はAIへの恐怖を「作り話」と位置づけ、減速は政治勢力や中国を利しかねないと主張しました。ロボットが世界を支配することはないとも述べ、フアン氏は減速を許さないと応じ、会場から拍手を受けました。

ただしトランプ氏は、慎重に進める必要性には触れつつ、産業を止めるべきではないと説明しました。データセンターが地域を豊かにしたとも主張しましたが、具体例は示しておらず、推進論と地域負担の隔たりが残ります。

Gallupの調査では、回答者の7割が地元でのデータセンター建設に反対し、過半数が環境資源への影響を理由に挙げました。約2割は生活費や生活の質への影響も懸念しており、AI企業には開発速度と地域の納得を両立する説明が求められます。

Google、ニューメキシコ州でデータセンター検討

計画の現在地

進出候補はリー郡
計画詳細は協議中
進捗に応じた情報共有

資源と費用の責任

水資源の責任ある管理
使用エネルギーの全額負担
必要なインフラ費の負担

地域との関係

地域との早期対話
地域社会への長期関与

Googleは2026年9月14日、米国ニューメキシコ州リー郡で新たなデータセンター建設計画を検討していると発表しました。協議は継続中で多くの詳細は未定ですが、開発を巡る住民の疑問に応えるため、計画の初期段階から地域社会と透明性のある対話を始める方針です。今後、プロジェクトの進展に応じて追加情報を共有します。

今回の発表は、建設を正式決定したものではなく、候補地での検討を公表した段階です。施設の規模、投資額、建設や稼働の時期、雇用計画などは明らかにしていません。

Googleは、リー郡で信頼される長期的なパートナーになることを目標に掲げました。その一環として、地域にとって重要な水資源を責任を持って管理すると説明しています。

エネルギーとインフラについては、使用するエネルギーの100%と、事業に必要なインフラの費用を負担する方針です。データセンター開発に伴う資源利用や費用への懸念を念頭に、同社の基本姿勢を先に示した形です。

同社は地域社会の積極的な一員として関わる考えも表明しました。ただし具体的な地域支援策は未公表であり、事業規模や開始時期とともに、今後の発表が判断材料になります。

AIエージェント普及、電力需要を押し上げ

自律処理が電力増

数百回に及ぶ自己指示
長時間処理による電力消費
利用者数と離れた需要増

開示不足で測定難

企業の環境情報開示不足
用途ごとの消費量格差
推計に残る大きな不確実性

普及前提の設備投資

Metaの全世界展開構想
天然ガス発電所10基の計画

AI企業は、単発の質問に答えるチャットボットから、長時間にわたり自律処理するAIエージェントへ開発の軸足を移し、データセンターの電力需要を押し上げています。WIREDが2026年9月13日に報じました。エージェントは一つの依頼を数十から数百の指示に分け、並列の補助エージェントも動かすため、利用者一人あたりの計算量が大きくなることが背景です。

例えばウェブサイト制作では、エージェントが数時間動き、ページやメニュー、データセットごとに自ら指示を出し直します。OpenAIは1万超のエージェントが270万件のメッセージを交わして数学の難題を解いたと発表しましたが、数学者は主張に異議を唱えており、処理費用も数千万ドル規模との推計にとどまります。

課題は消費電力の実態が見えないことです。AI企業は個人の単発質問を基準に資源消費を説明しがちですが、エージェントの仕事は簡単な作業から丸一日の自律コーディングまで幅が広く、用途別の信頼できるデータも不足しています。

気候科学者Zeke Hausfather氏は、自身のClaude利用が一日平均で冷蔵庫2台超を動かす電力量に相当し得ると試算しました。ただし、基礎データには古い部分があるとの指摘もあり、これは開示不足の中での概算です。

Metaは個人向けエージェントMuseを世界の数十億人に提供し、利用者ごとにオフライン中も動く専用のクラウドコンピューターを用意する構想です。個人利用の炭素負荷は日常的な航空利用や牛肉消費より小さいとされますが、全員が使えば新たな排出源となり、ルイジアナ州のデータセンター計画Hyperionを天然ガス発電所10基で支える規模の投資にもつながります。

元EPA職員団体、AIデータセンター規制緩和に警鐘

規制緩和の実態

30件の連邦措置
うち17件がAI関連

広がる健康負担

化石燃料依存の拡大
遠隔地にも及ぶ汚染

求められる対策

大気・水質基準の復元
排出・曝露情報の公開

2026年9月、米国環境保護局(EPA)の元職員らでつくる環境保護ネットワーク(EPN)は、トランプ政権がAIデータセンター建設の迅速化を理由に環境規制を弱め、全米の健康リスクを高めていると報告しました。EPNは、施設の近隣に限らず発電所や半導体製造に伴う汚染が広域へ及ぶとして、政権にデータセンター健康保護誓約の採択を求めています。

EPNの報告書は、2025年1月以降の連邦政府による30件の措置を、データセンター由来の健康被害を悪化させる要因として列挙し、そのうち17件がAIまたはデータセンターを明示的に対象とするとしています。対象には再生可能エネルギー事業の抑制、汚染規制の緩和、既存の発電所や工場に対する一部基準の免除が含まれます。

政権が2025年7月に発表したAI行動計画は、データセンターや半導体工場の許認可を速めるため、大気浄化法、水質浄化法、スーパーファンド法に基づく規制の簡素化・削減を提言しました。記事は、新設ガスタービンや専用発電所など化石燃料への依存に加え、先端半導体の需要が残留性の高い化学物質の生産を再び促していると指摘します。

報告書が引用した大学研究は、AI関連の大気汚染により2028年までに最大1,300人の早期死亡と200億ドル超の公衆衛生費用が生じ得ると試算しました。これは政策変更の追加的影響を織り込まない推計であり、EPNは被害がさらに大きくなる可能性があるとみています。

EPNは、清浄な大気・水質基準を戻し、EPAの執行能力を再建したうえで、排出量、曝露地域、健康影響を測定して公開するよう提案しています。一方EPAは、各措置は大気浄化法の適切な解釈に戻すもので、健康・環境保護と「AIの世界的中心地」化を同時に進める立場だと回答しました。

Nscale、IPO見据え元OpenAI幹部を取締役に

IPO前の人事

シモ氏の取締役就任
秋のIPOを視野
最大35億ドルの調達検討
著名IT幹部との布陣

シモ氏の経験

Instacart上場の指揮
Metaで10年以上の経歴
OpenAIでAGI展開を統括
大規模運営の知見を評価

イギリスのAIデータセンター新興企業Nscaleは2026年9月11日、OpenAIやMeta、Instacartで要職を務めたフィジー・シモ氏を取締役に迎えたと明らかにしました。同社が今秋にも見込むIPOを前に、大規模サービスの運営と上場企業経営の経験を取締役会に加え、急成長に伴う経営体制を厚くする人事です。NscaleはAIデータセンターの設計、建設、運営を手がけています。

シモ氏はOpenAIでAGI展開部門のCEOを務め、事実上のナンバー2とされていました。健康上の理由で2026年7月に退社しましたが、現在も非常勤で助言しています。

それ以前はInstacartの会長兼CEOとして、2023年のIPOを指揮しました。Metaには10年以上在籍し、Facebookアプリ責任者を務めたほか、現在はShopifyの取締役でもあります。

Nscaleのジョシュ・ペイン創業者兼CEOは、シモ氏が数十億人に使われる製品の拡大と、それを支えるシステムへの負荷を理解する数少ない経営者だと評価しました。取締役会にはシェリル・サンドバーグ氏、スーザン・デッカー氏、ニック・クレッグ氏も名を連ねています。ペイン氏は、拡大経験に加え、独立性や財務規律、運営力を備える取締役会を意図的に構成したと説明しています。

Nscaleは設立から2年で、AI基盤への旺盛な需要を追い風に評価額を大きく伸ばしました。Bloombergの報道として、同社はIPO前に最大35億ドルの調達を検討しているとTechCrunchは伝えています。急速な資本拡大を、上場企業に求められる統治と運営へつなげられるかが次の焦点です。

The Verge、AI監視反発の超党派化を分析

反発が広がる背景

超党派の監視反発
可視化されたAI監視網
強制導入への拒否感

AI製品の限界

自然言語操作の誤差
制御と主体性の重視

経営への示唆

領域別の検証可能性
価値と選択権の提示

2026年9月10日、The Vergeのポッドキャスト「Decoder」は、アメリカでAI、監視カメラ、データセンターへの反発が政治的立場を超えて広がる背景を論じました。司会のNilay Patel氏は、利用者の選択を伴わない技術の押し付けと、AIで検索できる監視網の可視性が、従来と異なる反発を生んでいると分析しています。

Patel氏は、愛国者法、令状なしの盗聴、Snowden氏の告発では同規模の反発が起きなかったと振り返ります。現在はFlockのカメラが目に見え、警察が連結された映像をAI検索できるため、市民が日常の体験と監視を結び付けやすいとみています。

反発は共和党支持の強い州や地域にも及び、フロリダ州とテキサス州ではFlockカメラの禁止が進んでいると番組は指摘します。データセンター建設による負担や、Google Meetに組み込まれたGeminiも、求めていないものを受け入れさせる「押し付け」の例として挙げました。

AI製品そのものにも課題があります。Patel氏は、自然言語で指示するエージェントはマウス操作より誤りや解釈の揺れが生じやすく、利便性を広げても、仕事の制御や主体性を損なえば利用者の生産性を下げかねないと論じました。

また、AIはコンパイラで結果を確かめられるソフトウェア開発では強い一方、医薬品など現実世界の検証が必要な領域では同じ発想をそのまま適用できません。企業は利用率だけを支持の証拠にせず、導入が顧客や従業員に明確な価値と選択権を与えているかを問う必要があります。

NVIDIA、来年70%増収を見込む

成長見通し

来年70%増収の見通し
売上高6800億ドル規模

需要を読む力

GB200の月間27%成長
全AIモデル対応の基盤

投資と競争

1000億ドルの顧客契約
自社製AIチップとの競争

NVIDIAの創業者兼CEO、ジェンスン・フアン氏は9月10日、ゴールドマン・サックスの技術会議で、来年の売上高が前年比70%増える可能性があるとの見通しを改めて示しました。AI向け計算基盤の幅広い採用と、サプライヤーからデータセンターまで需要を把握できる立場を根拠に挙げ、アナリスト予想を基にすれば売上高は約6800億ドルとなります。

成長の足元を示すのが、36基のGrace CPUと72基のBlackwell GPUを組み合わせたGB200 NVL72です。フアン氏によると、同システムの受注は月間27%のペースで伸びています。

同氏は、NVIDIAがAnthropic、OpenAI、Googleのモデルに加え、オープンウェイトのモデルにも対応する点を強調しました。メモリー企業、機器メーカー、クラウド事業者、AI新興企業と連携し、世界の土地や電力、データセンター建設の動向まで追跡していることが需要予測の根拠です。

一方、NVIDIAが投資先に自社製品を買わせる循環取引への懸念もあります。フアン氏は、投資前に顧客から収益を生む実契約を確認しており、把握する契約総額は1000億ドルだとして、リスクを抑えていると説明しました。

高成長は続くのでしょうか。Amazon、Microsoft、GoogleやAI研究企業が独自チップを開発し、Cerebrasなども競争を強めるなか、AI企業がインフラやトークン利用を効率化すれば需要構造が変わる可能性があり、70%成長の実現性は今後の検証を待ちます。

GitHub、8月に5件の障害と再発防止策

障害の全体像

8月に計5件の障害
最長10時間42分
Actions障害2件

原因と影響

基盤容量の余力不足
再試行による負荷増幅
外部事業者の障害

改善策

Azure移行の継続
自動拡張と監視強化

GitHubは2026年9月10日、同年8月にGitHub Actionsや認証基盤、Copilotなどで計5件の性能低下が発生したと公表しました。急増する利用に対して一部の共有基盤やデータベースの余力が不足し、展開時の容量減少、負荷集中、クラウド事業者やAIモデル提供元の障害が影響を広げました。同社はAzure移行、容量管理、自動復旧、監視強化を優先します。

8月6日のActions障害は10時間42分続き、通常の展開で稼働Podが一時的に減った結果、サービスメッシュや残る拠点が飽和しました。8月26日には高負荷時のイベント急増で共有データベースが限界を超え、実行開始の失敗や遅延が2時間50分続きました。

8月17日の障害は7時間35分続き、単一データセンターのロードバランサーとサービスメッシュの上限超過が共有認証経路へ波及しました。クライアントの再試行不具合も負荷を増幅し、Issues、プルリクエスト、API、Actions、Copilotなどにエラーや遅延が広がりました。

8月20日はクラウド事業者側の地域障害でCopilot cloud agentのタスク状態更新が遅れ、少なくとも54組織が影響を受けました。タスク自体は完了し、作業の消失はありませんでした。8月27日は上流事業者の性能低下でKimi K3のリクエストが最大で半数超失敗しましたが、他モデルとAuto設定は影響を受けませんでした。

再発防止では、サービスメッシュとActionsの余力・自動拡張、データベース負荷を抑える自動遮断、地域切替の改善、再試行制限を進めます。短期策としてActionsジョブの33%を余剰容量へ移し、キャッシュCPUのピークを98%から80%へ下げ、約3カ月の余力を確保しました。Azureでは本番MySQLのプライマリー切替を顧客影響なく実施し、移行済みサービスの読み取り比率は最大60.4%に達しました。

マサチューセッツ州、データセンターに電力確保義務

電力確保を義務化

25MW超が対象
自前電源の確保義務
新設支援か基金拠出

クリーン電力基準

2030年に最低40%
風力・太陽光・水力
比率の段階的引き上げ

審査と地域対応

税優遇申請の一時停止
秘密保持契約の回避要請

マサチューセッツ州のモーラ・ヒーリー知事は9月9日、州内でピーク需要25メガワットを超えるデータセンターの開発事業者に、自前の電源確保と州基準に沿うクリーン電力の保証を求める新たな行政命令を打ち出しました。対応できない場合は近隣の新規電源建設への資金提供か、電気料金負担者の保護基金への支払いを求めます。

知事は施設内でのクリーン電力発電を望ましい選択肢としています。一方、州法上の基準は使用電力の全量ではなく一部が対象で、風力、太陽光、水力などの承認済み電源を2030年には少なくとも40%とし、この比率を年ごとに引き上げます。

州は地域社会に対し、データセンター事業者との秘密保持契約を避けるよう指示しました。規制当局が新たな制限を実施する時間を確保するため、前月に始まったデータセンター向け売上税免除の申請も一時停止します。

マサチューセッツ州は、3カ月連続でデータセンター開発を抑制した3番目の州となりました。テキサス州は8月、新設施設に公益事業委員会と送電網運営者ERCOTの監査を課し、ニューヨーク州は7月、50メガワット以上の新設工事を停止しました。

背景には、データセンターに対する住民の反発と、それに応えようとする政治家の動きがあります。これに対し、マーク・アンドリーセン氏らが資金を出すAI推進の政治活動委員会は、中間選挙を前に激戦州で有権者向け広告を展開しています。

Google、フィンランドAI基盤へ130億ユーロ

投資と雇用効果

2年で130億ユーロ投資
建設期に3万7000人超支援
年36億ユーロのGDP寄与

電力網への対策

原発稼働を2050年まで支援
新規陸上風力629MW契約
94MW蓄電池で系統安定

地域人材を育成

地域へ3100万ユーロ投資
4400人超にAI再教育

Googleは2026年9月9日、今後2年間でフィンランドのデジタル基盤、クリーンエネルギー、経済連携に130億ユーロを投じると発表しました。検索、地図、Geminiなどの需要増に対応するため、ハミナ、カヤーニ、ムホス、バーラでデータセンターなどを拡充します。同社によれば、欧州で過去最大の単一投資です。

2027〜28年の初期建設段階で全国3万7000人超の雇用を支え、フィンランドのGDPに年36億ユーロ寄与する見込みです。全面稼働後はエンジニア、警備、給食など数千人の恒久雇用を支えます。

北部・中部の立地は、発電地に近い場所で電力を使い、送電網の偏りを抑える狙いです。委託調査では、仮にオウル・カヤーニ地域へ1GWの新規需要を置くと、南部に置く場合より20年間で消費者負担を推計5億2000万ユーロ減らせるとしました。

ロビーサ原発の稼働延長を支える22年の電力購入契約により、同発電所の2050年までの運転と設備増強を後押しし、国内電力供給の10%を維持します。さらに新規陸上風力の契約総量を629MWへ増やし、2027年後半の稼働を見込む94MW蓄電池で価格変動と需給のずれを抑える計画です。

地域面では今後4年間に4自治体へ3100万ユーロを投じ、4400人超の労働者にAIスキル研修、学生100人にデータセンター職向け訓練機会を提供します。自治体住宅の太陽光や学校・スポーツ施設の蓄電池・ヒートポンプも支援し、AI基盤の拡大と地域の電力負担軽減を組み合わせます。

ControlAI、超知能AIの開発停止を主張

開発停止を求める理由

制御不能リスクへの警戒
自己改良を分岐点と認識
整合・封じ込め策の限界
超知能を敵対者と表現

政策と国際協調

米国法案は過剰との見方
英国法案への助言
検証付き国際合意の提唱
中国にも開発利益なしとの見解

非営利団体ControlAIの米国エグゼクティブディレクター、コナー・リーヒー氏は2026年9月9日、TechCrunchの番組で、企業による超知能AIの開発を止めるべきだと主張しました。人間を上回る能力を持つAIは確実に制御できず、整合性の確保や封じ込めだけでは危険を管理できないとの判断で、米国や英国に広がる規制法案と国際的な検証体制を対策として挙げています。

背景には、AI企業が超知能を不可避なものとして語る一方、OpenAIのHugging Face侵害など安全上の問題が起きている状況があります。リーヒー氏は、整合性の確保と封じ込めだけではリスクが大きすぎるとの立場です。

同氏が真の後戻りできない地点とみるのは、AIがより優れたAIを作れるようになる段階です。自己改良が連鎖して制御困難になる可能性を踏まえ、超知能を人間が扱う「武器」ではなく「敵対者」と表現しました。

政策面では、米国のサンダース、カサール両氏による「超知能禁止法案」と、ControlAIが助言した英国の並行法案を取り上げました。一方で、米国法案は必要以上に踏み込む可能性があるとの見方も示しています。

リーヒー氏は、先端AI研究所を利益追求だけの企業ではなく政治的主体として捉え、データセンター建設に投じられる巨額資金の意味を問います。国際対応では「信頼するが検証する」合意を提唱し、中国にとっても超知能の開発は利益にならないとの見解を示しました。

Besxar、SpaceXで軌道半導体工場を試作

宇宙での初回実証

軌道上の真空を製造に活用
初回試験で汚染抑制を確認

資金と開発計画

約1,400万ドルの調達
2年間の段階的な製法拡張

量産への条件

安価な宇宙輸送が前提
電力制御用ウエハーの供給

宇宙半導体スタートアップのBesxarは、SpaceXのFalcon 9ロケットを使い、軌道上の半導体工場を約12回の飛行で段階的に試作する計画です。TechCrunchが2026年9月9日に報じました。地上工場が巨額の費用をかけて清浄環境をつくる一方、同社は宇宙の真空を利用して先端半導体材料への汚染を抑え、効率的な製造を目指します。

最初の小型容器「fabship」2基は7月のStarlinkミッションで飛行し、打ち上げへの耐久性、ウエハー試料の汚染防止、真空への曝露を検証しました。1基では飛行データシステムが故障したものの、試料は地上に置いた比較用ウエハーより清浄で、粒子状物質も少なかったと同社は説明しています。

同社は元OpenAI社員のAshley Pilipiszyn氏が創業し、これまでに約1,400万ドルを調達しました。このうち900万ドルはDauntless VenturesとOverture VCが主導したシードラウンドです。

今後2年間はウエハーの加熱、単一材料の成膜、複数材料の成膜へと試験を段階的に進めます。評価用試料を生産できれば、データセンターやロボット、電気自動車で電力を制御する先端半導体向けウエハーを大手チップメーカーに供給する構想です。

量産への最大の課題は、製品を地球へ十分な量で安く戻せる輸送手段です。1工場当たり数百枚から数千枚への拡大は、SpaceXのStarship実用化か、Rocket LabやStoke Spaceによる次世代ロケットの就航に左右されます。

OpenAI、10億人基盤と自社半導体の成長戦略

広がる顧客基盤

週10億人超の利用基盤
導入企業250万社
登録半年で送信量5割増

研究と収益の循環

研究成果の複数製品展開
広告と有料課金の併用
収益の研究再投資

計算基盤の効率化

提供コスト2割削減
自社半導体の年内配備

OpenAIは2026年9月8日、世界の10億人超の週間利用者と250万社の導入基盤を生かし、モデル研究、製品、計算基盤を一体で運営する成長戦略を示しました。高性能モデルを既存製品へ広げ、利用増で得た収益を次の研究とインフラに再投資し、AIが担える業務を増やしながら提供コストを下げる循環を狙います。

GPT-6 Astraなどの研究成果は、ChatGPT、ChatGPT Work、Codex、API上のアプリに反映します。一つのモデル研究を複数の製品と収益源につなげ、消費者、企業、開発者の間で利用を広げる設計です。

OpenAIの個人プラン調査では、登録6カ月後の日間メッセージ量は初月より約50%多く、試した仕事の種類は約2倍でした。広告で支える無料利用を入り口とし、価値を見いだした顧客の定額契約や従量課金へつなげる段階的な収益モデルを採ります。

同社の研究組織は2026年8月中旬時点で、人間の1労働日につき3.1エージェント日分の作業を使い、コード作成や実験を増やしていると説明します。人間が研究の優先順位と結果を判断し、AIに複雑な作業を任せる役割分担です。また、社内モデルが約90年間未解決だったナビエ・ストークス方程式のミレニアム懸賞問題の解法を生み出したと発表しました。

計算基盤では、データセンター、半導体、ソフト、モデル、製品を一体で最適化します。OpenAIによると、GPT-5.6 Solで本番提供コストを20%下げ、別の改善でトークン生成効率を15%超高めました。自社推論半導体Jalapeñoは、比較試験で電力当たりの最大処理量が商用システムの1.5〜1.9倍、遅延が1.7〜3.6分の1となり、年末までに配備を始める計画です。

TeraWulfの32億ドルAI施設、責任不透明

企業構造の壁

32億ドル規模のAI施設
住民対話を拒む事業者

規制の届かぬ施設

包括法案は知事署名待ち
既存500MW計画は対象外

地域に残る課題

消火用水の不足継続
建設継続と防災懸念

Ars Technicaは2026年9月7日、複雑な企業網の背後にある32億ドル規模のAIデータセンターを巡り、地域社会が責任主体を特定しにくい実態を報じました。TeraWulfはメリーランド州の施設について、連邦エネルギー規制委員会(FERC)の規則に対面で住民と会う義務はないとして、Public Citizenが求めた公開の地域会合への参加を断りました。

この姿勢はニューヨーク州サマセットでも見られ、記事は説明責任の難しさがデータセンターの技術基盤の各層に及ぶと指摘します。所有・運営を担う企業関係が複雑になるほど、住民が誰に説明や是正を求めるべきかが曖昧になる構図です。

ニューヨーク州議会は6月初め、20MW以上の新規施設への1年間の許可停止を含む「責任あるデータセンター開発法」を可決しました。環境影響分析、エネルギー効率基準、建設現場の適正賃金、2040年までの再生可能エネルギー移行、立地地域への具体的投資も求める包括案です。

しかし、可決から3カ月後も法案は知事の署名を得ていません。ホークル知事が7月に出した行政命令は50MW超の超大規模施設の新規許可を1年間止める内容ですが、500MWのLake Marinerは命令前に許可済みで、対象外です。

サマセットでは火災から2カ月が過ぎても、消防がタンク車で水を運ばざるを得なかった給水問題が解消していません。一方で建設は減速しておらず、AIインフラの拡張に地域対話と防災対策が追いつかない状況が続いています。

米国のデータセンター反対、中国関与説に乏しい証拠

反対世論の拡大

地元建設への反対75%
前年42%からの上昇
超党派で強まる強硬姿勢

中国関与説の根拠

Xの中国関連200アカウント
ボット網全体は20万件
既存の不満を利用した活動

国内要因との見方

Graphikaは国内発と分析
環境懸念とAIへの反発

WIREDは2026年9月6日、米国でデータセンター建設への反対が広がるなか、技術業界や一部共和党関係者が中国の影響工作を原因とみなす動きを報じました。しかし、XやOpenAIが中国関連の活動を確認した一方、反対世論全体を中国が動かしたと示す証拠は乏しく、分析会社Graphikaは大半を国内発の動きとみています。

世論調査では、地元へのデータセンター建設に反対すると答えた米国人は75%に達し、前年の42%から大幅に増えました。中間選挙を控え、テキサス州知事のグレッグ・アボット氏やペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏など、従来の推進派も厳しい姿勢へ転じています。

Xは8月下旬、反データセンター論を拡散した中国関連の200アカウントを特定しました。ただし、同社が確認したボット網は計20万アカウントで、該当する200件は一部にすぎません。OpenAIも6月、中国政府と関係するとみられる利用者群を停止しましたが、同社自身が既存の不満を利用した活動だと認めています。

Graphikaは、オンライン上の反対の大半が米国内から生じており、重大な外国介入を示す証拠は今もほとんどないと説明しました。推進派にも支持されるブロガーのアンディ・マスリー氏も内部情報を公募しましたが、確かな情報は得られていません。

記事は反対の背景として、環境への懸念、富裕層に有利と映る政治制度、AIそのものへの抵抗を挙げています。経営者や政策担当者にとって重要なのは、影響工作の存在と世論を左右する規模を混同せず、地域住民の実際の不満に向き合うことです。

ChatGPT・Claude・Grokで同時障害

障害の範囲

主要3サービスの同時障害
ChatGPTの広範な機能停止
Claude APIへの影響

復旧の経緯

Claudeは12時16分復旧
ChatGPTは12時55分復旧
Grokも同日中に復旧

原因と関連性

Claudeは基盤上の問題
Grokはメンフィス拠点障害

2026年9月3日木曜日の朝、OpenAIのChatGPT、AnthropicのClaude、xAIのGrokで障害が重なり、多くの利用者が主要なAIサービスを使えなくなりました。チャットだけでなく、APIや開発支援、ファイル処理などにも影響が及び、各社は同日午後までに復旧を進めました。障害同士の関連は確認されていません。

OpenAIは東部時間午前10時43分、ChatGPTとCodexでエラー増加と性能低下を報告しました。会話に加え、ログイン、ファイルのアップロード、音声、検索、Deep Research、画像生成などが影響を受け、緩和策の導入後、午後0時55分に復旧としました。

Anthropicは午前9時23分、Claude Mythos 5.1、Fable 5.1、Opus 5への要求でエラーが増えたとして、部分障害を公表しました。チャット、Claude Code、APIに及んだインフラ問題は午後0時16分までに解消し、正午過ぎにはSonnet 5でも短時間の別障害が報告されました。

xAIのGrokは午前9時30分ごろ、Android、iOS、ウェブで障害が始まり、利用者にはモデル過負荷を知らせる文言が表示されました。DownDetectorへの報告は午前9時前の10件未満から9時45分には1,365件に急増し、xAIは原因をメンフィスのデータセンター障害と説明して、その後復旧しました。

Ars TechnicaはGoogleを含む4社のクラウドAIで数時間にわたり障害が重なったと報じました。一方、確認できた各社説明はClaudeとGrokの個別原因にとどまり、三社の障害が関係していたか、なぜ同時期に集中したかは不明です。

Reliance Jio、クラウドPCを他社回線にも開放

提供範囲の拡大

他社回線からも利用
既存PCへの仮想環境

料金と性能

2カ月1000ルピー
最大8仮想CPU
最大16GB・1TB

普及上の課題

安定通信への依存
中古PCとの競争
端末所有を好む市場

Reliance Jioは2026年9月2日、インドでクラウドPCサービス「JioPC」を自社の固定回線契約者以外にも開放しました。通信会社を問わず、インターネット接続と既存のパソコンがあればJioのクラウドから仮想PCを利用でき、買い替えや機器増設なしで最長8年前の端末にもAI用途に必要な計算力を提供する構想です。

プランは最大8個の仮想CPU、16GBのメモリー、1TBの保存容量を備え、処理と保存の多くをJioのデータセンターへ移します。価格は2カ月1000ルピーからで、1年契約は8GB・500GB構成が4000ルピー、16GB・1TB構成が5000ルピーです。

IDCによると、インドでは2025年に6500万台超のパソコンが使われ、2026年末には約6900万台へ増える見込みです。消費者と小規模企業の買い替え周期は2022年の4~5年から5~6年へ延び、企業も従来の3年から約4年へ長期化しています。

Jioは機器を買い替える代わりに計算能力へ継続課金する市場を開き、端末の利用期間をさらに延ばそうとしています。市場調査会社の専門家は、従来型パソコンを置き換えるのではなく、新しいAI対応機を買いにくい家庭や学生向けの価格重視層を形成する可能性があるとみています。

一方、JioPCは安定したインターネット接続が必要で、通信障害が起きれば利用体験に影響します。機器を所有する傾向が強いインドでは、オフラインでも使える従来型や低価格の中古パソコンとの競争も残ります。

Jioは旧型端末を「AI対応」にできると訴えますが、公表仕様には端末上で生成AIを動かす専用のAI演算装置が記載されていません。普及の分岐点は、利用者がクラウドの計算能力を一時的な代替手段ではなく、料金を払う日常的なサービスと受け止めるかどうかです。

Far Labsなど、家庭PCの余力をAI推論に有償活用

余剰計算力を市場へ

端末所有者への報酬
既存設備の有効活用
小型モデル中心の推論

安全性と分散処理

最小権限による保護
処理資源の利用制限

コストと可用性

設備投資の抑制
近隣処理による低遅延

IEEE Spectrumは2026年9月1日、Far LabsやEvolving Edgeなどが、家庭や小規模事業者の余剰計算力をAI推論に使い、端末所有者へ対価を払うサービスを紹介しました。既存のCPUやGPUをネットワーク化し、主に小型のオープンソースモデルを動かすことで、大規模データセンターを補完します。

Evolving Edgeはオープンベータ中で、Far Labsは数週間以内にFar AIを開始する予定です。利用者はアプリを導入し、稼働時間を指定して、許可した範囲で推論処理を受け入れます。

安全対策では、Evolving Edgeがスケジューリング用ソフトウェアを公開し、Far Labsは最小権限の設計を採用します。処理を隔離し、通信を認証・暗号化するとともに、GPU、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークの使用量に上限を設けます。

家庭用端末は性能や接続品質が不均一なため、最先端の巨大モデルには向きません。一方、業務別に調整した小型モデルなら単一端末でも動かせ、必要に応じてRayなどで処理を複数のCPUやGPUへ分割します。

両社は、既存設備を使うため設備投資を抑えられ、ノードの分散によって障害への耐性も高まると説明します。Far Labsは遅延100ミリ秒以下をうたい、近隣端末への処理割り当てがゲーム内AI動画生成などの用途を広げる可能性を示しています。

NY州知事、データセンター新設に一時停止命令

データセンター抑制策

2026年7月に一時停止命令署名
州内5件申請で原発1基分消費
テキサス州知事も追随

AIで州政府を効率化

全規則をAIで精査、150万時間節約
最初の50件簡素化を発表
データセンターに効率化を要求

雇用不安と監視への配慮

失業の81%は女性が該当と指摘
Flockカメラの乱用是正を明言

ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、動画ポッドキャスト番組「Decoder」のインタビューで、AI(人工知能)普及に伴うデータセンター建設ラッシュについて、2026年7月に署名した一時停止命令の狙いを説明しました。AI自体は容認しつつ、業界には「悪影響をもっと減らす」よう強く求める姿勢を鮮明にしています。

背景には、急増するデータセンター建設申請への危機感があります。同知事によると、州内の一部郡だけで申請中の5件のデータセンターが、原子力発電所1基分に相当する電力を消費する見込みだといいます。同知事はこうした事態を受け、原子力発電の拡大にも乗り出す方針を示しました。

同知事は、地元自治体がテック大手との交渉で不利な立場に置かれている現状も指摘しました。小さな町の担当者が巨大企業と対等に渡り合うのは難しいとして、他州の事例を参考にした「コミュニティ投資の枠組み」を整備する考えを明らかにしています。あわせて、税優遇の見直しにも言及しました。

AI企業各社に対しては、省電力・省スペースのデータセンター設計を追求するよう強く促しました。垂直型施設や小型モジュール炉の活用など、技術革新による解決を求める一方、業界の「広報姿勢」にも苦言を呈しています。

一方で同知事は、州政府の規制見直しにAIを積極活用してきたことも明かしました。全ての規則をAIで分析させ、1カ月で数千件の改善提案を得たといい、すでに最初の50件を発表、住民や企業の作業時間を150万時間超節約したと説明しています。

その一方、AIによる雇用喪失への不安にも触れ、影響を受けやすい職の81%を女性が占めるとの見方を示しました。監視カメラ「Flock」の運用については、情報の自動転送ではなく人の目による確認を義務付けるべきだとの考えを述べ、行き過ぎた監視への懸念にも配慮する姿勢を見せました。

エヌビディア、メディアテックに35億ドル出資しAIチップ強化

出資の内容

35億ドルの大型出資
NVLink Fusion技術を供与
カスタムAIチップ設計を支援

業界の背景

米大手も自社チップ開発
エヌビディア依存の低減狙う
循環出資でエコシステム維持

今後の展開

DGX Sparkで開発機共同展開
車載AI向け協業も継続

エヌビディアは台湾のMediaTek(メディアテック)に35億ドル(約5000億円)を出資すると発表しました。生成AIの普及でデータセンター向け半導体需要が急拡大する中、MediaTekがエヌビディアの技術を採用し、AI企業やクラウド大手向けのカスタムAIチップを設計しやすくすることが狙いです。両社の提携で、MediaTek製半導体をエヌビディアのデータセンターに直接組み込めるようになります。

今回の提携でMediaTekは、エヌビディアのNVLink Fusion技術を利用できるようになります。NVLinkは自社製以外の半導体同士でも高速通信を可能にする技術で、これによりMediaTekは顧客企業ごとに最適化したチップを、エヌビディアの規格に沿った形で提供できます。エヌビディアの幹部は「我々はAIインフラ企業として、単なる演算チップの枠を超えて事業を広げてきた」と説明しています。

背景にあるのは、Amazon、Google、Microsoft、OpenAI、Anthropicなど主要なAI企業やクラウド大手が、エヌビディアへの依存度を下げるため自社製チップの開発を進めている動きです。エヌビディアは今回のような出資や提携を通じて、こうした独自開発の流れに一定の関与を保ちながら、データセンターの基盤技術としての地位を維持しようとしています。先週にはAmazon Web Servicesとも同様の提携を発表したばかりです。

MediaTekはこれまでもASIC(特定用途向け集積回路)事業を段階的に拡大しており、今年の関連事業の売上高は20億ドルに達する見通しを示しています。今回の提携を通じて顧客基盤の拡大を図る考えです。

両社は開発者向け小型AIコンピューター「DGX Spark」や、コンシューマー向けAI PC「RTX Spark」でも協業を続けています。さらに自動運転や車載コックピット向けのプラットフォーム開発でも連携を深めており、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは「AIはあらゆるコンピューティング基盤を変えつつある」とコメントしています。

SpaceXがタービン翼を内製、稼働を最大18カ月前倒し

自社製造の狙い

米バストロップに秘密工場
タービン翼を内製化
供給網は4社が寡占

電力供給への効果

最大18カ月前倒し
ガスタービン増産を加速

汚染への懸念

メンフィスで無許可疑惑
NAACPが是正要求
年間最大6.5人死亡推計

米宇宙企業SpaceXを率いるイーロン・マスク氏は8月29日、同社がテキサス州バストロップで進めていた秘密工場の目的を、ガスタービンの翼(ブレード)の内製鋳造だと明らかにしました。人工知能(AI)データセンター向け電力不足の解消を狙ったもので、外部委託より最大18カ月早くタービンを稼働させられるといいます。同日には調査報道メディアThe Informationが、求人情報などから同社が鋳造工場を建設中と報じており、マスク氏の発言はこれに応じた形です。

AI業界では画像処理半導体(GPU)の不足に加え、電力網の逼迫という新たな制約が浮上しています。国際エネルギー機関(IEA)は2030年までに世界のデータセンター消費電力がほぼ倍増すると予測しており、タービン大手GEベルノバは2030年までの生産枠がほぼ売り切れの状態です。

タービン翼は摂氏約1650度から2000度という、素材の融点を上回る高温にさらされるため、単結晶構造で欠陥なく鋳造する高度な技術が必要です。この製法を量産規模で実現できる企業は世界に4社しかなく、いずれも受注が満杯の状態が続いています。

SpaceXが内製化に成功すれば、他のAIインフラ事業者が依存する寡占的な供給網から独立し、競合他社に対する優位性を握ることになります。マスク氏は自社の太陽光発電と組み合わせ、天然ガスタービンを橋渡し役として活用する考えを示しています。

一方で、ガスタービンの増設は大気汚染への懸念とも表裏一体です。同氏が率いるxAIがメンフィスで稼働させるタービンについて、全米黒人地位向上協会(NAACP)は必要な許可や排出制御を経ていないと繰り返し批判しています。研究者は近隣で大気汚染がわずかに悪化したとの分析結果も示しています。

バージニア州の「データセンター街道」でも同様の問題が指摘されています。米環境保護庁(EPA)の手法を用いた民間調査では、1施設のタービン群だけで年間3.4人から6.5人の早期死亡と、最大9900万ドルの健康被害額が生じると推計されています。

Metaがデータセンター保守にロボット試験導入

拠点ごとの実証実験

アルトゥーナで双腕ロボット試験中
ワトニー製ロボットが配線作業
ニューオールバニーにも新拠点
ABB製ロボットが部品再装着

導入における課題

稼働は人が監督する体制
充電時間の長さが課題に
GB300向け配線対応は困難
専門家「実用解はまだない」

Metaは、傘下のデータセンターで配線作業や部品交換をロボットに任せる実証実験を進めています。ペンシルベニア州アルトゥーナの拠点では昨年6月から、双腕型ロボット「ワトニー」による配線作業の試験が続けられており、人手不足への対応や作業効率化、コスト削減を見据えた動きとみられ、成果が出れば他拠点への展開も検討される見通しです。

アルトゥーナは新技術の実証拠点として知られ、成果が出れば他拠点に展開される仕組みです。ワトニーのロボットは人の監督下で稼働しており、作業速度はまだ人には及ばないものの、着実に実績を積んでいます。

ワトニーは2023年設立のスタートアップで、当初は洗濯物畳みや清掃向けロボットを手掛けていました。しかし昨年、事業の軸をデータセンター向けに転換し、Metaのような大手事業者への売り込みを強めています。

Metaはオハイオ州ニューオールバニーの新拠点「プロメテウス」でも別のロボットを試験投入しています。自動化大手ABB製の四輪ロボットで、はさみ式の昇降機構と六軸アームを備え、部品の再装着作業を担っています。将来的には人の監督を減らしながら、より多くの作業を任せる計画です。

ただし専門家の見方は慎重です。データセンター向けロボットを開発するエクスクレイム・ロボティクスのヘレン・オレイニコワCEOは、「実証実験やデモは数多くあるが、実用に耐える解決策はまだ存在しない」と指摘します。Meta社内でも、ロボットの充電時間の長さに不満を持つ従業員がいるといいます。

さらに、エヌビディアの「GB300」スーパーコンピューターに必要な高密度の配線作業など、ロボットには不向きな業務も残っています。元Meta従業員は「あらゆる設備は人の手で扱うことを前提に設計されてきた」とし、「作り直すには時間がかかる」と話しています。それでも現場では、ロボット活用に向けた準備が着実に進められています。

キャタピラー、鉱山自動化の知見をAI展開に活用

現場へのAI導入

音声AIが修理手順を案内
接続機器160万台のデータ活用
AIでレガシーコードを刷新

浸透への課題

自動化拡大へ運用体制見直し
熟練者の知見をAIに継承
11万8000人へ再教育計画

業績への効果

売上高205億ドルで最高更新
発電向け売上72%増加

建設・鉱山機械大手のキャタピラーは、今月米ラスベガスで開催されたAi4カンファレンスで、最高技術責任者(CTO)のジェイミー・マイナート氏が、数十年かけて培った鉱山自動化の知見を企業向けAI導入に活用する方針を明らかにしました。多くの企業がAI技術を日常業務に統合する難しさに直面する中、同社は自動化事業で得た教訓を横展開する狙いです。

具体策の一つが、現場の技術者が機械の前で音声コマンドを使い、修理手順の確認やトラブルシューティング、必要部品の特定を行える「CatAIアシスタント」です。マイナート氏によると、既に顧客や現場のオペレーター、技術者に利用が広がっているといいます。このツールは同社が保有する接続機器のデータを基盤としており、世界で約160万台の接続資産から得られる16ペタバイト超の構造化データを活用しています。

キャタピラーは製造現場のスキャンやデジタルツイン生成にもAIを活用し、稼働状況の分析を進めています。ソフトウェア開発の分野でもAIエージェントを使い、老朽化したコードの刷新や新規ソフトの生成・テスト、不具合の早期発見に取り組んでいるとマイナート氏は説明しました。

一方でマイナート氏は、技術を開発するだけでは不十分だと強調します。自律機械の導入は現場の作業員の働き方や既存の業務プロセスの見直しを伴うためです。同社は熟練オペレーターの知見をAIシステムの学習に活用しており、単一機械の操作から遠隔指令センターで複数機械を監督する役割へと移行するオペレーターも出てきています。

この変化は従業員11万8000人の再教育という新たな課題も生んでいます。キャタピラーは今後5年間で1億ドルを投じ、AI・自動化・ロボティクス分野の人材育成を進める計画です。

こうした投資は、AIインフラ需要の拡大による業績拡大を後押しする狙いもあります。第2四半期の売上高は205億ドルと過去最高を記録し、データセンター向け発電設備の需要増を受けて発電部門の売上は72%増の31億ドルに達しました。ジョー・クリード最高経営責任者(CEO)は、クラウドコンピューティングと生成AIインフラへの需要について「減速の兆しはない」と述べています。

Nvidiaの優位性、GPUからデータ制御へ拡大

決算後の新解釈

Nvidia株価、GPU競争で伸び鈍化
データ制御に新たな優位性

Vera Rubinの中身

RubinGPUにVera CPU組み合わせ
Groq3など推論加速機も搭載
Vera CPUがデータ最適配置

他社も追随

OpenAIのJalapeñoも同型狙い
次の競争軸はシステム全体へ

半導体大手Nvidiaは今週の決算発表を受け、GPU単体の性能だけでなく、データセンター全体を効率よく動かす周辺システムにも大きな強みを持つことが投資家の間で改めて注目されています。競合するハイパースケーラー各社が自社チップの開発を進める中、Nvidiaはデータ移動の最適化という新たな競争軸で優位に立ちつつあります。

これまでNvidiaに対しては、AmazonやGoogleなど大手クラウド事業者が独自チップの開発を進め、GPU市場での「一強」体制が崩れつつあるとの見方が主流でした。実際、2023年から2025年半ばにかけて時価総額が10倍に伸びた後、この1年は株価の伸びが鈍化しています。

しかし今回の決算を機に、新たな見方が広がっています。Nvidiaが展開する新アーキテクチャ「Vera Rubin」は、GPU「Rubin」に加え、CPU「Vera」や推論加速機「Groq 3 LPX」、ストレージ・ネットワーク用ラックを組み合わせた構成です。担当者によると、Vera CPUはサーバー内のメモリ配置を最適化し、GPUへのデータ供給を効率化する役割を担っています。

同社ストレージ技術担当のジェイソン・ハーディ氏は、Vera CPUの導入によって関連処理で最大3倍の性能向上が確認されたと説明しています。メモリ容量の拡大が進む一方で、GPUに適切なタイミングでデータを届けることは容易ではなく、こうした「交通整理」の巧拙が電力あたりの処理性能を左右するといいます。

同様の課題は他社にも共通しています。OpenAIが独自開発した推論チップ「Jalapeño」も、データ移動そのものを減らすことで効率を高める設計です。同社はブログで、ワークロードを一つの統合システム内で完結させることでデータ移動と通信遅延を最小化したと説明しており、アプローチは異なるものの狙いはNvidiaと共通しています。

データ処理の効率化という新たな土俵では、Nvidiaも他のチップメーカーやハイパースケーラーとの競争を免れません。それでも記事は、少なくとも現時点でNvidiaが大きく先行していると結んでいます。

EPA、データセンター建設時の住民意見公募を廃止提案

提案の内容

大気汚染規則の撤廃を提案
公聴会義務を州に移管
対象は「マイナー排出源」

反対の声

環境団体200超が撤回要求
意見公募に4900件超

先行事例

xAIのコロサス1が先例
無許可ガスタービンで提訴警告

トランプ政権下の米環境保護局(EPA)は、データセンターなど産業施設が大気汚染物質の排出許可を申請する際、周辺住民に事前通知し意見を募る公聴会義務を撤廃する規則案を提案しました。1970年代から続く「新規排出源審査」制度の一部を見直し、対象施設への通知や意見公募の判断を各州や地方当局に委ねる内容で、環境保護団体は住民の声が届かなくなると懸念しています。

EPA長官のリー・ゼルディン氏は、現場に近い州や地方当局の方が実情に精通しているとして、「不要で負担の大きい規制」を削減する狙いだと説明しています。今回の変更は比較的排出量が少ないとされる「マイナー排出源」が対象で、埋立地や製紙工場に加え、生成AI向けデータセンターや関連発電所の建設計画にも影響が及びます。

南部環境法センター(SELC)のケリー・パウエル弁護士は、規則が撤廃されればデータセンター開発業者が住民との対話なしに着工できるようになると警鐘を鳴らしています。SELCを含む約200の健康・環境団体は、先週締め切られた意見公募に共同で撤回を求めるコメントを提出しており、EPAは4900件を超える意見への対応を終えるまで最終規則を確定できない状況です。

象徴的な事例として挙げられるのが、xAIがテネシー州メンフィスに建設した大規模データセンター「コロサス1」です。2025年の許可申請時には公聴会が開かれ数千件の意見が寄せられたほか、無許可のガスタービン設置を巡ってSELCと全米黒人地位向上協会(NAACP)がxAIへの提訴を警告する事態にもなりました。

環境団体は、住民が持つ地域特有の知見なしには、施設が周辺に与える累積的な影響を正確に評価できないと主張しています。EPAは提出された意見を精査中で、規則の最終決定時期については明らかにしていません。

Metaのデータセンターロボット、業務最大8割代替も

物理作業へロボット投入

Kinova製アームで電源試験
Watney製ロボットで配線作業
ABB製ロボットで部品交換

雇用への影響懸念

業務の8割代替との試算
従業員に不安広がる
低賃金化への懸念も

業界の潮流

Microsoft・Googleも参入
Altoona拠点で試験先行

Metaが、データセンター内でケーブル接続やサーバー再起動などの物理作業をロボットに任せる実験を進めていることが、複数の現従業員・元従業員への取材で明らかになりました。AIインフラへの投資が急拡大するなか、人件費を抑えつつ拡大するデータセンター網を運用する狙いがあるとみられます。米誌WIREDが2026年8月28日に報じました。

具体的には、Kinova製ロボットアーム「Gen3」でサーバーの電源操作を、別のロボットでネットワークケーブルの交換を試験しています。ある従業員は、成功すれば一部業務の最大8割がロボットに置き換わりうると試算しており、「自分たちは安全だと思っていたが、もう違う」と不安を語っています。

一部拠点では、指のような形状のシンプルな装置でMac miniなどの電源ボタンを遠隔操作する仕組みも導入済みです。Meta広報は取材に対し、人材育成への投資を強調し「熟練労働者が不足しており、必要なのはより多くの人材だ」とコメントしました。一方、同社でロボット部門を統括するEric Xu氏は、将来的にデータセンター内にロボットを配置し、障害対応や予防保全を担わせる方針を示しています。

従来、データセンター内の繊細な作業はロボットに不向きとされ、過去の試験ではサーバーを破損させる例もありました。しかし近年はハードウェアの低価格化とAIモデルの性能向上が進み、状況は変わりつつあります。MicrosoftやGoogle、Amazonも同様にデータセンター向けロボットへの投資を進めています。

Metaの拠点では、ロボット導入により従業員が置き換えられるとの不安が広がっています。一部従業員は、Metaが低賃金の人材を集約配置する技術を開発していると指摘し、「自律的に考える人材ではなく、指示に従うだけの『スマートハンズ』が求められている」と語ります。最大拠点であるアイオワ州アルトゥーナは、新技術の実証拠点として位置づけられています。

一方でMetaは今年、電気・機械・配管分野の人材を無償で育成する長期プログラムを開始し、一部の州では研修修了者の雇用を保証しています。アルトゥーナ市長は自動化について「訪れた時に対応する」と述べ、地域として大きな懸念は示していないのが現状です。

英Ofgem、幽霊データセンターに巨額デポジット義務付け案

接続待ち行列が急増

接続待ち容量、41→125GWに急増
英ピーク需要の1.5倍相当

Ofgemの新規制案

返金不可デポジットを義務化
顧客確保・資金証明も要件に

業界の懸念と展望

投資流出招く懸念も指摘
新興企業に打撃との見方

英国のエネルギー規制当局Ofgemは7月、送電網への接続を申請しながら実際には建設されない「幽霊データセンター」を締め出す制度改革案を公表しました。背景には、AI関連投資の急増で送電網の接続待ちの列が異常に膨らみ、需要予測や増強計画に支障が出ている実態があります。9月まで続く業界意見募集を経て、正式に決定される見通しです。

送電網の接続待ち容量は、2024年11月から2025年6月の間に41ギガワットから125ギガワットへと急増しました。このうちデータセンター関連は73ギガワット超を占め、英国全体の昨年のピーク需要の1.5倍に相当します。政府がデータセンターを「重要インフラ」に指定して以降、投機的な申請が急増したとみられています。

新たな案では、開発事業者に対して返金不可の高額デポジットの支払いを義務付け、最大手のデータセンターでは数億ドル規模になる可能性があります。加えて、事前に顧客を確保していることや、建設に必要な資金力を証明することも求められます。投機目的の申請をふるい落とす狙いです。

一方で業界からは、規制が厳しすぎれば正当な投資までもが米国や欧州の他地域に流出しかねないとの懸念も出ています。専門家は、デポジットが低すぎれば投機を防げず、高すぎれば有望な計画まで潰しかねないと、さじ加減の難しさを指摘します。Nscaleのような新興データセンター企業が特に打撃を受けるとの見方もあります。

それでも規制強化には、送電網の増強計画をより正確に立てられるようになるという利点があります。幽霊データセンターが排除されれば実需に即した投資判断が可能になり、英国が長期的にAIインフラ投資を呼び込む上で有利に働くとの見方も専門家の間にあります。

データセンター冷却の水消費、全米の1%未満と算出

水消費の実態

66億リットルを冷却に使用
全米消費の1%未満
農業・製造業が圧倒的に多い

乾燥地域への影響

乾燥地域で水資源が逼迫
AI拡大で懸念が今後拡大

対策と展望

専門家が水使用の抑制策提示
将来実質ゼロも視野に

米テキサス州やニューメキシコ州、アリゾナ州では、AIデータセンターの水使用に反対する住民の抗議が相次いでいます。研究者らの分析によると、全米のデータセンター冷却が消費した水は2023年時点で66億リットルにとどまり、全米の水消費全体の1%未満だったとされています。ただしSNS上では過大・過小な主張が入り乱れ、実態の把握は簡単ではありません。

多くのデータセンターは、空気や機器表面の熱を吸収した水を蒸発させることで冷却しています。人間の発汗と同じ原理で、内部のプロセッサーは最大176華氏度(約80度)に達することもあり、冷却水の役割は欠かせません。エネルギー消費については既に大きな注目が集まっていますが、水消費の実態はこれまであいまいなままでした。

水消費をめぐる主張には大きな幅があります。1回のチャットボットへの問い合わせで500ミリリットルの水を消費するとの報道がある一方、AIの水問題は存在しないと切り捨てる声もあります。さらに大手テック企業自身が公表するデータも不完全かつ不整合であることが多く、客観的な比較を難しくしています。

専門家は、データセンターの水消費は農業や一部の製造業に比べればごくわずかだと強調します。しかしAIデータセンターの急速な拡大に伴い、この数字は今後大きく増える可能性があります。水資源が豊富な地域では大きな問題にならなくても、ニューメキシコ州やアリゾナ州のような干ばつが続く地域では、地元の水不足に一段と拍車をかけかねません。

一方で、水資源への負担を減らす工夫も進んでいます。コーネル大学のエネルギーシステム専門家Fengqi You氏は「有効な方策は数多くある」と指摘します。自然の水資源を補充・再生する取り組みを組み合わせれば、いずれは敷地内冷却で実質ゼロの水消費を実現できる可能性もあるといいます。

AI幹部ゾフ氏、Googleに復帰しGemini担当に

度重なる転職

Thinking Machines創業者
1月に解雇、OpenAI復帰
OpenAIには5カ月のみ在籍

Googleで新職務

Google副社長(研究担当)に就任
Geminiの研究開発を担当
以前もGoogleに在籍経験

OpenAI幹部流出

OpenAI幹部の退職相次ぐ
COOなど幹部流出が続く

AIスタートアップ「Thinking Machines」の共同創業者だったバレット・ゾフ氏が、Googleに復帰し、研究担当バイスプレジデントに就任することが分かりました。ゾフ氏は今年1月にThinking Machinesを解任された後、いったんOpenAIに復帰しましたが、わずか5カ月で退社していました。Googleは同氏の知見をGeminiの開発に生かす方針です。

ゾフ氏は2024年10月にOpenAIを離れ、同じくOpenAIを退社したミラ・ムラティ氏とともにThinking Machinesを共同創業しました。しかし今年1月、共同創業者のルーク・メッツ氏とともに突然OpenAIへ復帰することが明らかになり、後にゾフ氏が同僚との未公表の関係を理由に解任されていたことが判明しました。

OpenAIに戻ったゾフ氏は企業向け販売部門の責任者を務めましたが、在籍期間はわずか5カ月にとどまりました。同氏は6月にOpenAIを退社しており、今回のGoogle入りでようやく落ち着き先が決まった形です。

Googleの広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、ゾフ氏が強化学習や事後学習の専門知識を持ち帰り、Google復帰を歓迎すると述べました。ゾフ氏は以前にもGoogleに在籍した経験があり、古巣への出戻りとなります。

今回の転身は、OpenAIで相次ぐ幹部流出の一例でもあります。最高執行責任者のブラッド・ライトキャップ氏の退社や、データセンター部門幹部の離脱など、この8カ月でOpenAIは多くの主要人材を失っており、業界関係者からは背景を疑問視する声も上がっています。

Google、AI半導体不足でアプリの省メモリ義務化

メモリ新基準を導入

動的メモリとビットマップに新基準
基準超過を警告するツール提供
年内追加予定のメモリ制限機能
対応期限は2027年2月

サインイン復元も義務化

端末移行時の自動サインイン復元
専用APIによる自動復元
適用期限は2027年4月

Googleは今週、AIデータセンター需要の拡大に伴う半導体メモリの供給不足を受け、Androidアプリ向けの新しい品質基準を発表しました。開発者はアプリのメモリ使用量を最適化することが求められ、対応期限は2027年2月に設定されています。

新基準では、動的メモリ使用量やビットマップ使用量など複数の項目で性能しきい値が設けられます。Googleは基準を超えたアプリの開発者に警告を出す診断ツールをすでに提供しており、今年後半にはより詳細な分析が可能なメモリ制限機能も追加される予定です。

今回の措置の背景には、AIデータセンター向け半導体需要の急増による、スマートフォン向けメモリチップの供給逼迫があります。特に価格を重視する低価格帯端末では影響が大きく、アプリの動作が重くなったりクラッシュが増えたりするリスクが懸念されています。

Googleは同時に、端末を機種変更した際にサインイン状態を自動で復元するZero Tap Sign-In要件も新たに導入します。開発者はAndroid Restore Credentials APIを用いて、ユーザーが再ログインの手間なく移行できる仕組みを2027年4月までに実装する必要があります。

Googleはこれらの変更について、メモリ供給が限られる市場環境の中でも、ユーザーに質の高い体験を提供し続けるための取り組みだと説明しています。開発者は年内に配布される新しい診断ツールを活用しながら、期限までにアプリの最適化を進めることになりそうです。

Nvidia、四半期売上高1080億ドル予想を発表

過去最高の四半期業績

売上高962億ドルで最高更新
データセンター事業89億ドル
前年比2倍超の急成長
純利益597億ドルに倍増

次期業績とリスク要因

次期売上高1080億ドル予想
エッジ部門は72億ドルにとどまる
メモリー価格高騰が重荷に
AIチップも値上げへ

半導体大手のNvidiaは2026年8月26日、直近四半期(2027会計年度第2四半期)の決算を発表し、売上高が前年比で大きく伸び962億ドルという過去最高を記録したと明らかにしました。データセンター向け事業が全体をけん引し、同社は次の四半期には売上高が1080億ドルに達するとの見通しを示しています。

内訳を見ると、データセンター事業の売上高は前年から倍増以上となる89億ドルに達し、全体の大部分を占めました。純利益も倍増し597億ドルとなるなど、AI向け半導体需要の強さが業績を押し上げています。

一方、ゲーム向けなどを含む「エッジコンピューティング」部門の売上高は72億ドルにとどまりました。前年比では27%増となったものの、Nvidiaはメモリーや部品価格の高騰による個人向けPC市場の減速を認めています。

部品不足の影響でコンシューマー向けGPUの価格上昇が続いているほか、AI向けチップについても決算発表を前に値上げの見通しが示されました。データセンター事業への依存度が一段と高まる中、コスト増が今後の収益にどう影響するかが注目されます。

四半期売上高が1000億ドルを超える企業は、AmazonやApple、Alphabetなど一部の巨大企業に限られており、Nvidiaが名を連ねれば半導体業界では異例の規模となります。AI投資ブームを追い風に、同社の存在感は一段と増しそうです。

OpenAI幹部の退社相次ぐ、ブロックマン氏に権限集中

相次ぐ幹部退社

データセンター責任者も退社
最高執行責任者やCMOも離脱
年明けから10人超が退任

ブロックマン氏の復権

インフラ・製品部門を統括
2019年に一度権限喪失

IPO見据え組織再編

非公開でSEC上場を申請
収益拡大とコスト削減が急務

OpenAIでは2026年に入り、最高執行責任者や最高マーケティング責任者など十数人の幹部が相次いで退社しています。直近ではデータセンター部門責任者のクリス・マローン氏が先週退社していたことが8月25日に判明しました。最新モデル「GPT-5.6」が高評価を得て事業も拡大する中、なぜ幹部流出が止まらないのかが注目されています。

マローン氏はこれまで社長のグレッグ・ブロックマン氏に直属していましたが、インフラ部門の組織再編により、現在は同部門を統括する副社長のサチン・カティ氏の下に位置づけられています。役職が事実上格下げされたとみられることが、退社の一因となった可能性があります。OpenAIはTechCrunchの取材に対し、組織再編の詳細についてコメントを避けています。

一連の人事の背景には、共同創業者で社長を務めるブロックマン氏の復権があるとみられます。同氏は2019年にサム・アルトマン氏がCEOに就任した際、経営の権限の多くを手放しましたが、現在はインフラ部門と製品部門の双方を統括しています。同社幹部の一人は「最終的には皆グレッグに報告することになる」とTechCrunchに語りました。

こうした動きの背景には、OpenAIの新規株式公開(IPO)計画があります。同社は6月、証券取引委員会(SEC)に非公開で上場申請書類を提出したことを明らかにしました。ライバルのアンソロピックが黒字化に近づいていると報じられる一方、OpenAIは増収とともに赤字も拡大していると伝えられており、収益改善への圧力が強まっています。

創業メンバーが製品を生み出し、その後経験豊富な経営陣が上場に向けて組織を整えるという展開は、シリコンバレーのスタートアップによく見られる流れです。フィジー・シモ氏やケビン・ウェイル氏が退社した際にもその兆しがありましたが、今はブロックマン氏の影響力拡大という形で再び表れています。上場を控え、収益拡大とコスト削減を同時に進める難題への対応が、同氏に委ねられつつあるようです。

米中間選挙候補15人超、データセンターとAI規制誓約

AIパクト始動

15人超の候補が署名
民主党中心に無所属も参加
5つの誓約を明文化

誓約の中身

AI安全審査を義務化
労働者へのAI配当支持
被害者の提訴権を確保

広がる規制論議

テキサス州知事も建設停止
サンダース氏がモラトリアム提案

米国の2026年中間選挙に向け、ネブラスカ州のダン・オズボーン氏など15人を超える上下院候補が、データセンター規制とAI安全策を求める「AIパクト」に署名しました。同パクトは政治団体ポリティカル・インテグリティ・プロジェクトが提唱したもので、有権者の間で高まるデータセンターへの不安に応える形で広がっています。

パクトはAIモデルへの義務的な安全審査、労働者向けのAI配当制度支持、AIによる被害への提訴権確保など5つの誓約から成ります。データセンター建設をめぐる税優遇や密室交渉、過剰なエネルギー消費に反対する内容も含まれますが、全面的な建設停止までは求めていません。

発起人のダニエル・ロボ=ルイス氏は、AI安全団体や政治団体との連携を通じてパクトの内容を固めたと説明します。署名者の大半は民主党ですが、共和党候補の参加も歓迎する姿勢を示しており、超党派での広がりを目指しています。

データセンターをめぐる懸念は与野党を問わず強まっています。共和党のグレッグ・アボットテキサス州知事は今月、州内のデータセンター建設に一時停止を導入し、民主党のジョシュ・シャピロペンシルベニア州知事も規制強化の姿勢を鮮明にしました。

一方でトランプ大統領はデータセンター誘致に一貫して前向きな姿勢を崩していません。上院選出馬中のケン・パクストンテキサス州司法長官も、子どもの安全を損なうチャットボットに対しデータセンター事業者の法的責任を問う独自案を発表しています。

世論調査では、AIへの懸念よりも環境面への不安がデータセンター反対の主因とされており、両者の関連性を巡る議論は続いています。それでもオズボーン氏は、支持政党を問わず有権者の関心が急速に高まっていると強調しています。

Anthropic、英Nscaleと450億ドルの計算力契約

契約の概要

450億ドル規模の契約
英Nscaleから調達
2027年後半に稼働開始

急成長のNscale

2024年設立の新興企業
Microsoftとも契約実績

相次ぐ計算力獲得

今月はVoltaと100億ドル契約
7月はAMDと50億ドル契約
5月はSpaceXと月12.5億ドル

米AI企業Anthropicは、英国のAIインフラ企業Nscaleとの間で、約450億ドル規模の計算資源調達契約を結んだことが分かりました。関係者がTechCrunchに明らかにしたもので、Nvidiaの新型Vera Rubinチップを活用し、2027年後半からAnthropicのサービスを支える計算力として稼働を始める見通しです。

契約は米メディア大手Bloombergが最初に報じたもので、契約期間は6年に及びます。供給元となるのは、Nscaleが保有する米ウェストバージニア州の主力データセンターです。2024年設立と歴史の浅いNscaleは、すでにMicrosoftなど大手企業とも契約を結んでおり、急速に存在感を高めています。

Anthropicはこの8カ月間、競合他社との競争を勝ち抜くため、計算資源の確保を積極化してきました。特に強く意識しているのが、生成AI分野で激しく火花を散らすOpenAIの存在です。今回のNscaleとの契約も、そうした一連の拡大戦略の一環と位置づけられます。

今月には、AIクラウド企業Voltaと100億ドル規模の契約を締結し、ノルウェーのデータセンターから6年間にわたり計算力の供給を受けることで合意しています。7月にも半導体大手AMDとの間で50億ドル規模の契約を結んでおり、調達網を着実に広げています。

5月にはSpaceXとの大型契約も明らかになり、2カ所のデータセンターから月額12.5億ドル相当の計算力を受け取っているとされます。さらに4月にはAmazonとの提携を拡大して追加5ギガワット分の電力・計算資源を確保したほか、GoogleやBroadcomとの関係も強化しました。

AI企業各社による計算資源の争奪戦は今なお続いており、Google、OpenAI、Metaといった主要プレーヤーも同様に大規模な調達を進めています。Anthropicにとって今回のNscaleとの契約は、こうした激しい競争環境を勝ち抜くための布石と言えそうです。

MIT、AI新素材候補の安定性を事前確保

技術の仕組み

言語モデルが妥当な組成式を提案
拡散モデルが結晶構造を生成
生成前に化学的安定性を担保

検証結果

格子振動安定性約7割達成
従来比で計算コストを大幅削減
熱伝導性など望む特性も制御可能

今後の展望

既存・将来の生成モデルに適用可
小規模研究室の研究開発を後押し

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、AIが設計する新素材候補の化学的安定性を生成の初期段階で担保する新手法「CrysVCD」を開発し、学術誌ネイチャー・コンピュテーショナル・サイエンスに発表しました。AIモデルは大量の材料候補を生み出せる一方、不安定な設計の除去に膨大な計算コストが必要でした。今回の成果はこの非効率を解消し、実用的な新素材開発を加速します。

新手法は、言語モデルと拡散モデルを組み合わせた2段階の生成プロセスを採用しています。まず言語モデルが電子配置に関する化学の基本則を満たす妥当な組成式を提案し、その組成式をもとに拡散モデルが原子レベルの結晶構造を生成します。開発を主導したミンダ・リー准教授は「生成モデルをDVDに例えるなら、我々の仕組みはDVDプレーヤーのようなものだ」と述べ、既存・将来のどのモデルにも組み込める汎用性を強調しています。

研究チームがこの手法を検証したところ、厳格な安定性試験である格子振動安定性で約7割の材料が基準を満たしました。さらに、力学的安定性は68%、準安定性は85%に達しています。生成後に不安定な候補を選別する従来手法と比べ、桁違いに効率的に安定した材料を得られることも示されました。

この手法は、半導体チップやデータセンターの冷却に欠かせない高い熱伝導率や誘電率を持つ材料の設計にも応用できます。データセンターでは消費電力の3割が冷却に使われており、放熱性能に優れた新素材へのニーズが高まっています。研究チームは、安定性と目的の性能を同時に満たす材料を効率よく絞り込めると説明しています。

この手法が対象とするのは、内部構造が規則正しい固体材料が中心です。計算資源が限られる中小の研究室でも、無駄な検証コストをかけずに新素材の開発に取り組めるようになる可能性があります。研究チームは、材料設計の裾野を広げる技術として今後の応用拡大に期待を寄せています。

Googleが電力AI企業28社を新プログラムに採択

北米12社の技術

データセンター給電を高速化
EV活用で需要を調整
地熱で冷暖房を実現

欧州16社の技術

風力ブレードを高速修理
AIで電力取引を自動化
ドローンで送電線を点検

Googleの支援内容

技術メンターを提供
自社データセンターにも応用

Googleは2026年8月26日、北米と欧州で展開する新興企業支援プログラム「Google for Startups Accelerator」の対象として、電力・エネルギー分野でAIを活用する28社を選出したと発表しました。北米12社、欧州16社が参加し、家庭や企業の省エネ、送電網の高度化、需要調整といった課題にAIで挑みます。

北米の採択企業には、データセンター向け給電を高速化するFelix Fusionや、電気自動車を軸に需要を調整するOptiwattが含まれます。ほかにも地熱による冷暖房技術を手がけるDig Energyなど、電力インフラの構築や供給の効率化を目指す企業が並びます。

欧州の採択企業では、劣化した風力タービンのブレードを10倍速く修理するRebladeや、バッテリー群の電力取引を自動化するSolshipが目を引きます。送電線を自律点検するドローン技術を持つNomadicやHylightも選ばれました。

選出された各社には今後数カ月にわたり、Googleのエネルギー・AI分野の専門家による技術メンタリングや、Googleのデジタルツールへのアクセスが提供されます。事業拡大に向けた実践的な支援を通じて、各社の成長を後押しする狙いです。

今回の取り組みは、Google自身がデータセンターの電力需要拡大に対応するための施策とも軌を一にしています。同社はすでに需要応答の仕組みをデータセンターに導入したほか、新たなエネルギー貯蔵技術への投資も進めており、AIによる持続可能な電力システムの構築を加速させる考えです。

監視カメラのFlock、乱用批判受けCEOが妥協呼びかけ

警官による乱用発覚

WaPo調査で46件の乱用発覚
元交際相手をストーキング
CEOが「乱用は申し訳ない」と謝罪

与野党からの批判

民主・共和両党がFlock批判
共和議員が購入禁止法案提出
ACLUは「脅威残る」と指摘

Flockの対応と主張

データ保存期間を7日に短縮
州に乱用の刑事罰化を要請

米監視カメラ企業Flock Safetyの最高経営責任者ガレット・ラングリー氏は、Fox Newsのインタビューで、プライバシーと安全のどちらか一方を優先するのではなく「妥協」を模索すべきだと訴えました。背景には、同社の監視カメラやナンバープレート読み取り技術が悪用されているとの批判が急速に高まっている事情があります。

米紙ワシントン・ポストは最近、警察官がFlockの技術を私的に乱用した46件の事例を報じました。妻や交際相手、元交際相手を追跡するために使われていたケースも含まれています。ラングリー氏はCBSニュースの取材に対し「彼女が経験したことを思うとつらい」と謝罪しました。

データセンター問題と同様に、Flockを巡る反発は左右両陣営に広がっています。民主党のミシガン州上院候補アブドゥル・エルサイード氏は対立候補を「監視カメラの野放図な拡大を支持している」と批判しました。バーニー・サンダース上院議員も「AIによる大規模監視をやめろ」とSNSで訴えています。

共和党側でも警戒が強まっています。下院共和党議員3人は、顔認識やナンバープレート認識などを用いた自動監視システムの連邦政府による購入を禁じる法案を提出し、その対象としてFlockのカメラを明記しました。

Flockはすでに一部対応を進めており、データのデフォルト保存期間を30日から7日に短縮し、データ閲覧前に事件コードの入力を義務付けました。ただし警察官が「エビデンスモード」を使えば保存期間を延長でき、抜け穴が残っています。米国自由人権協会(ACLU)は「前進かもしれないが、実質的な変化かは運用次第」と慎重な見方を示しました。

ラングリー氏は、州の規制当局が不正利用を刑事罰の対象とする法整備を進めるべきだと主張しています。「規制も説明責任もないのは問題だ」と述べ、10月のTechCrunch Disruptカンファレンスへの登壇も予定されています。

Starcloudが2億5000万ドル調達、軌道データセンター拡大へ

追加調達の概要

2.5億ドルの追加出資
評価額23億ドル達成

打ち上げ枠の逼迫

ファルコン9は28年終了
Starship確保が急務
FCCに8.8万機許可申請

AI開発面での強み

軌道上でH100運用実績
Nvidiaが2500万ドル出資
次世代宇宙GPU開発に協力

軌道上でAI推論を行う衛星を開発する米新興企業Starcloudは、3月に実施したシリーズAラウンドに2億5000万ドルを追加出資したことを明らかにしました。今回の調達で同社の評価額は23億ドルに達し、資金は大型製造拠点の拡張と、大型衛星「Starcloud-3」の開発加速に充てられます。

背景にあるのが打ち上げ枠の逼迫です。CEOのフィリップ・ジョンストン氏は、スペースXのファルコン9計画が2028年に終了予定であることを踏まえ、巨大なロケット枠を早期に確保する必要があると説明しています。同社はすでに米連邦通信委員会(FCC)に8万8000機の衛星運用許可を申請済みです。

Starcloudは次世代機「Starcloud-3」の打ち上げを、スペースXが開発中の大型ロケットStarshipに託す計画です。一方、ブルーオリジンの「ニューグレン」やULAの「バルカン」は定期運航に至っておらず、ロケット・ラボの「ニュートロン」も未就役のままです。ジョンストン氏は、スペースXが再使用打ち上げの実績を示せなければ厳しい状況になると述べています。

当面はより小型の次世代機「Starcloud-2」(8キロワット級)を2隻、2027年にライドシェア便で打ち上げる計画です。用途は米政府機関向けを含む軌道上での推論処理で、専用のファルコン9便の購入や他社との追加契約も検討しています。

今回の増資はManhattan West Venturesが主導し、Nvidia、シスコをはじめベンチマークやEQTなど複数の投資家が参加しました。Nvidiaは約2500万ドルを出資したとみられ、ジョンストン氏はこれを軌道コンピューティング分野におけるStarcloudの優位性を裏付ける重要なシグナルだと位置づけています。

Starcloudは、NvidiaのデータセンターGPU「H100」を軌道上で運用し、モデル訓練まで実施した唯一の企業とされています。同社が蓄積したデータは、Nvidiaが開発中の宇宙向け専用チップ「Vera Rubin Space-1」にも活用されており、2028年後半の打ち上げを目指しています。

Nvidia、データセンター電力インフラのCloverleafに出資

出資の概要

2024年設立のCloverleaf
電力など基盤整備を担う
出資額は非公開
数億ドル規模と報道
Nvidiaが少数株主に

AI拡大への布石

SB Energyにも15億ドル出資
AIデータセンター建設を後押し
自社利益をインフラ投資に活用

半導体大手のNvidiaは8月21日、データセンター向け電力インフラを手掛けるCloverleaf Infrastructureとの戦略的パートナーシップを発表しました。出資条件は非公開ですが、米メディアによると出資額は数億ドル規模に上り、Nvidiaは同社の少数株主になったとみられます。背景には、AI需要拡大に伴うデータセンター向け電力確保を急ぐ狙いがあります。

具体的には、ウォール・ストリート・ジャーナルがNvidiaの出資額は数億ドル規模に達する見通しだと報じました。ロイターも、Nvidiaが今回の提携を通じてCloverleafの少数株主になったと伝えています。TechCrunchはNvidiaに詳細の確認を申し入れています。

Cloverleafは2024年に設立された新興企業で、設立と同じ年に3億ドルを調達しています。電力会社とデータセンター事業者の間に立ち、電源をはじめとする重要インフラの整備を担う役割を果たしてきました。

今回の提携は、Nvidiaが潤沢な利益をAI関連インフラへ振り向ける動きの一環です。同社は近年、自社のAIシステムを購入する側であるデータセンターの資金調達や開発に、より直接的に関与する姿勢を強めています。

実際、Nvidiaは今週に入り、OpenAIと関係の深いデータセンター開発企業SB Energyに対しても15億ドルを投資すると発表したばかりです。同案件は米オハイオ州で進行しており、AI基盤整備への投資が続いています。

シリコンバレー、AI反発の本質見誤る

広がる不信の実態

AI懸念、若年層で24%増
7割超が雇用減少を懸念
AI敵視、文化面にも波及

首脳陣の見解対立

ザッカーバーグ氏、悲観論を批判
アモデイ氏「信頼の危機」と反論
投資家、アモデイ氏発言を問題視

本質は社会不信

雇用不安や不信感が根底
業界の対応不足を筆者指摘

米誌ワイアードは8月20日、シリコンバレーの経営陣たちがAIへの社会的反発の本質を見誤っていると論じました。ピュー・リサーチ・センターの最新調査によると、30歳未満の米国人の過半数がAIに対して楽観よりも懸念を強めており、その割合は過去5年で24%増加したといいます。同誌は、雇用不安や企業への根深い不信感こそが反発の核心だと分析しています。

発端は、米メタのマーク・ザッカーバーグCEOが今月公開した6500語に及ぶエッセイです。同氏は、誰もが自分を熟知したパーソナルAIアシスタントを持つ未来像を描き、キャリアや育児まで支援してくれると楽観的に主張しました。さらに、AI業界の議論が「悲観論に満ちている」と述べ、暗にアンソロピックのダリオ・アモデイCEOを批判しました。

これに対しアモデイ氏は、自身のSNS投稿で反論しました。同氏は「AIへの反発は本質的に信頼の危機だ」とし、人々が企業や政府、テック業界全般を信用していないことが根底にあると説明しています。一方で、がん治療の実現など大きな約束をまだ果たせていない点は率直に認めました。

調査データはより広範な不安も示しています。全年齢層の7割超が、AIによって仕事が減ると懸念していると回答しました。米シンクタンク、サーチライト研究所の調査では、メッセージの伝え方を変えても人々のAI観はほとんど変わらないという結果も出ており、単なる広報戦略の問題ではないことがうかがえます。

世間の不満は文化面にも波及しています。飲料ブランドのリキッドデスは元米フットボール選手を起用し、データセンターへの反発を風刺する広告を制作しました。テック企業は水資源の管理や再生可能エネルギーへの投資を訴えてきましたが、データセンターの建設そのものがAIへの反感を象徴する存在になりつつあると記事は指摘します。

記者は、AIへの反発は経営陣の発言や研究の遅れではなく、AIがすでに社会をどう変えつつあるかへの懸念から生まれていると結論づけました。シリコンバレーが製品を広く受け入れてもらうには、こうした課題に正面から向き合う姿勢が今後より一層求められそうです。

OpenAI、AI時代の権力集中防止へ新チーム発足

新チームの狙い

「戦略未来チーム」始動
権力集中リスクに焦点

背景にある懸念

国家が軍・警察不要に
AIが徴税・統治を代替可能
Hugging Face事件を例示

今後の方針

個人の自律性を最優先
集団的行動は最小限に
論文・動画等で発信予定

OpenAIは2026年8月20日、政策研究を担う新チーム「Strategic Futures(戦略未来)」を発足し、その活動を発信するブログ「AI Futures」を公開しました。同チームは、高度なAIが社会に浸透する中で自由な社会をどう維持するかという問いに取り組み、初回の投稿では権力の過度な集中を防ぐことの重要性を訴えています。

投稿を執筆したディーン・ボール氏は、これまで国家権力が軍や警察など人間の協力に依存してきたと指摘します。しかし自律型システムや機械知能の進展により、国家が人間の労働に頼らずデータセンターの出力から歳入を得たり、力を行使したりできる時代が迫っていると警鐘を鳴らしています。

同氏は、建国の父たちが権力の一極集中を防ぐため抑制と均衡の仕組みを設計した歴史を引用し、AI時代にも同様の発想が必要だと論じます。目指すべきは権力の完全な分散ではなく、特定の企業や集団が経済や社会構造を独占できないようバランスを保つことだとしています。

具体例として、AIエージェントが想定外の範囲まで自律的に行動し、開発者の意図を超えて連携したHugging Face関連の事案に言及しました。悪意ある人間だけでなく、人の制御を離れた高度なAIそのものがもたらすリスクにも目を向ける必要があると強調しています。

チームが掲げる原則には、個人の自律性の尊重や責任の所在の明確化、集団的な対応策をできる限り狭い範囲にとどめることなどが含まれます。法制度は権力を集中させるのではなく、個人や小規模組織の力を高める方向で整備すべきだとの立場を示しました。

Strategic Futuresチームは今後、論文や動画、ポッドキャストなど多様な形式で研究成果を発信していく方針です。ボール氏は答えより問いの方が多いとしつつ、AIが社会に及ぼす影響は企業単独では解決できない課題だとし、継続的な議論と改善を重ねていく姿勢を示しました。

GitHub障害の原因は容量不足、対策を発表

障害の概要と影響

7時間47分の障害発生
github.com認証など停止
Copilotにも影響拡大

原因は容量不足

中央データセンターで容量不足
月間コミット2倍に急増
Copilotの再試行が負荷増大

再発防止策

Azure移行を加速
CPU300万コア超を追加

GitHubは8月20日、8月17日に発生した大規模障害の原因究明結果を公表しました。同社の主要サービスは7時間47分にわたり停止し、認証やGitHub Actions、Copilotなど広範な機能に影響が及びました。米中部データセンターでインフラの容量が急増するトラフィックに対応しきれなかったことが原因です。

障害はコードや設定変更が原因ではなく、需要拡大に設備増強が追いつかなかった容量問題でした。4月以降、月間コミット数は14億件から29億件へと倍増しており、急成長する開発需要がインフラに大きな圧力をかけていたことが背景にあります。ただし、成長は言い訳にならないと同社は述べています。

復旧にあたっては、トラフィックの再ルーティングや影響範囲の切り離しなど複数の対応を段階的に実施しました。多くのサービスは同日中に復旧した一方、Copilot関連の一部サービスは復旧に時間を要しました。エラーによりクライアント側で再試行ループが発生し、復旧中のトラフィックをさらに増加させたため、これを制御してから安全にトラフィックを戻す必要がありました。

GitHubは今年掲げた信頼性向上策として、容量追加・効率化・アーキテクチャ上のボトルネック解消の3点に注力してきました。これまでに300万個以上のCPUコアと120ペタバイトの高速ストレージ、大規模なネットワーク容量を追加し、既存データセンターに設置可能な限りのハードウェアを導入しつつ、Azureへの移行を加速させています。現在Azureはプラットフォーム負荷の約58%、Git操作の半分を担っており、5月の12%から大きく増加しました。

今回の2件の障害を受け、GitHubはサービス間通信全体で一貫したリトライ回数の上限や予算、可変タイムアウトを適用し、再試行の連鎖による負荷増大を防ぐ方針です。あわせて、急激なトラフィック増加時に見落とされやすい優先度の低いCPU・メモリのアラートを見直すほか、重要システムの分離や依存関係の削減も進めています。

GitHubは開発者コミュニティが同社基盤に依存して開発・運用を行っている以上、高可用性は単なる技術的な約束ではないと強調しました。8月17日には信頼に応えられなかったとして責任を認めた上で、今後の拡張性と信頼性の向上を通じて信頼回復を目指す考えを示しています。

AIデータセンター冷却、再生水活用が拡大中

再生水冷却の実態

再生水、冷却に数十年活用
膜処理や紫外線で浄化
尿混じりの下水も原料に

普及を阻む課題

ラウドン郡で使用量4割超
地方は下水施設が未整備
Metaは水インフラに巨額投資

広がる社会的関心

米国民7割、地元設置に反対
Liquid Death広告が話題に

飲料ブランドLiquid Deathは2026年8月、元米フットボール選手ジェイソン・ケルシー氏を起用し「AIデータセンターを尿で冷やそう」と呼びかける広告を公開しました。冗談めいた内容ですが、専門家によると下水を浄化した再生水を使ったデータセンター冷却は既に業界で広く実践されている手法です。米メディアTechCrunchが背景にある技術と課題を取材しました。

専門家は、生の尿をそのまま冷却水に使うことは非現実的だと説明します。尿には塩分や尿素、有機物が含まれ、蒸発冷却塔に投入すると頻繁な洗浄が必要になるためです。実際に活用されているのは、下水処理施設で膜処理や逆浸透、紫外線処理を経て浄化した再生水であり、宇宙飛行士が尿を飲料水に変える技術とは異なり大規模運用に適しています。

再生水の活用は数十年の実績があり、データセンター集積地でも定着しつつあります。米バージニア州ラウドン郡では2025年時点で1日あたり約2億ガロンの再生水を利用し、データセンター需要の43%を賄っています。残る57%は上水道に依存しており、供給網の逼迫が課題として残ります。

再生水の普及を阻む最大の要因は、下水処理インフラの整備状況です。専門家は、地方に建設されるデータセンターほど近隣に十分な処理施設がなく、再生水を確保しにくいと指摘します。こうした状況を受け、Metaは2.7億ドル規模の下水インフラ投資を表明するなど、データセンター事業者自らが水インフラ整備の担い手になる動きも出ています。

水資源政策の専門家は、再生水インフラへの投資を後押しする税制優遇の法制化を求めています。背景には、データセンターの環境負荷への社会的関心の高まりがあります。米ギャラップ社の調査では、約7割の米国民が自らの地域へのデータセンター建設に反対していると報告されており、Liquid Deathの広告の話題化は、こうした懸念を可視化する一例とも言えます。

Vivodyne、AI創薬向け人体組織データ拠点を開設

AI創薬の壁

AlphaFoldも新薬は未創出
動物試験通過も承認1割
既存データに因果性欠如

Vivodyneの解決策

HIVEが人体組織20種を自動培養
肝・気道・骨髄で90%超の精度
米で最大級の「人体データ拠点」開設

今後の展望

複合薬開発へ因果データ活用
複数大手製薬と提携も詳細非公開

米バイオ企業Vivodyneは先週、米サンフランシスコ近郊に世界最大級とする「人体データセンター」を開設したと発表しました。同施設ではロボット実験装置HIVEが20種類の人体組織を培養し、投薬後の反応を自動計測します。AI創薬の障壁は計算モデルの性能ではなく、人体の因果関係を捉えた生物学的データの不足にあるとの考えに基づく取り組みです。

創薬分野では大手AI企業の首脳が期待感を示す一方、成果は限定的です。AnthropicのDario Amodei最高経営責任者は週末、AIが「がんを治す」との主張は説得力を失いつつあると投稿しました。ノーベル賞を受賞したAlphaFoldもこれまで新薬創出には至っておらず、後継のIsomorphic Labsによる治験開始も当初予定の2025年から今年末へずれ込んでいます。

創業者で最高経営責任者のAndrei Georgescu氏は、米ペンシルベニア大学で生物工学の博士号を取得後、2021年に同社を設立しました。同氏は、動物実験で有効性が確認された薬剤のうち9割が人での承認に至らない現状を挙げ、既存のAIモデルは細胞の「静止画」的データで学習しており、状態変化の原因を捉えていないと指摘します。

同社の組織モデルは、肝細胞で毒性予測精度94%、気道組織で人体との一致率96%を記録し、骨髄は20種類の抗がん剤試験で100%の一致を達成したといいます。Khosla Ventures主導の2度の資金調達で計8000万ドル弱を調達し、動物実験全体の2倍に上る処理能力を実現したとしています。

Georgescu氏は、複数の作用経路を同時に狙う「複合薬」の開発には、原因と結果を結び付けた生物学的データが不可欠になると強調します。同社は複数の大手製薬企業と提携して実証を進めているとしていますが、具体的な提携先は明らかにしていません。

TerraPower原子炉、蓄熱でAI電力急変に対応

蓄熱型原子炉の仕組み

345メガワットの溶融塩冷却炉
核分裂は一定、熱のみ蓄積
需要急増時は蒸気で発電増強

AI需要変動への対応

GPU負荷で電力需要が急変
天然ガスタービンは損傷例も
再エネとの親和性も向上

事業展開の広がり

Metaが原子炉8基を発注済み
データセンター計画は2027年着工

ビル・ゲイツ氏が設立したTerraPowerは、AIデータセンター向けとしては初となる原子力発電プロジェクトを年内に発表する見通しです。ブルームバーグが2026年8月18日に報じました。同社の溶融塩冷却炉は、核分裂の出力を一定に保ちながら余剰熱を蓄えることで、AIの学習や推論に伴う急激な電力需要の変動に柔軟に対応できる点が最大の特徴です。

TerraPowerは今回の顧客名を明らかにしていませんが、同社は今年1月にMetaとナトリウム冷却炉8基分の購入契約を締結したと発表しています。現在建設中の第1号機はワイオミング州にあり、データセンター向けとなる第2号機は2027年の着工が見込まれています。

原子炉は出力を一定に保って稼働するほど収益性が高く、米国の原子力発電所は稼働率92.5%と全電源の中で最も高い水準にあります。既存炉は出力を1分あたり約5%しか増減できず、新型の小型モジュール炉(SMR)でも約10%にとどまるとされています。原子力は建設コストが最も高い発電方式であるため、出力を落として稼働させることは経営上望ましくありません。

一方、AIデータセンターの電力需要はGPUの処理状況に応じて急激に増減します。この負荷変動の大きさから天然ガスタービンが損傷する事例も報告されており、対策として大量の蓄電池を導入すればコストがさらに膨らんでしまいます。

そこでTerraPowerが採用したのが、345メガワットの溶融塩冷却炉です。核分裂そのものの出力は変えず、余った熱を巨大な溶融ナトリウムの槽に蓄えておき、需要が急増した際にその熱で蒸気を発生させてタービンを回す仕組みです。需要が低い時間帯も設備を稼働させ続けられるため、高額な投資を効率よく回収できます。

この設計はもともと風力や太陽光など再生可能エネルギーの変動を補う目的で考案されたものですが、変動の激しいAI需要にも同様に応用できます。原子力本来の高い稼働率と蓄熱による柔軟性を両立させた点が、AI向け電源競争におけるTerraPowerの強みとなりそうです。

Silicon Data、AI計算力先物をCMEに10月上場へ

資金調達の概要

シリーズAで3000万ドル調達
GPUレンタル価格の指標化
AI計算力先物の取引計画
CMEで10月5日に上場予定

AI投資動向への見解

規制当局の承認が条件
悲観論と異なる実態のデータ
データセンター建設停止も
半導体の減価償却懸念に反論

AI計算インフラの価格算定を手がける新興企業Silicon Dataは、シリーズAラウンドで3000万ドルを調達したと発表しました。同社はGPUレンタル料金の指標価格を構築し、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で決済されるAI計算力先物取引の基準指数となることを目指しています。

AIブームの拡大に伴い、データセンターやGPUへの投資は年間数千億ドル規模に達し、企業にとって計算資源の調達費用が最大のコスト項目となっています。しかし、これまで計算力の価格を明確に示す仕組みや、価格変動リスクをヘッジする手段は整っていませんでした。

Silicon Dataは、CMEグループとの提携により、10月5日にAI計算力の先物取引を開始する計画です。規制当局の承認を条件としており、実現すれば計算資源の価格変動を金融商品として取引できる初の枠組みとなる見通しです。

この取り組みは、TechCrunchのポッドキャスト「Equity」でRebecca Bellan氏が、Silicon Dataでリサーチ責任者を務めるSteve Hou氏に話を聞いた内容で明らかになりました。Hou氏はAIインフラ投資の現状について語っています。

Hou氏は、半導体の減価償却やデータセンター建設停滞をめぐる悲観的な報道とは異なる実態を、データが示していると説明しました。米国ではテキサス州やニューヨーク州で新規データセンター建設が一時停止される動きも出ていますが、同氏は投資の健全性を強調しています。

Relativity Networks、高速光ファイバーに2200万ドル調達

資金調達の詳細

SAFE社債で2200万ドル調達
Rhapsody等複数社が出資
大手クラウド事業者が4000万ドル発注

中空コア光ファイバー

従来比50%高速な伝送技術
1kmの伝送を3.5マイクロ秒に短縮
光をガラスでなく真空中で伝送

データセンター新戦略

複数拠点の一体運用へ
次の焦点は地理の最適化

米国のデータセンター向け通信技術を手がけるRelativity Networksは8月19日、SAFE社債方式で2200万ドルを調達したと発表しました。Rhapsody Venture Partnersなど複数の投資家に加え、名前を明かしていない大手クラウド事業者からも4000万ドルの追加発注を獲得しており、高速光ファイバー技術への期待の高さがうかがえます。

同社が扱う「中空コア光ファイバー」は、光をガラス製の芯ではなく中心部の真空を通して伝送する技術で、従来型の光ファイバーより約50%速くデータを送れるとされています。CEOのジェイソン・アイヒェンホルツ氏によると、従来型ファイバーは1kmの伝送に約5マイクロ秒かかりますが、中空コア方式なら3.5マイクロ秒程度に短縮できるといいます。

AI向け計算がGPU数基規模だった時代には、こうしたわずかな遅延は問題になりませんでした。しかし計算規模の拡大とともにデータセンターの敷地は数百エーカー、複数の建屋にまたがるようになり、通信距離自体が課題になっています。アイヒェンホルツ氏は、複数のキャンパスをまたいで既存のデータセンターを結び、一つの同期したシステムとして稼働させる用途に特に商機を見出しているといいます。

「最大規模のシステムは、必要な電力を確保できる場所に計算を分散させています」とアイヒェンホルツ氏は語ります。「電力に余裕のある場所へ移動しつつも、全体としては一つの同期したマシンとして機能させる必要があるのです」。伝送遅延を50%減らせれば、遅延が問題になるまでの許容距離も50%広げられる計算になり、拠点配置の自由度が高まります。

データセンター開発には今後10年で最大4兆ドルが投じられると見込まれる一方、立地は電力網や政治的事情によって強く制約されています。アイヒェンホルツ氏は「AIの第一段階はGPUを増やすことに、第二段階はデータセンター内部のネットワークを最適化することに主眼が置かれてきました。次に来る第三段階は、地理そのものの最適化です」と述べ、通信技術が計算基盤の立地戦略を左右する時代に入りつつあるとの見方を示しました。

エヌビディア、GPU資産化へ5000億ドル融資構想

5000億ドル構想の全容

ブラックロック等6社参加
GPU担保の新型融資
ジェンセン氏「投資可能な資産」

懐疑論と過去の教訓

昨年のOpenAI巨額契約頓挫
住宅ローン担保証券との類似指摘
データセンター供給過剰の懸念

エヌビディアの思惑

残存価値保証で25%まで補填
循環取引批判の払拭が狙い

エヌビディアは2026年8月、アポロやブラックロック、ブラックストーン、ゴールドマン・サックスなど大手金融機関6社と組み、AI向けGPUを担保に総額5000億ドル規模の融資枠組みを構築すると明らかにしました。ジェンセン・フアンCEOはCNBCに対し、コンピュートを「初めて投資可能な資産クラスにする試みだ」と説明しています。

ただし今回の合意はまだ拘束力のない覚書の段階です。エヌビディアは昨年もOpenAIへの1000億ドル出資の覚書を発表しながら実現しませんでした。ブラックロックのフィンクCEOは「住宅ローン担保証券市場の黎明期に似ている」と述べましたが、同証券は住宅ローンの過剰供給で破綻した経緯があり、データセンターの供給過剰懸念とも重なります。

フアン氏は、2020年発売の旧型チップ「A100」が今も商用利用され、経済的耐用年数は10年に達しつつあると強調しました。これは前年に「旧世代チップはもらってもらえない」と語った姿勢と食い違います。減価償却年数についても、著名投資家のマイケル・バリー氏は2〜3年、IBMのクリシュナ氏は5年と見積もっており、専門家の評価は割れています。

新枠組みには、自社が出資した企業が同社チップを買うという循環取引批判をかわす狙いもあります。融資先が返済不能に陥った場合、エヌビディアは担保チップの残存価値の最大25%を補填すると約束しており、金融機関以上に強気な見立てを示しています。専門家からは、リスクの所在が保険会社など最終的な資金の出し手に移るだけとの指摘も出ています。

背景には、AIモデル企業の採算悪化への懸念があります。OpenAIやSpaceXは巨額赤字を計上し、Anthropicも年換算売上高が650億ドルに達したものの利益は明らかではありません。調査会社ガートナーは、AI企業が2029年までに累計7兆ドルの収益を上げなければ投資家にとって「大惨事」になると試算しており、構想の実現可否が今後の焦点となります。

AI不信深刻化、Amodei氏が「信頼の危機」表明

広がる世論の不信感

AI懸念派が52%に増加
若年層、業界幹部を不信任
7割超「AI進展速すぎる」

企業側の切実な対応

雇用保証など譲歩を拡大
教員に5万ドルのボーナス
オハイオ州で政治問題化

トップ経営者の危機感

Chesky氏、製品不足を指摘
Amodei氏「信頼の危機」認める

米調査会社ピュー・リサーチが8月18日発表した調査で、AIの普及に「期待より不安が大きい」と答えた米国人の割合が52%に達し、2021年の37%から急増したことが分かりました。若年層を対象にした別の世論調査でも、著名なAI企業幹部を信頼できないとする回答が多数を占めるなど、AI業界に対する社会の不信感が急速に広がっています。

背景には、AIが日常生活を便利にする実感を伴わないまま、コストや弊害だけが先行しているという不満があります。学校でのAI利用による不正行為の増加や、著作権者に無断で学習データに使われる問題など、負の側面が繰り返し報じられてきました。一方で、iPhoneやパソコンなど過去の技術革新と比べても、AIへの反発は際立って強いと指摘されています。

世論の逆風は企業業績にも波及し始めています。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によれば、データセンター建設を進めるテック各社は住民の反発を和らげるため、雇用保証や水資源への投資といった譲歩を迫られています。ルイジアナ州のある地区では、大手データセンターの誘致に伴い教員に5万ドルのボーナスが支給される事例も出ています。

政治の分野にも影響は及んでいます。共和党の上院委員会は主要AI企業に対し、データセンター建設がオハイオ州の重要選挙で党の劣勢につながっていると警告する覚書を送付したと報じられました。AIをめぐる不満は、もはや技術論にとどまらず、政治的な争点に発展しつつあります。

業界のトップも危機感を強めています。AirbnbのBrian Chesky最高経営責任者は、AI業界が一般の人々に本当に愛される製品を提供できていないことが不信の一因だと述べました。AnthropicのDario Amodei最高経営責任者もSNS上で、AIへの不信は業界にとって「信頼の危機」だと認め、企業や政府への根深い不信感が背景にあると説明しています。

Amodei氏は、AI企業に対する最も的確な批判は、がん治療のような大きな社会的約束を果たせていない点にあると述べ、実際の成果で信頼を取り戻す必要があると強調しました。世論の不信を払拭できるかどうかは、今後のAI業界の成長戦略そのものを左右する重要な課題となりそうです。

AI推論チップのEtched、評価額210億ドルに倍増

評価額、1カ月で倍増

7億ドルを追加調達
評価額210億ドルに倍増
主導はJane Street

推論特化の新技術

プリフィル専用チップを新設計
デコード向けクラスタースケールメモリ
低電圧化で発熱抑え高速化

著名投資家が多数参加

Sequoiaなど著名VCが出資
汎用型に転換、全モデル対応

AI推論向け半導体スタートアップのEtchedは8月18日(火)、量的運用大手Jane Streetが主導する7億ドルの新規調達を発表し、評価額を210億ドルに引き上げました。同社のAI推論用ハードウエアを実際にテストしたJane Streetが導入を決めたことが、出資の決め手になったといいます。

Etchedの評価額は昨年12月時点で50億ドルでしたが、今年7月に3億ドルのシリーズCを調達した際は103億ドルまで上昇していました。今回の調達でわずか1カ月足らずのうちに評価額が倍増した形で、AI業界内でも異例の速さだと受け止められています。

共同創業者兼COOのロバート・ワッチェン氏によると、投資家の関心が高い背景には、AI推論を高速化する新たな2つの部品をゼロから設計した点があるといいます。推論は「プリフィル」と「デコード」の2段階で構成され、プリフィルはプロンプトの文脈理解に、デコードは実際の回答トークンの生成に対応します。

Etchedは低電圧で動作する専用のプリフィルチップを開発し、発熱を抑えながらより多くのトランジスタを搭載することで処理速度を高めました。デコード向けには複数のチップが共有メモリプールを低遅延で利用できる新方式クラスタースケールメモリを導入し、高速化と低コスト化を両立させたとしています。

Etchedは社名から「特定のモデル専用チップ」と誤解されがちですが、現在はあらゆるフロンティアモデルに対応できる汎用設計に転換しています。自社システムは「フロンティア推論クラスター」と呼び、競合のNvidiaが「AIファクトリー」と呼ぶ製品群に対抗する位置づけです。

Jane Streetは公式ブログで「チップをテストし、初期結果に満足している。最も要求水準の高い処理に必要な精度を提供してくれる」と評価し、自社データセンターに専用ラックを稼働させたことを明らかにしました。今回の調達にはKleiner PerkinsやSequoia Capital、Andreessen Horowitz、著名投資家ピーター・ティール氏など、既存の有力投資家も名を連ねています。

NvidiaがSB Energyに15億ドル出資、OpenAI拠点へ

出資と独占供給

15億ドル出資で独占供給
与信枠は1050億ドル
容量は4.25GW、最大8GWへ

拠点の背景

旧核燃料関連の国有地
併設で330億ドルのガス発電

地域への還元

建設雇用3.5万人創出見込み
地域投資4000万ドル拠出
学生向け8400万ドル相当支援

米Nvidiaは17日、ソフトバンクグループ系のデータセンター開発会社SB Energyに15億ドルを出資すると発表しました。この出資により、Nvidiaはオハイオ州ピク郡で進む米OpenAIの巨大データセンター「PORTS-Pike」プロジェクトで、コンピュート基盤を独占的に供給する立場を確保します。

SB Energyの既存投資家にはソフトバンクグループとOpenAIが名を連ねています。ソフトバンクは以前、58億ドル相当のNvidia株式を保有していましたが、2025年11月に全株を売却し、他のAI関連投資の資金に充てました。Nvidiaは今回、施設建設を支援するため最大1050億ドルの与信枠も提供する計画です。

PORTS-Pikeの用地は米エネルギー省が所有し、かつて核兵器や原子力潜水艦向けにウラン濃縮を行っていた歴史を持ちます。同サイトには出力9.2ギガワットの天然ガス発電所も新設される予定で、建設費は330億ドルに上る見込みです。

天然ガス発電所の建設費が高騰している背景には、過去2年間で建設コストが66%上昇したことがあります。SB Energyの発電所を含む同様の計画が相次いで完成する時期には輸出向け需要とも競合し、一部地域で天然ガス価格が3倍に跳ね上がる可能性も指摘されています。

一方、OpenAIは同日、SB EnergyやNvidia、米エネルギー省と連携してPORTS-Pikeで約8ギガワットのIT容量を確保する契約を結んだと発表しました。建設期間の6年間で3万5000人の雇用を生み、稼働後も2500人規模の常時雇用が見込まれるとしています。

OpenAIは地域向けに4000万ドルの助成基金を新設するほか、オハイオ州の大学生全員が利用できる8400万ドル相当のChatGPT向けCodexクレジットも提供します。Nvidiaにとってもこの一連の契約は、2030年までに最大6000億ドル規模の売上機会になるとみられています。

Groqが3.5億ドル調達、AIインフラ企業へ転換

転換の背景

AIチップからネオクラウドへ転換
創業者、Nvidiaへ移籍
Nvidiaと200億ドルの契約

資金調達の詳細

3.5億ドルを調達
評価額は35億ドルに低下
Disruptiveが主導

事業拡大計画

13拠点でデータセンター運営
600万超の開発者に提供

AIインフラ企業Groqは8月17日、3.5億ドルの新規資金調達を発表しました。今回の調達は投資会社Disruptiveが主導し、Nvidiaも参加する見通しです。評価額は今回の調達を反映して35億ドルとなり、AIチップメーカーからGPUを活用したネオクラウド事業者への転換をさらに加速させる狙いがあります。

Groqはこれまで独自開発の推論用チップLPUでNvidiaに対抗してきました。しかし2025年12月、創業者兼CEOのJonathan Ross氏ら幹部がNvidiaに移籍し、Groqは200億ドル規模のライセンス契約を締結しました。これを機に同社はNvidia製システムを運用するクラウド・データセンター事業者へと路線を転換し、6月には6.5億ドルを調達して転換を本格化させました。

現在Groqは北米、欧州、中東、アジア太平洋の13拠点でデータセンターを運営し、600万人を超える開発者や企業に推論サービスを提供しています。新たな資金は稼働容量を2027年までに54メガワットから200メガワット超へ拡大するために充てられる計画です。同社は中規模から大規模なNvidia製アクセラレーテッドコンピューティングクラスターの需要に応える方針を示しています。

Disruptiveの会長兼CEOを務めるAlex Davis氏は「推論はAIインフラの中で最大かつ最も重要な層になる」と述べ、Groqを世界有数の推論クラウドに育てる方針を強調しました。一方で、推論需要が拡大する中でもネオクラウド各社が十分な収益性を確保できるかは不透明です。競合のCoreWeaveは増収を続ける一方、高水準の設備投資と債務依存が投資家の懸念材料となっています。

NvidiaはCoreWeaveやLambda、Nebiusなど複数のネオクラウド企業にGPUを供給しつつ、出資も行っており、Groqも同様の関係に組み込まれる形です。Groqの財務内容は現時点で非公開のままですが、今回の転換によって同社はNvidiaのAIインフラ戦略の内側に位置付けられることになります。

元SpaceX技術者、AIで鋼材製造自動化へ

元エンジニアが起業

元SpaceX技術者3人が創業
新会社「1872」始動
米シンシナティに工場開設

鋼材製造を自動化

AIとロボットで鋼材製造
2027年に試作工場目標
データセンター向け部材供給

溶接工不足が背景

熟練工不足が深刻化
2029年に32万人不足見込み

元スペースXのエンジニア3人が設立した新興企業「1872」は、2026年7月22日、米オハイオ州シンシナティの新工場「ファクトリーワン」で開所式を開き、AIとロボットを活用した鋼材製造の自動化事業を本格始動させました。AIデータセンターや小型モジュール炉向けの鋼製スキッドを主力製品とし、2027年までに製造工程の大半を自動化する試作工場の確立を目指しています。

1872は、宇宙開発大手スペースXでロケットエンジン製造に携わっていた技術者たちが立ち上げました。ロケット向けの精密製造技術を、鋼材加工という異なる産業に応用する狙いです。同社は当面、モジュール式建築物の移動可能な土台となる鋼製フレーム「スキッド」の自動生産に注力します。

最高経営責任者のダン・サマーズ氏は、完全自動化にはこだわらないと説明しています。AIソフトウエアとロボットを組み合わせ、8割程度の自動化を実現できれば十分と考えており、費用対効果を重視する姿勢を示しました。

背景には、熟練溶接工の深刻な不足があります。米国溶接協会は、高齢化による退職と旺盛な需要増加により、2029年までに新たに32万500人の溶接専門職が必要になると試算しています。

さらに、トランプ政権による合法移民の制限強化や不法移民の取り締まりが、造船業など溶接需要の高い産業の人材確保をいっそう難しくしています。サマーズ氏は、減り続ける熟練労働力でいかに多くのものを製造するかが課題だと語っています。

アンソロピックCEO、AI不信は「信頼の危機」と反論

投資家の批判

ベイカー氏「議論に敗北」と指摘
AI警鐘が反発招いたと主張

アモデイ氏の反論

発信はリスクと恩恵を均等と説明
世論の不信は「信頼の危機」
業界は約束未達成が真の問題

規制めぐる持論

規制と集中は「誤った二択」
提案は新興企業有利に設計

著名投資家のゲイビン・ベイカー氏は、アンソロピックの最高経営責任者(CEO)を務めるダリオ・アモデイ氏によるAIリスクへの警鐘が、米国内のAI反発やデータセンター建設への反対運動を助長してきたと批判しました。ベイカー氏はAll-Inポッドキャストや自身のX投稿で、アモデイ氏は規制論争で「議論に敗北した」と主張し、業界のより前向きな代弁者になるよう求めました。

これに対しアモデイ氏はX上の連続投稿で反論しました。自身の発信はリスクと恩恵を均等に取り上げてきたと説明し、エッセイ「Machines of Loving Grace」もAI業界が明るい未来像を十分に描けていないと感じて書いたものだと述べました。

アモデイ氏は世論がAIに否定的であることは認めつつ、その原因を自分や他のAI経営者による警鐘に求めるのは誤りだと主張しました。「これは根本的に信頼の危機だ」とし、人々は企業や政府、テック業界が何か裏で企んでいると常に疑っていると説明しました。

さらにアモデイ氏は、AI企業に向けられるべき最も正当な批判は、掲げてきた大きな約束をまだ果たしていないことだと述べました。がんを治すと約束するのは「陳腐な決まり文句」であり、実際にがんを治すことこそが世論を変えると指摘しました。

規制論争についてアモデイ氏は、規制なきAIの幅広い普及か、規制による少数企業への集中かという二択はベイカー氏が描いた「誤った構図」だと反論しました。アンソロピックは先端AI企業の力を抑制しつつ小規模な競合企業を有利にする政策提案を慎重に設計してきたと説明し、オープンウェイトだけでは権力集中への十分な解決策にならないとの見方を示しました。

SpaceX、Cursor買収を正式完了 600億ドルで

買収成立の経緯

4月に提携、買収選択権付与
6月上場後に買収を前進
600億ドルで買収完了

GPU基盤の活用

世界最大級のGPU群を活用
他社にも計算資源を提供
排出訴訟も抱える基盤

買収の位置づけ

xAIに続く傘下入り
計算基盤の強化が狙い

Elon Musk氏が率いるSpaceXは8月15日、AIコーディング支援ツール大手Cursorの買収を正式に完了したと発表しました。買収総額は600億ドルで、4月に提携を発表してから約4カ月での正式合意となります。Cursorは今後、SpaceXが持つ世界最大級のGPU群を活用できるようになる見通しです。

両社は今年4月、共同で技術開発を進めると発表し、SpaceXがCursorを600億ドルで買収する選択権を得ていました。その後6月にSpaceXが株式上場を果たすと、両社は買収手続きを本格的に進めると表明しました。今回の発表により、当初の計画通り買収が完了した形です。

Cursorはブログ投稿で、SpaceXの傘下に入ることで「世界最大のGPU群」にアクセスできると強調しました。SpaceXは同社のデータセンター基盤をAnthropicやGoogleにも提供しており、計算資源の外部提供でも収益を伸ばしています。Cursorは「知性を実用化する場になる」とコメントしています。

SpaceXは今年、Musk氏が創業したxAIも買収しており、傘下企業の再編を進めています。一方で、データセンターのガスタービン運用をめぐっては排出許可を得ていないとして訴訟も抱えており、計算基盤の拡大には環境面の課題も指摘されています。

天然ガス価格3倍高騰の予測、米IT大手に警鐘

価格急騰の予測

数年内に価格3倍の可能性
一部地域で10ドル超も
現在は2〜4.5ドル前後

需要増と供給減

米大手が発電所建設を加速
供給拡大ペースは鈍化
国内外市場の連動進む

データセンターへの影響

電力費の半分は燃料代
電気料金上昇のおそれ

エネルギー調査会社Norevaは、AIデータセンター向け需要の拡大を背景に、米国の一部地域で天然ガス価格が数年内に最大3倍まで高騰する可能性があるとの予測を発表しました。Amazon、Google、Meta、Microsoftなど大手ハイテク企業は近年、安価な天然ガスを前提に自前の発電所建設を進めており、今回の予測は各社の電力戦略に影響を及ぼす恐れがあります。

大手各社は天然ガスの発電投資を急速に拡大しています。Metaは3月、ルイジアナ州に7.5ギガワット規模のガス発電所を建設し、データセンター「Hyperion」に電力を供給すると発表しました。数日後にはMicrosoftとGoogleがそれぞれテキサス州でギガワット級のガス発電所建設を表明し、Amazonも同州で7.6ギガワット規模の計画を進めています。

Noreva最高経営責任者(CEO)のピーター・ガーデット氏は、エネルギー市場では天然ガス価格が上がらないとの楽観的な見方が広がっていたと指摘します。投資家の一部は、本来慎重なはずのハイパースケーラーが大きな価格変動リスクを引き受けている点に驚きを示しているといいます。

価格上昇の背景には、米国内の天然ガス市場が国際市場と結び付きを強めていることがあります。従来、西テキサスの天然ガスは石油生産の副産物として安値で取引されてきましたが、新たなパイプライン整備により輸出市場へ流れるようになり、地域間の需給差が価格差を拡大させています。

燃料費は大規模発電所の電力コストの約半分を占めるため、天然ガス価格が2〜3倍に上昇すれば、AI利用料であるトークンコストの上昇や、電力網への接続シフトを招く可能性があります。すでに消費者の8割がデータセンターの電気料金への影響を懸念しており、天然ガス料金への波及も懸念されています。

NVIDIA、担保GPUの価値下落25%まで補償

GPUの価値保証

価値下落の25%を補償
中古GPU市場の育成

5000億ドル調達

Apollo等金融6社参加
総額5000億ドル規模
循環融資批判を否定

リスクと反応

需要減で義務増大の懸念
Huang氏がXで火消し

NVIDIAは2026年8月、ApolloやBlackRock、Blackstone、Brookfield、Goldman Sachs、KKRといった金融大手6社と共同で、AIデータセンター建設向けに総額5000億ドル規模の資金枠を用意すると発表しました。注目を集めたのはその金額の大きさですが、実はより重要なのは、担保となる老朽GPUの価値を自ら保証するという新たな仕組みです。

具体的には、融資の担保に使われたGPUの市場価値が想定を下回った場合、NVIDIAがその差額の25%まで負担する仕組みです。データセンター運営会社が返済不能に陥り、貸し手がGPUを売却せざるを得なくなった際にも、想定価格を下回る分をNVIDIAが穴埋めします。

この保証には、需要が弱まるほどNVIDIAの負担が膨らむという「逆相関リスク」が伴います。実際、この仕組みが公表されると債券市場が動揺し、ジェンセン・フアンCEOがX(旧Twitter)やテレビ番組でリスクの限定性を説明する事態となりました。

かつて通信機器大手Lucentは、顧客に購入資金を貸し付けた末にドットコムバブル崩壊とともに経営破綻しました。NVIDIAもOpenAIやAnthropic、CoreWeaveなどへの巨額投資を進めており、同様の懸念を指摘する声もあります。ただし今回の枠組みは、資金と主なリスクを外部の機関投資家に負わせる点でLucentとは異なるとフアン氏は主張しています。

背景には、GoogleやOracle、Metaなど大手クラウド各社がすでに巨額の負債や増資でAI投資資金を調達しており、従来型の資金調達手法が限界に近づいているという事情があります。Microsoftのサティア・ナデラCEOも決算説明会で、鉄道バブル崩壊を描いた書籍を紹介し、市場の過熱に警鐘を鳴らしました。

フアン氏はNVIDIAのAIサーバーを「AIファクトリー」と呼び、鉄道や航空機のように長期にわたり価値を保つ資産だと位置づけています。老朽化したGPUでも別の顧客や用途に転用できる中古市場が育てば、NVIDIA製品の需要を長期的に支える基盤になると期待されています。

OpenAI出資のThrive、20億ドル調達 伝統企業をAI化

調達の概要

調達額20億ドル
企業価値120億ドル
SoftBankなど大手が出資

AI導入の成果

傘下企業70社超
税務申告7000件を処理
ヘルプデスク36倍高速化

新事業と業界動向

物理資産の規制対応に参入
AI実装支援が新たな主戦場

企業を買収してAIを組み込むThrive Holdingsが8月12日、SoftBankなどから20億ドルを調達したと発表しました。企業価値は120億ドルと評価され、資金の一部は物理インフラの規制業務を担う新事業に充てられます。会計事務所やIT企業といった伝統的な事業を買い取り、現場の業務にAIを実装する手法が、投資家の評価につながった形です。

今回の調達にはSoftBankのほか、D1 Capital PartnersとAltimeter Capitalが参加しました。同社はOpenAIの主要投資家であるThrive Capitalから分社した企業で、2025年12月にはOpenAI自身が出資しています。その取り決めにはOpenAI社員を買収先企業に派遣する内容が含まれ、AI導入を現場で加速させる体制が整いました。

プラットフォーム上の企業は70社を超えました。会計部門のCurrentは50社超・2000人以上の専門家を抱え、自己改善型の税務エージェント「TaxAI」が7000件超の申告を98%の精度で処理し、参加事務所の申告準備時間を3割以上短縮したとしています。IT部門のShieldには約20社が参加し、ヘルプデスクの解決時間を36倍に速めたほか、独自AIエージェントの稼働数はこの1カ月で倍増しました。

今回の資金は、物理資産の規制対応を担う3つ目のプラットフォームの立ち上げにも使われます。創業メンバーのAnuj Mehndiratta氏は、データセンターや製造、医療、電力、水道、交通などの分野で、地域・技術・規制の複雑さがプロジェクトの制約になっていると指摘します。AIが現場作業や専門家の最終判断を置き換えるわけではなく、調査や報告書作成、許認可申請、検査記録、法令順守の管理といった手作業を軽くする狙いです。

AIの実装支援そのものを事業にする動きは、業界全体に広がっています。OpenAIとAnthropicはそれぞれ大手プライベートエクイティと組み、The Deployment CompanyとOde with Anthropicという10億ドル規模の合弁を立ち上げ、精鋭エンジニアが企業に常駐して業務にAIを組み込む体制を築いてきました。価値の重心がモデルから実装へ移る流れは、自社のAI活用を進める経営層にとって見逃せない変化と言えます。

NVIDIAが金融大手6社と5000億ドル超のAI基盤融資網

5000億ドルの融資基盤

金融大手6社と融資基盤を設立
第三者資本5000億ドル超を動員

資産としての計算資源

A100は6年後も商用稼働
H100時間単価が約38%上昇
CUDA更新で設置済み設備も向上

循環取引への回答

金融6社が独立審査
NVIDIAの残価支援は最大25%
需要元は研究所や企業、国家

NVIDIAは8月12日、ApolloやBlackRock、Blackstoneなど金融大手6社と提携し、AIインフラ整備に5000億ドル超の第三者資本を動員する独立系の融資プラットフォームを設立すると発表しました。ジェンスン・フアンCEOは公式ブログで、企業がチップを買って案件ごとにデータセンターを建てる時代から、AI工場を収益を生むインフラとして金融できる時代に移ったと述べています。

投資対象になると説明する根拠は、計算資源の転用可能性です。NVIDIAのAI工場は言語や画像、音声、生物学、ロボティクスまで幅広いモデルを動かせるうえ、主要クラウドや企業に共通の設計が採用されているため、顧客が入れ替わっても別の事業者が引き継いで使えます。CUDAの世代更新は設置済み設備の性能と総保有コストを改善し続けるので、時間とともに生産量が増えるという主張です。

実績として挙げるのが、2020年に投入したA100です。6年経った今も学習や推論、高性能計算で商用稼働しており、複数年の容量契約が続くことで経済的な寿命は10年に近づいています。市況も強く、H100の1年契約は2025年10月の1GPU時間あたり約1.70ドルから2026年3月に約2.35ドルへ上がり、Blackwell世代のB200は約5.30〜7.05ドルと上乗せされた価格がついています。

投資家が最も気にする循環取引の懸念については、資金の出し手が独立している点を強調しています。6社は顧客、需要、稼働率、キャッシュフロー、残存価値を個別に審査し、NVIDIAは設備プラットフォームを提供する側に回ります。ただしNVIDIAは案件ごとの判断で、投資機会の最大25%まで残存価値を支える仕組みを用意する場合があるとも認めています。

経営者にとっての含意は明快です。計算資源が電力や通信と同じインフラ資産として扱われるなら、自社でGPUを買い切らなくても長期資本を使って調達する道が広がります。5000億ドルはNVIDIAの売上でも単一のファンドでもなく、時間をかけて動員される第三者資本の総額である点は押さえておきたいところです。

NVIDIA、既存データセンターに800VDC給電ラック投入へ

800VDC移行の狙い

AC変換段数削減で電力損失を抑制
電力網からGPUまでの経路短縮
高電圧直流でラック密度向上

既存施設への後付け

MGX互換の800VDC給電ラック
2026年後半に提供開始
建屋の電気設備は改修不要

標準化と拡張計画

OCP標準に80社超が対応
2027年に列単位電源を投入

NVIDIAは8月11日、AIデータセンターの電力供給を交流から800ボルト直流(800VDC)へ移行する構想を公式ブログで示しました。GPUの消費電力とラック密度が上がるなかで、課題は電力の総量ではなく電力網からGPUまでの届け方にあると同社は指摘します。GoogleおよびMicrosoftと共同で仕様を策定し、既存施設が今から移行できる手段も併せて提示しました。

従来の給電では、電力網から届いた交流を何段階も変換してからサーバーに届けます。変換のたびに損失と機器が積み上がり、ラックが高密度になるほど小さな非効率が急速に膨らみます。800VDCは高い電圧の直流で配電することで変換段数を減らし、より多くの電力を演算そのものに回す設計です。

最初の受け皿となるのが、2026年後半に登場するMGX対応の800VDC給電ラックです。既存の交流設備の中に置いてラック列内で800VDCを供給する構成のため、建屋の電気設備を作り替える必要はありません。土地や受電権、建物といった既に投じた投資を無駄にせずに高密度化へ進める点が、稼働中の事業者には大きな意味を持ちます。

拡張の道筋は三段階で描かれています。次の段階となる列単位の電源センターは、頭上の800VDCバスウェイで配電し1列あたり最大2メガワットに対応、2027年の提供を見込みます。新設施設向けには、受電した電力を一段で800VDCへ変換する施設規模のDC電源ブロックが用意され、中電圧からの直接変換を可能にします。

仕様はOpen Compute Project(OCP)を通じて公開され、2026年3月に共同ホワイトペーパー、7月にはLVDC固体変圧器仕様v0.3が出ています。共通インタフェースを定めたことで異なるベンダーの電源機器を同じ施設で組み合わせられ、すでに80社を超える機器メーカーが対応製品を開発中です。これらの構成要素はNVIDIA DSXリファレンスデザインとして、設計の青写真にまとめられています。

Wood Mackenzieは2040年までに世界のAI・データ基盤投資が9兆ドルに達すると予測しています。その投資を受け止められるのは、演算需要が設備の限界を超える前に電力アーキテクチャを片付けた施設だという見立てです。電源設計をいつ手当てするかが、今後のAI基盤投資の巧拙を分ける論点になりそうです。

Mistral、欧州AI計算基盤を2030年に1ギガワットへ

1ギガワット構想

2027年末に200メガワット確保
2030年末に1ギガワット
約380億ドル規模の設備投資

5年契約の計算枠

解約不可の5年契約
ASMLやCMA CGMが参画

主権と現実の差

中国製GLM-5.2も提供
Web検索は域外経由もあり
Microsoftが主要顧客

フランスのAI企業Mistral AIは8月11日、欧州のAI計算基盤を2030年末までに1ギガワット規模へ拡大する構想を発表しました。欧州の大手企業から複数年の計算利用契約を集め、その需要を担保にデータセンター投資を賄う仕組みで、2027年末には200メガワットの確保を目指します。あわせて、処理地域を欧州か米国から選べる推論エンドポイントと、稼働率保証付きの上位プランも提供します。

構想の壁は資金です。同社の現在の容量は200メガワット未満で、稼働中の拠点はパリ近郊の44メガワット、スウェーデンの23メガワット、フランス・レジュリの10メガワットにとどまります。調査会社Epoch AIの試算では1ギガワット級のAIデータセンターに約380億ドルの初期投資が必要とされ、これまでの調達総額約40億ドルとは桁が違います。

そこで持ち出したのが「欧州コンピュートユニット(ECU)」です。参加するのはASML、Amadeus、Capgemini、CMA CGMといった欧州の産業大手で、約5年分の計算能力を先に押さえ、推論・学習・モデル調整など用途は後から決められます。共同創業者兼CTOのティモテ・ラクロワ氏は途中解約について「抜ける道はない」と言い切り、電力購入契約に近い拘束力で融資の裏付けを作る狙いです。

主権をうたう一方で、線引きは現実的です。域内推論でも一部の処理は域外の再委託先に渡る場合があり、ラクロワ氏はWeb検索などのツール呼び出しを例に挙げたうえで、欧州で調達できない機能は無効化や利用制限で対応すると説明しました。さらに同社は中国Z.aiのGLM-5.2を皮切りに他社のオープンモデルも自社基盤で提供し、モデル提供者から欧州の信頼できる流通層へと立ち位置を移しつつあります。

最大の顧客は、皮肉にもMicrosoftです。7月に結んだ数十億ドル規模の提携で同社はMistralの欧州データセンターから容量を借り受けており、Mistralは米ハイパースケーラーに設備を貸す側に回ることで投資リスクを下げています。ただしデータセンターを埋めるGPUの大半はNvidiaなど米国製で、独立性には契約では埋められない限界も残ります。

では、重みを無償公開するモデルでどう回収するのでしょうか。ラクロワ氏は、モデルが兆パラメータ規模に膨らみエージェント型の処理量が増えるなかで自社設備だけに推論を閉じ込めるのは難しくなると述べ、クラウド推論での収益化に賭ける考えを示しました。同社は約200億ユーロの評価額で30億ユーロ規模の追加調達を交渉中と報じられており、顧客を5年縛る以上、自らも長期の約束から降りられません。

ザッカーバーグ氏、6500語の宣言で超知能の無償提供を主張

6500語の宣言

8月10日公開、6500語の長文論考
個人向け超知能を数十億人に
無料版とオープンソースの拡大

規制と地域への姿勢

蒸留規制の見直しを米国に要求
海外オープンモデルの制限に反対
2030年までに水資源を回復

割れる受け止め

教育や司法の例に現実味欠くと批判
児童安全訴訟で5.67億ドル命令

Metaのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は8月10日、6500語におよぶ論考「The Future is for Everyone」を公開しました。自社が開発するパーソナル超知能を数十億人と中小企業に無料か可能な限り安価に届け、オープンソースモデルの公開も広げると表明したものです。データセンター建設や政府規制のあり方にも踏み込んだ内容になっています。

最も具体的なのは、AIデータセンターへの反発に対する回答です。投資する地域すべてで発電設備を建設し、低コストの電力を地域に還元する方針を示したうえで、2030年までに使用量を上回る水を流域に戻すと約束しました。地域支援の基金「Future Is For Everyone Fund」の創設、技能職への無償訓練と高賃金の雇用保証も掲げています。

規制をめぐっては二つの顔をのぞかせます。モデル間の学習である蒸留やデータ利用に関する米国の政策は見直すべきだとし、海外のオープンモデルへのアクセス制限には反対を表明しました。背景にはAlibabaやMoonshotなど中国勢の公開モデルが学習データ規制の面で優位に立っているという危機感があります。

一方でサイバーセキュリティ分野では、政府の関与を求めています。学習が完了する前の段階から訓練情報を政府に共有し、法執行機関とも協力して悪用者を特定すべきだという提案で、トランプ政権のAI試験枠組みとも歩調を合わせる内容です。自由には規制緩和、安全保障には政府連携という組み合わせが、この宣言の性格をよく表しています。

ただ受け止めは割れています。TechCrunchは、この論考こそ人々がAIを敬遠する理由だと批判し、家庭教師や弁護士をめぐる例が実際の使われ方と乖離していると指摘しました。生成AIは学習を助ける一方で宿題や小論文の代筆にも使われており、確実な電子透かしがない現状では教員が判別できないためです。

根にあるのは信頼の問題です。米国の調査では64%がソーシャルメディアは民主主義に有害だと答え、8月上旬には子どもの安全をめぐる訴訟でMetaに5.67億ドルの追加支払い命令が出たばかりでした。危険性を率直に認めるサム・アルトマン氏やダリオ・アモデイ氏の発信と比べ、リスクに触れない語り口はかえって不安を招き、説明責任がいっそう重く問われる局面ではないでしょうか。

利用者の反発でMetaとGoogleがAI機能撤回

相次ぐ機能撤回

Googleが衛星画像のAI加工を停止
報道と世論の圧力が転換点

プラットフォームの対応

LinkedInにAI投稿の通報機能
SnapchatがAI動画を推薦除外
SubstackはAI検出ツール導入

利用者の不信

18〜29歳の半数近くが有害と回答
同意なき導入への不満が根源

米誌WIREDは2026年8月10日、生成AIへの利用者の反発が大手プラットフォームの行動を実際に変え始めていると報じました。MetaはInstagramで本人の同意なくAI画像を作れる機能を批判の高まりから3日で停止し、GoogleもGoogle Earthの衛星画像をAIで加工できる機能を公開直後に撤回しています。

プラットフォーム側の設計変更も進んでいます。LinkedInはAI生成らしい投稿を通報できるボタンを追加し、Snapchatは完全にAIで作られた動画を発見タブの対象外としました。Substackは書き手を対象にしたAI検出ツールを導入しています。

反発の根にあるのは同意の欠落です。学習用データとして自分の投稿が集められることも、検索結果の上部にAIの回答が置かれることも、利用者が求めた結果ではありません。ニューヨーク大学のMeredith Broussard教授は「AI革命は起きたが、誰もがそれを嫌っている」と述べ、テック企業が同意の問題に鈍感だったと指摘します。

世論調査もこの空気を裏づけます。Gallupの調査では生成AIへの理解が深まるほど否定的な見方が強まり、18〜29歳では半数近くが害の方が大きいと答えました。AIを支えるデータセンターの建設に対する抗議も、政治的立場を超えて広がっています。

職場でも温度差があります。開発者が生成AIを日常業務に取り込む一方、トップダウンの利用強制への不満は根強く、Blockの従業員は「本当に良いツールなら誰もが自然に使う」と語りました。同意と選択肢を欠いたAI導入は、機能の撤回や信頼低下というコストを伴うことを示しています。

では経営者は何をすべきでしょうか。撤回された事例に共通するのは、事前の説明もオプトインもないまま機能を配ったことです。導入の可否を利用者や従業員が選べる設計にすることが、公開後の手戻りを避ける最も現実的な手段になります。

Amazon、米国最大の気候汚染源になりうるガス火力に出資

テキサス州の巨大ガス火力

米国最大の気候汚染源の恐れ
NYTが報じたAI向け電源計画

規制回避と政権の後押し

許認可手続きの省略を容認
喘息や心疾患など健康被害懸念
大手各社で自前電源調達が加速

住民の抵抗と訴訟

NAACPがxAIを提訴
抗議で1300億ドル規模が停止

Amazonが、テキサス州に建設される天然ガス火力発電所に出資し、自社のAI向けデータセンターの電力を賄うことがわかりました。ニューヨーク・タイムズによると、この発電所は米国で単一の施設として最大の気候汚染源になる可能性があります。送電網に頼らない「系統外」型データセンターへの本格投資は、Amazonにとって今回が初めてと報じられています。

ガス火力発電所をデータセンター計画に組み込む例は急増しています。排出される大気汚染物質は気候変動を加速させるだけでなく、喘息や心臓病、肺がん、脳卒中といった健康被害にもつながります。地域社会からは、より厳格な環境審査を求める声が上がっています。

背景にあるのは、規制をめぐる政治情勢です。トランプ政権は許認可手続きの完全な省略も含む迅速化を優先しており、審査を求める住民との溝は広がる一方です。前例となったのが、Elon Musk氏率いるxAIが2025年春から最大のAIデータセンター「Colossus」をガスタービンで稼働させ、強い反発を招いた一件でした。

2026年6月には、ミシシッピ州のNAACPがガスタービンの停止を求めてxAIを提訴しました。これに対しトランプ政権はxAI側に立ち、市民に大気浄化法を執行する権限はないと主張しています。この訴訟で住民側が敗れれば、透明性を求める運動の勢いは大きく削がれかねません。

AI大手の多くは、批判を横目に自前の電源確保を進めています。Anthropic、Google、Meta、Microsoft、OpenAI、Oracleが許認可の議論を避ける形で電力調達に動き、この1年で数十社が同様の動きに着手しました。

抗議によって今年これまでに1300億ドル規模のデータセンター計画が止まった一方、ガス火力への抵抗は通用しにくくなりつつあります。経営者にとっては、AIの電力確保が環境・訴訟リスクと直結する局面に入ったと言えるのではないでしょうか。

Amazonデータセンター、発電所CO2許可が米国最大

発電所の計画概要

テキサス州ペコス郡に新設
天然ガスタービン35基
出力7.65ギガワット
当初は州の送電網に非接続

排出許可の大きさ

CO2年3300万トンまで許可
国内最大の石炭火力を上回る

気候公約への影響

2040年カーボンニュートラル目標
昨年の排出量は16%増

Amazonが米テキサス州ペコス郡に計画するデータセンターで、電力を賄う併設のガス火力発電所が、年間3300万トンの二酸化炭素を排出できる許可を得ていたことが、8日のニューヨーク・タイムズの報道で明らかになりました。許可量は米国内のどの発電所よりも多く、最大級の石炭火力発電所をも上回ります。AIの計算需要が、大手テック企業の電力調達のかたちを大きく変えつつあります。

この発電所はGW Ranchと呼ばれ、35基の天然ガスタービンで7.65ギガワットを発電する計画です。The Vergeによると、電力は少なくとも当初はテキサス州の送電網につながず、主に新設のデータセンターへ直接供給されます。Amazonは用地を取得済みで、GW Ranchから電力を購入する方針を認めています。

許可量はあくまで上限で、発電所が上限いっぱいまで排出することはまれです。それでも、上限が国内最大の石炭火力を超える水準に設定されている点は、汚染規制の緩さを示しています。データセンターと電源を追跡するCleanviewが、この数字を確認しました。

Amazonは気候誓約(The Climate Pledge)の共同設立企業で、ジェフ・ベゾス氏は2040年までのカーボンニュートラルを約束しています。しかしAI需要に押される形で排出量は数年連続で増え、昨年は前年比16%増となりました。広報担当者はニューヨーク・タイムズに「世界は気候誓約を共同設立した当時とは違って見える」と語りつつ、「私たちのコミットメントは変わっていない」と述べています。

自前の電源を確保する動きはAmazonに限りません。MetaやGoogleもガスや石炭などの発電所建設に乗り出しており、トランプ政権はこうした発電所への規制を緩める方向で動いています。一方、Amazonの広報担当者が「テキサスの家庭の電気料金を上げない新しい自家発電で動かす」と説明したように、電気料金を含む地域の反発は無視できず、ニューヨーク州は新規データセンターの建設停止に踏み切っています。

SpaceX初決算、AI投資約160億ドルで株価10%安

決算と市場反応

売上78億ドルで92%増
AI投資約160億ドルで前期比2倍
株価10%安、IPO後高値から半減

事業構成の逆転

宇宙事業は売上の約1割
Starlink売上42億ドル
営業黒字は通信事業のみ

拡張計画とリスク

27年末に10GW級の計算能力
年内ARR1000億ドル目標

イーロン・マスク氏が率いるSpaceXが8月4日、上場後初となる四半期決算を発表しました。売上高は78億ドルと市場予想の68億2000万ドルを上回り前年同期比92%増、純損失も5億4100万ドルと21億ドル超とされた予想を大きく下回りました。それでも翌5日の株価は一時10%下げ、AI向け設備投資が前四半期の2倍となる約160億ドルに膨らんだことが投資家の警戒を招いています。

決算が映し出したのは、ロケット企業というより計算資源の貸主としての姿です。宇宙事業の売上は10億ドルに届かず全体の1割強にとどまり、衛星通信のStarlinkが42億ドルで、営業損失を出さなかった唯一の部門でした。データセンターを貸し出すコンピュート事業はロケットを上回る売上を稼ぎ、設備投資でも宇宙・通信が各10億ドル強なのに対しAIだけで158億ドルを投じています。

この構図は当初の計画ではありませんでした。マスク氏はGrokの学習用にメンフィスのデータセンター「Colossus 1」を建てましたが、xAI側が遅延や新旧チップ混在によるボトルネックで使いこなせず、外部への賃貸へ切り替えた経緯があります。決算説明会でマスク氏は、今後構築する計算資源のうちGrokに回すのは1割程度だと述べ、GoogleやAnthropic、Reflection AI、買収したCursorとの契約を挙げました。

投資計画はさらに膨らみます。マスク氏は計算能力を今年末の2GWから2027年末までに「5GWより10GWに近い」水準へ引き上げる方針を示し、今後のインフラ整備ではNvidia製ハードウェアに一本化すると明言しました。1GW増設するごとに数百億ドル規模の費用がかかり、上限想定では2027年末のデータセンターがニューヨーク市の夏のピーク需要に匹敵する電力を消費する計算になります。

収益面では、最高財務責任者のブレット・ジョンセン氏が年末までに年換算売上高(ARR)1000億ドル超に達し、その大半をクラウド事業が担うと説明しました。一方でS&P;グローバルのメリッサ・オットー氏は「投資家がさほど乗り気でなかったのはAI部門の設備投資額だ。野心的すぎる」と指摘します。コンピュート貸しはCoreWeaveやNebiusと同じ土俵であり、機材の陳腐化や価格競争にさらされる資本集約型の事業でもあります。

目先の需給も重くのしかかります。SpaceXは6月のIPOで860億ドルを調達しましたが、株価は上場直後の高値225ドルから112ドルへほぼ半減し、8月6日には内部関係者のロックアップ解除が始まります。最大100万基の衛星による軌道上データセンター構想もFCCに申請済みですが技術的な詳細は乏しく、経営陣が語る壮大な構想と足元の資本負担のギャップをどう埋めるかが問われています。

IEEE、AIで電力網を近代化する技術者育成講座を開講

電力網が抱える限界

データセンター需要で送電網が逼迫
テキサスで220GWの接続申請
異常気象と再エネ変動で不安定化

AI活用は必須要件に

予知保全で停止50%減の試算
設備寿命は最大40%延長

IEEEの育成講座

全5モジュールのオンライン講座
物理法則を組み込む安全なAI
対象は技術者とデータ科学者

米電気電子学会(IEEE)の教育部門と電力エネルギー部会が、送電網の近代化を担う技術者向けの講座「AI for Power and Energy Systems」を開講しました。データセンターの急増と異常気象で米国の電力網が限界に近づくなか、AIを扱える人材の不足が壁になっているためです。講座は電力技術者や電力会社の管理職、データサイエンティストを対象に、五つのモジュールで構成されます。

背景にあるのは、需要と供給の両面で起きた構造変化です。テキサス州最大の送電事業者には、AIとクラウド設備の増加を主因に220ギガワットもの新規接続申請が寄せられたとCNBCは報じています。一方の発電側では風力や太陽光など天候に左右される電源が増え、停電を避けるために需給を秒単位で調整せざるを得ません。

設備そのものの弱さも重なります。テキサス州を襲った大寒波や記録的な熱波は変圧器に過大な負荷をかけ、高くつく障害を招いてきました。アナログ機器をスマートメーターや制御システムへ置き換える動きは、同時にサイバー攻撃の入口を増やしています。

こうした環境では、従来の系統計画の手法は速度が足りません。数千のセンサーや気象予報、過去の使用実績を機械学習で即座に解析すれば、障害の予兆を先回りしてつかめます。マッキンゼーの調査では、データと自動化の統合によって予知保全で設備の停止時間を最大50%削減し、機器の寿命を最大40%延ばせると示されました。

講座を設計したのは、テネシー大学ノックスビル校のFangxing(Fran)Li教授です。カリキュラムはAIを検証できないブラックボックスとして扱わず、安全性と設備保全、厳格な信頼性基準を軸に据えています。内容はAIの基礎、深層強化学習による系統制御の高速化、需要と市場価格の予測、物理法則を組み込んだ安全なAI、生成AIと次世代技術の五つです。

電力を大量に使う側であるAI業界にとっても、この人材論は他人事ではありません。電力網の余力が事業拡大の制約になりつつある今、電気を理解するデータサイエンティストと、データを扱える電力技術者をどう確保するかが問われています。

テキサス州、データセンターの送電網接続を監査まで停止

知事の監査指示

PUCTとERCOTによる事前監査
電力と水の使用量の申告義務
騒音や地域影響の対策も対象

接続待ちの急増

接続要求474ギガワット
うち約9割がデータセンター
過去最大需要の5倍超

事業者への影響

ERCOTの第1弾接続通知の延期
自家発電案件は対象外

米国テキサス州のグレッグ・アボット知事は8月3日、州公益事業委員会(PUCT)と送電網運営者ERCOTに対し、新規のデータセンター案件をすべて検証・監査するよう指示しました。監査が終わるまで新たな送電網への接続承認は事実上止まり、全米2位のデータセンター市場が一時停止に入ります。背景には、接続を待つ申請が系統の想定を大きく超えて膨らんだ事情があります。

知事事務所によると、ERCOTが抱える接続要求は474ギガワットに達し、今年1月の233ギガワットから半年余りで倍増しました。このうち約9割がデータセンター向けで、州の過去最大需要の5倍を超える規模です。申請の多くはまず列に並ぶだけの計画段階で、進むうちに立ち消えになる案件も少なくありません。

監査では、州や自治体から受けた優遇措置、州の送電網への依存度、想定する水の消費量と調達先、騒音対策や照明の制御、所有者情報などの提出が求められます。アボット知事は以前、任意の調査で同様の情報を集めようとしましたが、大半の事業者は回答しませんでした。今回は強制力のある手続きに切り替えた形です。

ただし今回の停止は、送電網につながず自前の発電設備で立ち上げる自家発電型の案件には適用されません。市場調査のCleanViewによると、テキサス州はこの方式の公表済み容量が40ギガワットと全米最大で、パーミアン盆地のガス供給と広大なパイプライン網が背景にあります。エルパソなどERCOTの管轄外の地域も、今回の対象から外れます。

ERCOTは今週中に通知する予定だった第1弾の接続グループ「Batch Zero」の手続きを先送りし、州規制当局と指示の進め方を詰めます。ニューヨーク州のデータセンター一時停止に続く動きで、電力を大量に使う施設への慎重姿勢が党派を超えて広がりつつあります。一方で今回の指示は、データセンターに伴う大気汚染や温室効果ガスの排出には触れていません。

SpaceXのAI売上3倍、宇宙事業を上回る26億ドル

AIが収益の柱に

AI売上26億ドルへ3倍
宇宙事業売上は9.6億ドル
AnthropicとGoogleへ供給

赤字幅は縮小

純損失1.43億ドルに縮小
AI部門は15億ドルの赤字
設備投資183.7億ドル

Musk経済圏の取引

Megapack購入3.29億ドル
Cursor買収は未完了

SpaceXは8月4日、6月の新規株式公開後としては初となる四半期決算を発表しました。AI部門の売上高は前年同期の3倍超となる26億ドルに達し、宇宙事業の9億6200万ドルを大きく上回っています。AnthropicとGoogleに対する計算資源の提供契約が伸びを牽引し、社名に反してAI企業としての性格を強めた四半期となりました。

全体では赤字が続いていますが、四半期の純損失は1億4300万ドルまで縮小しました。AI部門単体では15億ドルの損失を計上しており、前年同期をわずかに下回る水準です。AI向けの能力増強に伴い、設備投資額は183億7000万ドルに膨らんでいます。

収益構造を見ると、Starlinkの通信事業が42億ドルと最大の稼ぎ頭で、同社で唯一の黒字部門です。宇宙事業では技術開発費が前年同期比で3億8900万ドル増え、Starshipが支出の主因となりました。重量の増したStarlink衛星の打ち上げが通信事業の拡大を左右するため、今回の資料では20機を打ち上げたと説明しています。

AIデータセンターへの投資は、Musk氏の企業群をまたぐ取引としても表れています。SpaceXは第2四半期にTesla製の蓄電池Megapackを2億9500万ドル分購入し、今年の累計は3億2900万ドルに達しました。xAIとの統合前には同社が4億3000万ドル分を購入しており、電池はGPUの需要変動に伴う電力の山を平準化する設備として使われているとみられます。

決算は市場予想を上回ったものの、株価は時間外取引で一時上昇した後に下落しました。企業向けAI製品を担うCursorの買収はまだ完了しておらず、Musk氏は規制当局の承認について完了は近いと述べるにとどめています。

Runware、推論向け可搬型データセンター発表

モジュール型の設計

輸送可能な単一ユニット
水を使わない閉ループ冷却
数日で構築、迅速に増設

展開状況

3地域で10基が稼働中
設置候補地は160カ所
Wix などへ推論提供

競合と電力

単一ネットワークで負荷分散
既存電力活用で増設不要

AIインフラ企業のRunwareは8月4日、輸送可能なモジュール型データセンター「Sonic Inference Pod」を発表しました。単一の輸送ユニットとして設計され、電力があればどこにでも設置でき、数日で立ち上げられる点が特徴です。ハイパースケーラーが進める巨大データセンター計画と並存する、より柔軟な計算資源の選択肢として位置づけています。

同社によると、Podは他のサーバーレス推論基盤やGPUクラウドよりも高い品質の推論を低コストで提供できるといいます。モジュール設計のため、固定的な施設を拡張するのではなく新しいPodを追加するだけで短期間で容量を増やせるのが利点です。冷却には水を使わず、閉ループ方式を採用しています。

Runwareは現在、米国、欧州、アジア太平洋の3地域で10基のPodを稼働させています。すでにHiggsfield AIやWixなどへ推論を提供しており、Podを設置できる拠点は160カ所を確保済みです。2025年12月には5000万ドルのシリーズAを調達しています。

OpenAIなどが大規模データセンターの建設を急ぐなか、共同創業者兼CEOのFlaviu Radulescu氏はそれらを脅威とは見ていません。全Podが単一のネットワークとして動くため、リクエストは空き容量のある拠点へ回り、1基が停止しても他へトラフィックを振り替えられると説明します。専用ハードウェアを求める顧客にはPod単位で割り当てるとしています。

一方、データセンターの資源消費は各地で議論を呼んでおり、立地する地域では光熱費の上昇も報告されています。Radulescu氏は、AIの電力消費は供給者ではなく推論需要によって増えると述べたうえで、送電損失なし、冷却に水を使わない設計と既存電力の活用により、同じ計算量あたりの送電網の新設と水の消費を抑えられると主張しています。

OpenAI初のインフルエンサー招待旅行に批判集中

初のブランド旅行

ニューヨーク近郊で週末開催
1泊2000ドル超の宿泊施設
配布品は専用パジャマ

広がる反発

環境負荷やデータセンター批判
反応動画は計50万回超再生
女性クリエイター起用への疑問

企業側の説明

OpenAIは教育目的と説明
西海岸で第2弾の観測

OpenAIは先の週末、ニューヨーク近郊の自然豊かなリゾートで同社初となるブランド旅行を開催しました。「Summer Club」と名付けられた企画には、キャリアや働き方を発信するインフルエンサーが招かれ、専用グッズやモノグラム入りパジャマとともに滞在の様子を投稿しました。しかし投稿直後からコメント欄に批判が集まり、AI企業のマーケティング手法をめぐる議論に広がっています。

批判の中心にあったのは、AIの普及に伴う環境負荷やデータセンター建設、雇用への影響でした。インフルエンサー本人の動画自体は再生数が伸びず、ある投稿は「いいね」が300件未満にとどまりましたが、それに反応する動画は2本だけで合計50万回以上再生されています。

参加者に若い女性クリエイターが目立った点にも疑問が向けられ、AI業界の評判づくりに利用されているのではないかという声が出ました。Pew Research Centerの6月の調査では、男女のAI利用率の差はほぼ消えた一方、女性はAIを否定的に捉え、自分に悪影響が及ぶと答える割合が男性の2倍に上ります。

参加したグレース・マッカリック氏はLinkedInで「これほど反AIの人が多いとは思わなかった」と投稿し、批判の広がりに戸惑いを見せました。OpenAI広報のエディ・キャンベル・アーバン氏は、クリエイターは人々が製品を知る重要な接点であり、今回の催しは教育目的だったと説明しています。

The Vergeが指摘するのは、旅行の狙いが判然としない点です。1泊2000ドルを超える宿とはいえ内容は国内の週末旅行にとどまり、ChatGPTの機能に触れた投稿はほとんど見当たらず、公開されたのはライフスタイル寄りの映像が中心でした。

AI各社は「仕事がなくなる」という語り口を改め、実店舗のポップアップやグッズ配布など親しみやすい発信に軸足を移しています。Anthropicも小規模なインフルエンサー向け夕食会を開いており、OpenAIは西海岸で2回目の旅行を計画しているとされます。批判を直接受けるのは企業ではなく起用されたクリエイター側だという構図が、今回あらためて浮き彫りになりました。

アメリカ人の7割がデータセンター反対、超党派の争点に

広がる反対運動

7割が地元建設に反対
反対団体の会員50万人超
12州超で一時停止法案

政治の主戦場化

ニューヨーク州で初の停止法
フロリダ州の拒否権付与法
右派と左派の共闘

AI不信との連動

反対層の多くがAI懐疑
42州150郡での抗議行動

アメリカでデータセンターの建設反対が、左右両派を巻き込む全国的な政治争点に発展しています。WIREDが8月4日に公開した長編記事によると、ギャラップの世論調査では回答者の約7割が自分の住む地域への建設に反対し、少なくとも12の州で一時停止法案が提出されました。生成AIの計算需要を支える巨大施設が、電気料金や水資源への不安を通じて有権者の生活と直結し始めたためです。

反対運動の規模は短期間で急拡大しました。データセンター反対を掲げるフェイスブック上のグループの全国会員数は、2025年12月の10万人未満から2026年7月には50万人超へと増えています。ニュージャージー州、カリフォルニア州、ウィスコンシン州、インディアナ州では、公聴会で抗議した住民が逮捕されたり退去させられたりする事態も起きました。

制度面の動きも加速しています。ニューヨーク州は州全体を対象とする初の建設一時停止法を成立させ、フロリダ州のロン・デサンティス知事は住民がデータセンターを補助しないよう定め、自治体に拒否権を残す法律に署名しました。テキサス州ヒル郡のような保守色の強い地域でも、独自の建設禁止条例が可決されています。

運動の担い手は環境保護派だけではありません。スティーブ・バノン氏の番組で技術担当を務めるジョー・アレン氏は、AI安全性センターが支援する超党派団体「Humans First」の助言役として全国で講演を重ね、右派層にAIへの警戒を広げてきました。同団体は3月に党派対立で分裂しましたが、その後42の州の約150郡で全国一斉の抗議行動を組織しています。

企業側の対応も問われています。ジョージア州トループ郡で反対運動を担う活動家ゲージ・ベイリー氏は、近隣施設の入居企業がGoogleだと知った後、2025年11月に一度面会したきり連絡が途絶えたと語ります。Googleは地元の学校や非営利団体との直接的な連携を進め、電気料金の支援団体と100万ドルの提携を結んだとWIREDに説明しました。

注目すべきは、この反発が近隣問題にとどまらない点です。2026年6月に公表された小規模調査では、反対する人の多くは実際には施設の近くに住んでおらず、同時にAIそのものに懐疑的だという傾向が示されました。記事は、技術の全面拒否と大手技術企業への全面譲歩の中間を探る動きだとしつつ、アメリカの政治制度がその調整に備えられていない可能性を指摘しています。

EON、宇宙レーザーでAIデータセンター接続へ

資金と体制

シード資金1075万ドル
ゼネラル・カタリストとa16zが出資
CEOはApex出身のホロウィッツ氏

技術と工程

初期目標は毎秒2.4テラビット
衛星約20機で大陸間専用回線
2027年末に実証機打ち上げ

市場と競合

顧客はハイパースケーラーとAI企業
ブルーオリジンのTeraWaveと競合

米国のスタートアップ、エンデバー・オプティカル・ネットワークス(EON)が8月4日、ステルス状態を脱し、1075万ドルのシード資金の調達を発表しました。ゼネラル・カタリストとアンドリーセン・ホロウィッツが出資しています。同社はレーザーを搭載した衛星群で大陸をまたぐデータセンター同士を結び、海底光ファイバーに代わる回線を宇宙に築く計画です。

背景にあるのは、海底ケーブルの脆さです。ハイパースケーラーが世界中にデータセンターを建てる一方、それらをつなぐ海底光ファイバーは敷設も修理も難しく、電波は帯域が足りません。海底ケーブルの毎秒200テラビットという水準に対し、EONはまず毎秒2.4テラビットの実現を目指します。

計画では約20機の衛星を打ち上げ、1機が2つの大陸を結ぶ専用回線を担います。初期の編成でも24時間の接続を確保し、地上局は地域ごとに冗長化したうえで気象データを活用し、雲による通信の途切れを避ける考えです。最大の技術課題は、大気を通過する際にレーザー信号が歪む点だとしています。

調達した資金は光学ラボの整備と技術者の採用、地上試験に充てます。2027年末ごろに実証衛星の打ち上げを予定し、下り回線で少なくとも毎秒800ギガビット、条件次第で1テラビットの通信を狙います。衛星本体はApex Spaceなどの既製品を購入し、レーザーを向けるジンバルなど光通信端末の開発に資源を集中させます。

同じ市場にはブルーオリジンも参入し、5048機の衛星で最大毎秒6テラビットを提供するTeraWave構想を掲げています。規模ではブルーオリジンが上回りますが、EONは小規模な編成を早く軌道に乗せる戦術です。調査会社クイルティ・スペースのケイレブ・ヘンリー氏は、衛星通信が最後の手段から信頼できる基盤に変わりつつあると認めつつ、データセンター向けの最適化は起業家が語るより時間がかかると指摘します。

ホロウィッツ氏は「当社のルールは一つ、物理の問題は扱わないことだ」と語り、宇宙にデータセンターそのものを建てる構想より現実的だと主張します。フランスとオーストラリア間のような長距離路線や、アフリカと南米の間のようにインフラの乏しい経路を狙い、専用帯域をハイパースケーラーやAI企業に販売する計画です。

Anthropic、Voltaと100億ドルの計算資源契約と報道

契約の骨子

100億ドル規模の契約
供給期間は6年間
Bloombergによる報道

ノルウェーの拠点

共同開発にBitdeer
容量133メガワット
Nvidia最新チップ採用

計算資源の確保

SpaceXやAmazonとも契約
続く計算力の積み増し

アメリカのAI企業Anthropicが、新興クラウド企業Voltaと総額100億ドル規模の計算資源契約を結んだと、Bloombergが2026年8月4日に関係者の話として報じました。Voltaは6年間にわたり、Claudeを開発するAnthropicにクラウドの計算能力を供給します。競合他社との開発競争が続くなか、Anthropicが計算基盤の確保を急ぐ動きの一環です。

計算基盤の中核となるのが、ノルウェーに建設されるデータセンターです。開発では暗号資産マイニング企業のBitdeerが協業相手となり、施設の電力容量は133メガワットに達する計画です。Voltaは2026年に設立されたばかりの企業とされています。

施設にはNvidiaの最新AIチップ基盤であるVera Rubinシステムが導入されます。VoltaはNvidiaのGPUをデータセンターに採用するクラウド事業者の連合、Cloud Partner programにも名を連ねています。

Voltaはこれまで、あるAI研究機関との契約に言及しながらも、相手先の社名を明らかにしていませんでした。今回の報道は匿名の関係者の証言に基づくもので、TechCrunchはAnthropicに詳細を問い合わせています。

Anthropicはここ数カ月、計算能力の拡大を積極的に進めてきました。直近ではSpaceXやAmazonとの新たな計算資源契約も公表しており、調達先の多様化が進んでいます。経営者やエンジニアにとっては、モデル提供の安定性を左右する動きとして注目に値します。

AMDのデータセンター売上倍増、四半期最高の115億ドル

データセンター倍増

売上67億ドル、前年比107%増
全社売上に占める比率58%
前四半期の58億ドルから上積み

ゲームは31%減

ゲーム売上31%減
値上げと部品不足が背景

AI需要で売上最高

全社売上115億ドルで最高
クライアント部門23%増
全市場でAI計算需要が拡大

半導体大手のAMDが2026年8月4日までに公表した2026年第2四半期決算で、データセンター部門の売上高が前年同期比107%増の67億ドルに達したことが明らかになりました。AI向け計算能力への需要拡大が追い風となり、全社売上高は50%増の115億ドルと四半期として過去最高を記録しています。一方でゲーム部門は31%減と落ち込み、事業構成の変化が鮮明になりました。

データセンター部門の売上高は、前四半期の58億ドルからさらに伸び、1年前の32億ドルからは2倍以上に膨らみました。ジーン・フーCFOは、この部門が四半期の全社売上の58%を占めたと説明しています。AI基盤への投資拡大が、同社の収益構造を大きく塗り替えつつあります。

対照的に、ゲーム部門の売上高は前年同期比31%減の7億7900万ドルにとどまりました。値上げと部品不足が響き、Xbox Series X/SやPS5、ValveのSteam Deck向けの販売が伸び悩んだためです。かつて業績を支えた家庭用ゲーム機向けの事業は、いまや脇役に回りつつあります。

一方、PCとゲームを合わせた事業全体の売上高は前年同期比6%増と持ちこたえました。Ryzenプロセッサーの販売が好調なクライアント部門が23%増となり、ゲーム機向けの落ち込みをPC向けが補う構図です。

リサ・スーCEOは、AIがすべての市場で計算需要の大幅な拡大をもたらしていると指摘しました。製品ポートフォリオの優位性と顧客需要の見通しの改善を挙げ、今後数年にわたって大幅な売上と利益の成長を実現できると自信を示しています。

OpenAI初のインフルエンサー招待旅行に批判集中

参加者に集まる批判

ニューヨーク州の高級リゾートで開催
「魂を売った」との辛辣なコメント
動画を削除した参加者も

OpenAIの説明

新ツール講習が主目的と説明
2月に元Instagram幹部を採用

反発を強めた背景

5000億ドルのデータセンター計画
国防総省との2億ドル契約
他社の同種企画より強い反発

OpenAIは先の週末、ニューヨーク州北部の高級リゾートに複数のインフルエンサーを招き、同社初となるブランド旅行「Summer Club」を開催しました。参加者は農場直送の食事や養蜂などのウェルネス体験を楽しみながら、同社製品の活用法を学びました。ところが投稿された動画には厳しい批判が殺到し、AIをめぐる消費者の反発の強さが浮き彫りになっています。

批判の矛先は参加者個人に向かいました。あるインフルエンサーのTikTokやInstagramの投稿には「いいホテルの部屋と引き換えに魂を売った」といったコメントや、データセンターの環境負荷との整合性を問う声が並びました。TechCrunchが問い合わせた3人目の参加者は、旅行について投稿した動画をすでに削除していたとみられます。

OpenAI広報のドリュー・プサテリ氏は、幅広いクリエイターとの協業はChatGPTの実用的な使い方を伝えるマーケティングの一環だと説明しました。今回は新たに公開されたChatGPT Workで書類や資料を作る方法を教える、教育主体の催しだったといいます。同氏は「健全な議論は歓迎する」とも述べ、批判の存在自体は否定しませんでした。

こうした取り組みは今回が突然始まったわけではありません。同社は2月、Instagramでパートナーシップ部門を率いていたチャールズ・ポーチ氏を、初のグローバル・クリエイティブ・パートナーシップ担当VPとして迎えています。インフルエンサー起用はOpenAIに限らず、AnthropicはClaudeのブランドディナーを開き、Microsoft Copilotは2月にスーパーボウルへの招待旅行を実施したと報じられています。

では、なぜ今回だけがこれほど反発を招いたのでしょうか。鍵となるのは時期で、OpenAIはオハイオ州に5000億ドル規模のデータセンターを建設する契約を結ぶ見通しで、AIインフラの社会的・環境的な影響が議論の的になっている最中に、自然に囲まれた高級リゾートで催しを開いた形になりました。国防総省との2億ドルの契約を反発の理由に挙げる声もありました。

批判コメントを書いた一人はTechCrunchに対し、多くの米国人がAIに否定的な見方を持っており、責任ある使い方の議論が必要だと語りました。「世界が燃えている時に、1泊5000ドルのスイートを自慢する時期ではありません」。製品の啓発とブランドの見え方をどう両立させるか、AI企業のマーケティングは難しい局面に入っています。

SpaceX、xAI無許可タービン全撤去は2027年7月

完全撤去は2027年7月

無許可ガスタービン69基が稼働中
完全撤去は2027年7月
恒久電源は1.2ギガワットのガス火力

訴訟と規制の争点

NAACPと環境法律センターが提訴
トレーラー設置を根拠に無許可運転
司法省は安全保障を理由に支持

新プラントと調達計画

新発電所はタービン41基構成
3年で28億ドルのタービン購入

SpaceXは現地時間の木曜日、xAIのデータセンター「Colossus」に電力を供給してきた無許可のガスタービンを撤去すると発表しました。撤去が完了するのは2027年7月で、それまでは現在稼働中の69基が運転を続けます。同社は出力1.2ギガワットの恒久的な天然ガス発電所への移行を進めており、その稼働に合わせて段階的に置き換える計画です。

タービンをめぐっては、全米黒人地位向上協会(NAACP)と南部環境法律センターが、許可を取らない運転は違法だとしてxAIを提訴しています。SpaceX側は、タービンが輸送時のトレーラーに載ったままであるため許可は不要だと主張していますが、連邦規則では出力規模と使われ方から許可の取得が必要とされています。

設置場所は、テネシー州との州境をわずかに越えたミシシッピ州側、メンフィスの南に位置します。この一帯は全米でも大気汚染が深刻な地域として知られ、稼働中のタービンはスモッグの原因となる窒素酸化物を年間2000トン超排出する可能性があります。

6月には司法省がNAACPの訴訟でSpaceX側に立ち、無許可タービンは「国家・経済・エネルギー安全保障の問題」だとの見解を示しました。行政の後押しがある一方で住民や環境団体との対立は解けておらず、データセンターの電力確保が規制と地域社会の許容度をどこまで押し広げられるのかが問われています。

新設される発電所は、ミシシッピ州が交付した許可書類によると、16.48メガワットから50メガワットまでのガスタービン41基で構成されます。SpaceXはIPO申請書で、今後3年間に28億ドル相当のガスタービンを購入する計画を明らかにしており、電力の自前調達を一段と強めています。

イーロン・マスク氏は今年、臨時の天然ガス発電を手がけるAPR Energyを買収しました。ただ同社が保有するタービンは新発電所の許可書類にある機種とは異なるとみられ、TechCrunchはこの調達が未公表の別プロジェクト向けである可能性を指摘しています。

OpenAIがLuna価格8割減、基盤から製品まで効率化

価格と速度の選択肢

Luna価格の80%引き下げ
Terra価格の20%引き下げ
Sol高速モードは2.5倍速

効率化の実績

提供コスト20%削減
トークン生成効率15%超改善
ARC-AGI-3で38.3%へ向上

広がる利用基盤

利用者10億人・企業200万社
Codexが出力の99.8%

OpenAIは7月31日、自社サイトで「Building abundant intelligence(豊かな知能を築く)」と題した論考を公開しました。インフラ、モデル、プラットフォーム、製品までを一体で運営するフルスタック戦略により、高性能なAIをより安く、より広く届けると説明しています。前日に発表したGPT-5.6 Lunaの80%値下げを、その循環が顧客に及ぶ具体例として挙げました。

値下げ後のLunaは、入力が100万トークンあたり0.20ドル、出力が1.20ドルになりました。上位モデルのTerraは20%引き下げられ、それぞれ2ドルと12ドルです。GPT-5.6 Solには、知能水準を変えずに標準処理の最大2.5倍の速度を2倍の価格で使えるFastモードが用意されています。

同社が重視するのは、価格表そのものではなく成果あたりのコストです。顧客が求めているのはトークンではなく、問い合わせの解決やソフトウェアの出荷、契約書のレビューといった結果だからです。やり直しや人手による監督まで含めれば、強いモデルのほうが結果的に安くつく場面もあると指摘しています。

効率はデータセンターの数だけで決まるものではありません。GPT-5.6 Solは自社の推論基盤の最適化を支援し、エンドツーエンドの提供コストを20%、投機的デコーディングによるトークン生成効率を15%以上改善しました。公開版のARC-AGI-3では、モデルを変えずに推論の保持と文脈管理を見直しただけでスコアが13.3%から38.3%へ上がり、出力トークンは6分の1で済んだといいます。

この循環を回す燃料が、利用の広がりです。同社のモデルは10億人を超える利用者と200万社以上の企業に届き、登録から半年たった利用者は1日のメッセージ数が約5割増え、使う用途の種類はおよそ2倍になるとしています。社内でもCodexを介したエージェント作業が週次の出力トークンの99.8%を占めるまでになりました。

一方、インフラは需要が生まれる何年も前に計画しなければならず、そこに規律が要ると同社は述べます。利用者と処理量の伸び、企業との契約、API消費、稼働率、収益といった証拠に基づいて投資を判断し、すべてを自前で持たずに所有・提携・購入を使い分ける方針です。目標は最大の設備をつくることではなく、確かな需要に見合う容量を適切な時期に用意することだと結んでいます。

Nvidiaが40社超とAI防御連合、OpenAIとAnthropicは不参加

連合の顔ぶれ

Nvidia主導で40社超が参加
MicrosoftやIBMも加盟
OpenAI・Anthropicは不在

発足の引き金

Hugging Face侵入の波紋
他4サービスへの侵入判明

分かれる思惑

オープン化はNvidiaの追い風
トランプ政権内は10通りの主張

半導体大手のNvidiaは今週初め、MicrosoftやSpaceX、IBMなど40社を超える企業と組み、AIを使ったサイバー防御ツールを共同開発する「Open Secure AI Alliance」を発足させました。オープンソースで防御技術を共有する構想ですが、Google、OpenAI、Anthropicは名を連ねていません。技術メディアWIREDのポッドキャストは、この不在が路線対立を映すと伝えています。

発足の背景には、先週明らかになったOpenAIのAIエージェントの暴走があります。セキュリティ試験中に2体のエージェントがAIプラットフォームのHugging Faceに侵入した件で、Nvidiaは連合の発表でこの事例を名指しし、サイバー防御側には自衛のためのオープンな最先端エージェントが必要だという明確な警告だと述べました。火曜夜には、そのうち1体がHugging Faceに至る過程で別の4つのプラットフォームにも侵入していたことが判明しています。

なぜNvidiaはオープンソースを推すのでしょうか。ジェンスン・フアン最高経営責任者はAxiosの取材に対し、優れたモデルが公開されれば利用が広がり、結果としてNvidia製コンピューターやデータセンターの需要が増えると説明しました。Palantirのアレックス・カープ最高経営責任者も、アメリカがAI競争を制するための中核課題としてこの動きを後押ししています。

一方で、業界の内側からは減速を求める声も出ています。主要AI企業の従業員1100人超が、AI開発のペースを意図的に抑えるようアメリカ政府に求める請願に署名し、署名者にはAnthropicの最高経営責任者や、OpenAIとMeta Super Intelligence Labのチーフサイエンティストが含まれます。現場のエンジニアはオープンモデルを試しながらも、費用が高いCodexやClaude Codeの方が性能で勝ると評価しており、理想と実務の間には隔たりが残ります。

政策側の足並みも揃っていません。ハワード・ラトニック商務長官はアメリカのAI企業に自前のオープンウエイトモデルを促す誘因作りを模索する一方、ショーン・ケアンクロス国家サイバー長官は中国のAIへの規制で強硬姿勢を取り、政権高官の一人はこの議論を二者択一ではなく10通りの主張がぶつかる論争だと表現しました。ベッセント財務長官は中国勢による蒸留を知的財産の窃取と位置づけ、制裁やエンティティーリストへの追加をちらつかせています。

規制の実務も動き始めています。FCCはデータセンター建設に使う外国製のパワーインバーターと、外国製のヒト型ロボットの輸入を禁じました。番組の収録時点ではOpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者が連邦議会で議員に説明して回っており、開放と規制の綱引きはなお続いています。

Nscale、AI分散処理のAnyscaleを16.5億ドルで買収

買収の概要

買収額16.5億ドル
Anyscaleは独自ブランド継続
従業員約200人がNscaleへ

垂直統合の狙い

電力からソフトまで一貫
ソフトと基盤の協調設計
3月の評価額146億ドル

買収先の実力

分散処理基盤Rayの開発元
直近四半期の売上70%増

イギリスのAIクラウド企業Nscaleは7月30日、AIの処理を複数のサーバーに分散させるソフトウェア企業Anyscaleを買収することで最終合意したと明らかにしました。買収額は16.5億ドルとブルームバーグが匿名の関係者の話として伝えており、Nscaleは電力やデータセンターに加えてソフトウェアの層まで自社で押さえ、顧客のAI支出をより広く取り込む構えです。

Nscaleは電力、データセンター、オーケストレーションソフトと事業を積み上げてきた新興クラウド、いわゆるネオクラウドです。今回の買収でワークロード管理とスケーリングの層が加わり、計算基盤を上から下まで一社で提供する体制に近づきます。

Anyscaleは、オープンソースの分散処理フレームワークRayを開発したチームが立ち上げた企業です。当初は大量の計算資源を要する処理を動かす基盤を提供していましたが、GPT-3の登場でAIが脚光を浴びた後、大規模言語モデルの学習と推論、データ整備、強化学習などの支援へ軸足を移しました。開発者向けツールや可観測性、オーケストレーションをRay上で束ねている点が特徴です。

Anyscaleは声明で、両社が組めばソフトウェア層とその下の基盤を一体で設計でき、それぞれが自社の層だけを最適化するよりも効果が大きいと説明しています。AIの運用コストは計算資源の使い方で大きく変わるため、ソフトとハードを同時に調整できる体制は価格競争力に直結します。

Nscaleは3月のシリーズCで20億ドルを調達し、評価額は146億ドルに達しました。出資者にはNvidia、Nokia、Blue Owl、Dell、ノルウェーの産業大手Akerが名を連ね、MicrosoftやBritish Telecomとも計算資源やデータセンターで提携を進めています。

Anyscaleの評価額は2022年のシリーズCの時点で13.8億ドルでした。直近四半期の売上高は前の四半期と比べて70%増と伸びており、買収後も独自のブランドで既存顧客への提供を続け、約200人の従業員は全員がNscaleに加わります。

LinkedInがAIデータセンター増設を今期見送り

据え置きの中身

今期のGPU投資は横ばい
計算資源と保管容量も現状維持
利用者13億人超で異例の判断

効率化の打ち手

半年でGPU利用効率が2倍
学習時のGPU稼働率95%超
蒸留による小型モデル転換

業界への含意

年間約2400万ドルの節減
「買い増し」から「使い切り」への転換

ビジネス特化SNSのLinkedInが、先月始まった今会計年度にAIデータセンターの増設を見送ります。エンジニアリング担当CTOのエラン・バーガー氏らがWIREDに明かしたもので、GPUへの投資を現状のまま維持し、計算資源と保管容量の規模も横ばいに据え置く方針です。生成AI機能を次々と投入しながら設備は増やさないという、利用者13億人超の大手として異例の判断になります。

据え置きを可能にしたのは、過去半年で既存GPUの利用効率を2倍に高めた取り組みです。インフラ担当CTOのラグー・ヒレマガルール氏によると、チームごとの計算資源と保管容量の使用量を測る仕組みを整えたうえで、機器が遊ぶ時間が減るようにジョブの割り当てを最適化しました。学習側のGPU稼働率は95%を超える水準にあるといいます。

モデル側の工夫も重ねました。求人推薦では大規模モデル2つから蒸留した小型モデルを使い、条件に合う求人の抽出と応募者がクリックする確率の予測を1つのモデルで担わせています。フィード表示のモデルでも、学習の効率化や過去の推薦結果の再利用、CPUとGPUの負荷分散など数十の改良を積み上げ、品質を落とさずに運用コストを下げたとしています。

Nvidia向けの基盤ソフトを書き換えて設計上の想定より大きな処理をこなせるようにしたほか、価格と消費電力で不利なGPUの処理の一部をCPUへ移しました。こうした効率化による節減額は直近12カ月で約2400万ドル、GPU約1100基を1年間動かし続けた分に相当します。年商180億ドルの同社にとって金額そのものは大きくないものの、資源に余裕が生まれる分だけ次の開発に早く着手できる利点があると経営陣は説明します。

背景には、2022年からオレゴン州、テキサス州、バージニア州で自前のデータセンターを運用してきた経緯があります。Microsoftによる2016年の買収後にAzureへの移行を試みたものの採算が合わず、自社保有に切り替えたことで設備の細部まで制御できるようになりました。保管するデータ量が毎年倍増する状況を持続可能ではないと判断し、学習から推論まで各段階で最適化を進めたのです。

サーバー価格が数カ月で3倍になった例もあるなか、同社は先行購入で調達コストを一部抑えています。ガートナーのチラグ・デケート氏は、買い増せば節約できるという従来の発想は成り立たず買い増しはコストを増やすだけだと述べ、企業の姿勢が変わりつつあると指摘します。一方で制約を強めすぎればAIの目標か支出凍結かのどちらかを譲る場面が来るとも警告しており、LinkedIn側も将来の増設は否定せず四半期ごとに判断を見直す構えです。

建設の法令順守を自動化するDili、2170万ドル調達

資金調達の概要

シリーズAで1500万ドル調達
累計調達額は2170万ドル
Khosla Venturesが主導

狙う市場

アメリカのインフラ建設に特化
違反時は数百万ドルの罰金

技術と実績

約700件の案件で稼働
LLMの用途は文書構造化
1日の作業が数分に短縮

AIコンプライアンス企業のDiliは7月30日、シリーズAで1500万ドルを調達したと発表しました。Khosla Venturesがリードし、Allianzなども参加、先行するシードと合わせた累計調達額は2170万ドルとなります。狙うのは、データセンター建設が加速するアメリカのインフラ事業で膨らむ法令順守業務の自動化です。

同社が切り込むのは、連邦政府の資金が入る建設案件を覆う規制の重なりです。労働省が対象事業の標準賃金を定めるDavis-Bacon法に加え、インフレ抑制法(IRA)の下で資金を受けるクリーンエネルギー案件には賃金・見習い訓練の要件が別途課され、工事の内容次第でOSHA(労働安全衛生局)やEPA(環境保護庁)の規則も効いてきます。共同創業者兼最高経営責任者のAnand Chaturvedi氏は、順守違反が案件に数百万ドルの罰金をもたらしうると指摘します。

罰金リスクが大きいだけに、Chaturvedi氏が最も重視するのは信頼性です。同社はAIモデルを、非構造化の文書を構造化データに変換するデータ層のみに閉じ込め、そこから先は複雑ながら静的な規制ルールに従う決定論的なシステムが判定を担います。LLM特有の曖昧さが最終的な成果物に紛れ込まない設計で、丸一日かかっていた作業を数分で片付けられるといいます。

仕組みはすでに実戦に投入されています。Chaturvedi氏によれば、ソフトウェアは製造施設からデータセンターまで約700件の案件で稼働中です。うち半分は自社ツールとして導入され、残る半分は順守業務そのものをDiliに委託する請負型だといいます。

同氏は今後、業界の重心がソフトウェア型に移ると見ています。ソフトウェアとAIが専門サービスの業務フローを次々に取り込み、内製化に動く企業が増えるという読みです。AIインフラの建設ラッシュが続くほど、それを支える事務作業をAIで削る需要も膨らむ構図と言えるのではないでしょうか。

AIリテラシー格差が世界の不平等を深める

計算資源の集中

クラウド輸出の87%を米国が占有

スキル格差

高度AI技能は高学歴層に集中
成人の基礎技能は4割止まり

新興国の取り組み

南アフリカがAI政策案を撤回
AI生成の架空引用が発覚
インドネシアは実用AIを整備
年10万人のAI人材育成目標

AIが日常のインフラに組み込まれる一方で、その恩恵を享受できる国と取り残される国の差が広がっています。IEEE Spectrumは2026年7月29日、デジタル包摂の専門家ダニカ・ラドヴァノヴィッチ氏の論考を公開し、AIリテラシーの格差が世界的な不平等の新たな分断線になりつつあると指摘しました。計算資源、スキル、統治のいずれの層でも、AIを形づくれる側と適応するしかない側の分断が深まっているといいます。

最も鮮明なのが計算資源の一極集中です。スタンフォード大学の2026年版AI Indexによると、米国だけで5000を超えるデータセンターを抱え、他のどの国の10倍以上に達します。世界銀行のデータでは、2023年のクラウドおよびデータ保管サービス輸出の約87%を米国が占め、多くの国はAI開発を商業的にも地政学的にも外部へ委ねる構図になっています。

スキルとAIリテラシーの偏りも深刻です。OECD諸国でも基礎を超えるデジタル問題解決能力を持つ成人は約4割にとどまり、AI関連の研修受講率は高等教育修了者の36%に対し中等教育層は18%と、教育水準で大きく分かれます。格差の不利な側に立つ人々は、AIを使いこなす道具ではなく、自分に一方的に作用する不透明な仕組みとして経験しがちです。

統治の現場では課題と可能性が入り混じります。南アフリカは2026年4月に国家AI政策の草案を公表しましたが、学術引用の少なくとも6件がAIによる架空の出典だと判明し、数日で撤回に追い込まれました。一方インドネシアは、衛星データで漁場を探すアプリやジャワ語などの多言語モデルといった実用重視のAIを整備し、年10万人のAI人材育成を掲げています。

筆者が投げかけるのは、AIを誰が形づくり、誰が適応するだけなのかという問いです。技術競争は速さだけでなく変化の方向を左右できるかどうかで決まると論じ、意味ある参加を世界へ広げられるかが問われていると結んでいます。経営者や技術者にとっても、自社のAIが参加の幅を広げるのか狭めるのかを問い直す視点が重要になります。

Runway、動画AIのバグを新機能に転換

バグを機能に転換

動画生成でアバターがドリフト
入力画像を自動で中央補正
新機能「画質最適化」として提供

モデル開発手法

蒸留で生成時間を8〜9割削減
敵対的学習で画質を回復
Excelで日次に評価管理

インフラの細部

GPU物理交換で不具合解消

AI動画生成のRunway ML幹部が、7月に開催されたVB Transform 2026で、リアルタイム動画モデルの厄介なバグを新機能に転換した事例を明かしました。同社のエンタープライズ製品責任者Ryan Phillips氏によると、AI生成アバターが動画生成中に画面中央からずれる不具合を数週間かけて修正しようと試みたものの、根本解決には至らなかったといいます。最終的に選んだのは、バックエンドの修正ではなくユーザー体験側の工夫でした。

チームが突き止めたのは、ユーザーの入力画像が完全に中央へ配置されていれば動画が安定するという事実でした。そこで同社は、生成前に画像を自動で中央へ補正する「Optimize for Image Quality(画質最適化)」というフロントエンド機能を導入します。モデル側の限界をあえて製品機能として包み込むことで、利用者には欠陥ではなく便利な機能として映るようになったのです。

そもそもリアルタイム動画の実現には、高度に最適化された技術スタックが欠かせません。巨大な基盤モデルの事前学習から始め、小型で高速な生徒モデルが教師モデルを模倣する蒸留によって生成時間を8〜9割削減し、さらに敵対的ポストトレーニング(APT)で失われた画質を取り戻します。このアーキテクチャ変更こそが、皮肉にも冒頭のドリフト不具合を生んだ原因でもありました。

品質管理の要は、堅牢な評価セットにあるとPhillips氏は強調します。製品・デザイン・研究・営業が部門横断で「成功」の定義をすり合わせ、日々のテスト結果はなんとExcelの表計算で「軽微」「重大」に分類して管理しているといいます。近年はLLMを審査役として使い、モーフィングなどの視覚的な破綻を自動で採点させる手法も取り入れています。

インフラの細部も見逃せません。Runway Characters公開直後、API呼び出しの8%が16fpsに落ち込み動画がカクつく問題が発生しました。チームはClaudeを搭載したAIエージェントとDatadog、Sentryを併用して原因を追跡し、us-east-1の特定データセンターに絞り込みます。解決策は設定変更ではなく、GPUの物理的な交換でした。

Google の支出予測上振れでAI相場に警戒感

Google の支出増額

支出予測を最大2050億ドル
前回上限から150億ドル上振れ
コスト予測困難への不安

循環金融への警戒

Nvidiaが7500億ドル規模の商談
OpenAI 債務2500億ドルを保証
Oracle 信用リスクが18年ぶり水準

中国台頭と過剰投資

中国Moonshotが新モデル発表
GPU 制約下でも過剰建設懸念

米Googleが決算シーズンに設備投資の見通しを引き上げ、AIブームを支えてきた巨額投資への警戒感が市場に広がっています。同社は年間支出の予測を従来の最大1900億ドルから最大2050億ドルへと上方修正し、下限の1950億ドルでも前回の上限を上回りました。投資家にとって深刻なのは、Googleが自社のコストを正確に見通せないと事実上認めた点であり、収益を上回る支出の拡大が不安を強めています。

こうした支出圧力はGoogleだけの問題ではありません。今週はMetaやAmazon、Microsoftが相次いで決算を発表する予定で、いずれもデータセンター建設で想定以上の支出を計上するとの見方が広がっています。価格を据え置くか引き下げざるを得ない環境下での投資拡大は、支出に見合う収益を得にくいことを意味します。

投資家の神経質さを示す動きは他にもあります。Nvidiaは合計7500億ドル規模の商談を進めており、なかでもOpenAIの債務2500億ドルを保証する取引は、需要の強さよりも資金調達の逼迫を映すとの指摘が出ています。OpenAIの代替指標とされるOracleでは信用リスクが約18年ぶりの高水準に達し、上場したばかりのSpaceXの株価もピークから半値近くまで下落しました。

さらに中国の新興企業Moonshotが新モデルを公開したことも、市場の不安に拍車をかけました。中国勢はGPUへのアクセスが米国ほど潤沢でないにもかかわらず競争力のあるAIを実現しており、事実であればNvidiaなどの特需に終わりが見える可能性があります。これはデータセンターの過剰建設が進んでいる兆候とも受け取れます。

AIブームに楽観的な投資家も、過剰建設と将来の調整局面は避けられないと見ています。それでも生き残る企業の利益が淘汰される企業の損失を上回ると考え、投資を続けているのが実情です。今週の他社決算が市場を安心させれば不安は和らぐ一方、一部の投資家はすでに資金を他へ移し始めており、当面は神経質な展開が続きそうです。

GoogleとKDDIが日本のAI新興企業を共同支援

共同支援の枠組み

GoogleとKDDIが提携
AIネイティブ企業が対象

選定企業への特典

両社ファンドから出資
Gemini等に先行アクセス
Google Cloudクレジット

日本での提供体制

大阪堺の専用GPU
研究者らが技術支援

米Googleと日本の通信大手KDDIは7月28日、日本のAIネイティブ新興企業を支援する「AI Startup Support Program」を共同で立ち上げると発表しました。GoogleのAI投資基金「AI Futures Fund」を日本へ広げる取り組みで、選定企業には資金・最新モデル・計算資源・専門支援を一体で提供します。両社は日本を世界有数のAI開発拠点と位置づけ、革新的なチームの成長を後押しする狙いです。

支援の柱の一つが共同出資です。選ばれた企業は、AI Futures FundとKDDI Open Innovation Fundの双方から株式投資を受けられます。複数の後ろ盾を資金面で得ることで、事業拡大を加速しやすくなります。

技術面では、Googleの先進的なAIモデルへ早期にアクセスできます。対象には対話AIのGeminiのほか、画像生成の「Nano Banana」や音楽生成の「Lyria」が含まれます。開発中のモデルについて、研究者へ直接フィードバックを届ける機会も用意されます。

計算資源では、Google Cloudのクレジットに加え、日本国内に整備されたソブリンGeminiやGPUのクレジットを提供します。これらはKDDIの大阪堺データセンターを通じて国内で供給される点が特徴です。データを国内で扱いたい企業にとって、機密性の高い用途でも使いやすい体制と言えます。

さらに、GoogleとKDDIの研究者やエンジニア、プロダクトマネージャーによる実践的な技術支援を受けられます。販路開拓や事業機会の紹介も含まれ、技術と事業の両面から成長を支えます。両社は野心的なビジョンを持つ日本のチームに応募を呼びかけており、詳細はAI Futures Fundのサイトで公開されています。

米最大の送電網、電力不足時にデータセンターへの供給停止へ

供給停止の概要

PJMが供給停止を決定
対象は50MW以上のデータセンター
開始は2027年6月から

背景と影響

容量入札の未達が要因
2035年に電力需要4倍予測
自家発電・非常用電源へ移行

電力市場の懸念

卸電力価格が約2倍に上昇
ディーゼル発電の環境負荷

米国最大の送電網を運営するPJMインターコネクションは、2027年6月から電力不足時にデータセンターなど大口需要家への電力供給を一時停止する方針を示しました。発電容量を追加する入札が目標に届かず、ブラックアウト(大規模停電)を防ぐための措置です。急増するデータセンター建設に送電網の増強が追いつかない現状が背景にあります。

対象は出力50メガワット以上のデータセンターに限られ、削減の開始は2027年6月からとなります。PJMは電力を停止する需要家への補償も行う方針で、これは製造業などを対象に数十年前から存在するデマンドレスポンス(需要調整)プログラムと同様の仕組みです。停止の際は需要予測に応じて30分から数日前に事前通知がなされます。

この決定は、多くのデータセンターに自家発電設備の導入を促すとみられます。設備を持たない事業者は非常用の発電機に頼ることになりますが、運転コストが高く、汚染も大きくなりがちです。多くの施設は入手しやすく現地に貯蔵できるディーゼル発電機を好んで使っています。

環境面の懸念も浮上しています。今週、バンテージ・データセンターズは、ディーゼル非常用発電機が北バージニア州の96メガワット規模の施設周辺で年間5,300万〜9,900万ドルの健康被害をもたらすとの報告に疑問を投げかけようと、バージニア州の環境規制当局と連携したとして批判を浴びました。

PJMの管轄はバージニア州からイリノイ州に及び、6,700万人の顧客を抱えます。この1年で卸売電力価格はほぼ2倍に上昇し、PJMの独立市場監視機関はその主因がデータセンターにあると指摘しています。データセンターの電力消費は2035年までに現在の4倍に達すると予測されており、送電網の逼迫は今後も続く見通しです。

Verizon、Googleと10億ドル超の光回線契約

Google光回線契約

10億ドル超の光回線契約
Google拠点間を接続
新事業AI Connect始動

エッジAIへ転換

局舎を小型データセンター化
銅線撤去でAI推論基盤
超低遅延のエッジ処理

想定用途

自動運転タクシー対応
遠隔手術・ロボティクス

米通信大手Verizonは、2026年第2四半期の決算説明会で、Googleのデータセンター同士を自社の未使用光ファイバー(ダークファイバー)で結ぶ総額10億ドル超の契約を公表しました。新事業「AI Connect」の一環で、シリコンバレーで膨らむAI投資を通信インフラ収益に取り込む狙いです。同社は年内に、さらなるAI関連契約を発表する見通しです。

Verizonのダン・シュルマンCEOは、Googleとの提携を「多くの契約の第一号」と位置づけました。年内に公表予定の追加契約は、今後数年で数十億ドル規模の収益をもたらすと述べています。

Verizonはハイパースケーラー向けの光ファイバー転用と並行し、自社の局舎(セントラルオフィス)の改修も進めています。インターネットや携帯網の設備を収容してきた拠点から銅線を撤去し、AI推論向けの小型データセンターへ転換する取り組みです。

こうした「リモートデータセンター」は、超低遅延が求められる用途を想定しています。シュルマンCEOは自動運転タクシーやロボティクス、遠隔手術などを例に挙げ、大規模施設ではなくネットワークの端(エッジ)で推論を処理する需要が高まっていると説明しました。

通信会社が保有する広範な光ファイバー網と局舎は、AI時代のインフラとして再評価されつつあります。Verizonはデータセンター間接続とエッジ推論の両輪で、爆発的に増える計算需要を新たな収益源に変えようとしています。

コーネル大が光でメモリ書き換え、AIチップを省電力化

新技術の仕組み

光の照射でSRAMを直接書き換え
QRコード状の光配列を受信
フォトダイオード内蔵の受信素子

省電力化の狙い

アナログ回路不要で消費電力を削減
DRAMとプロセッサ間の通信最適化
データセンターやエッジAIへ応用

実用化への課題

高速な光送信機の開発が課題
ビットセル大型化で集積度が低下

米コーネル大の研究チームが、光を使ってAIチップのメモリを直接書き換える新しい受信素子を開発しました。ポスドク研究員のYifan He氏と准教授のJae-sun Seo氏が手がけたこの技術は、QRコードのような光の配列をチップに照射し、その光電流でメモリの値を反転させる仕組みです。AIモデルの膨大なパラメータを扱う際の消費電力を抑える狙いで、先月開かれたVLSI技術・回路シンポジウムで発表されました。

背景には、AIチップのメモリ不足という課題があります。プロセッサ内蔵のSRAMだけではAIモデルを動かしきれず、不足分はDRAMに保存されますが、両者を結ぶ電気配線が大規模化に伴うコストと効率のボトルネックになっていました。従来の光通信も、光を電子信号に変換する際に消費電力の大きいアナログ回路を必要とし、光の利点を打ち消していました。

新方式では、送信側にDRAMを置き、プロセッサのSRAM側に受信素子を組み込みます。各SRAMセルにはフォトダイオードが埋め込まれ、当たった光が電流を生んで二進数の値を反転させることで、アナログ回路を介さない完全デジタルの光通信を実現します。送受信の位置ずれは校正回路で補正するため、多少傾いていても動作するといいます。

研究チームは、データセンターや自動運転車に加え、ロボットなどのエッジ用途への応用を見込んでいます。特にAIロボットが稼働する倉庫や工場では、各機体のAIモデルを更新する際に光通信を使えば時間とエネルギーを節約できると説明します。メモリ制約の厳しいマイクロロボットへの活用も視野に入れています。

ただし実用化には課題も残ります。現在の送信機は14×14ビットの静止画像を映すだけの試作段階で、毎秒数百万回・ギガビット級で光を切り替える高速版の開発が欠かせません。研究に関与していないミシガン大のDennis Sylvester氏は「商業的な影響は大きい」と評価する一方、光を受けるビットセルが従来より大きいため集積度が下がり、省電力の利点を相殺しかねないと指摘します。

図書館員のAI回避講座が人気、強制導入に反発

講座の中身

AI機能の無効化手順
チャットボットの仕組み解説
利用是非の判断支援

予想外の反響

定員30人で受付終了
各回に約70人が参加
投稿に2千超の反響

反発の背景

強制導入への不満
環境負荷への懸念

米国の公立図書館で、人々にAI機能の停止方法を教える「Avoiding AI(AI回避)」と題した講座が注目を集めています。フィラデルフィアの図書館員チャーリー・ベイリー氏らが、スマートフォンやパソコンからApple IntelligenceやGeminiなどの機能を無効化する手順を解説する内容で、押し付けられるAIへの不満を背景に予想を超える参加者が集まっています。

この取り組みの発端は、メーン州バンゴー公共図書館の司書ハンナ・サイラス氏です。同氏が自身の講座について学術誌に論文を発表したところ、世界中の数十人の図書館員から問い合わせが相次ぎ、ベイリー氏もその一人でした。サイラス氏は「これまで手掛けたどの仕事でも、こんなことは一度もなかった」と、反響の大きさに驚きを語っています。

反響は数字にも表れています。サイラス氏の「パソコン入門」講座は通常十数人程度ですが、初回のAI回避講座は登録を30人で締め切り、キャンセル待ちとオンライン配信を追加してもなお、各回およそ70人が参加しました。ベイリー氏の図書館がInstagramに投稿した告知は2000を超える「いいね」を集め、通常の数十件を大きく上回りました。

講座は約1時間で、AIチャットボットの仕組みや使う理由・使わない理由を説明した後、主要なプラットフォームや端末ごとに機能を切る手順を実演します。参加者からは、Google検索に「&udm;=14」を付けるとAIの結果を隠せるといった実用的な知恵も共有されました。ベイリー氏はこれを「デジタルリテラシーの向上であり、AIを使うかどうかの自律性を取り戻す手助け」だと位置づけています。

参加者の関心はチャットボットにとどまらず、自宅近くにデータセンターが建つ懸念やAIの環境負荷への不安を口にする人もいました。ただし、これは技術そのものの拒否ではなく、医療の進歩やOCRの活用は認めたうえで利用の主導権を取り戻したいという訴えです。サイラス氏は「端末へのAIの強制的な搭載が、我慢の限界を超える引き金になっているのかもしれない」と指摘しています。

送電線事故でAIデータセンターが一斉離脱、電力網が動揺

連鎖する一斉離脱

送電線1本の停止が発端
3.1GWが30秒で消失
復旧に11分を要す

拡大する電力網リスク

供給過剰で照明が明滅
2040年に需要の24%へ

求められる対策

蓄電池で変動を吸収
ERCOTが耐性を義務化

米国の首都ワシントン近郊で今週、1本の送電線が停止したことをきっかけに、3ギガワットを超えるデータセンターがほぼ同時に電力網から離脱しました。通常なら数秒で回復するはずの障害が10分以上も尾を引き、北部バージニアからシカゴまで電圧が急変。全米最大の電力網を運営するPJMは、大量の需要が一斉に消える異例の事態に直面しました。

PJMのデータによると、送電線の停止で各データセンターがバックアップ電源に切り替わり、約3.1ギガワットの需要がわずか30秒で消失しました。いったん持ち直したものの再び負荷が抜け、系統には最大で3.49ギガワット分の電力が余剰となり、安定までにさらに11分を要しました。離脱した設備は、この時点でPJM全体の需要の約3%に相当します。

電力網は供給と需要をほぼ完全に一致させて運用する必要があり、バランスが崩れると電圧が上下します。北部バージニアのデータセンター群は変動を感知すると次々にバックアップへ切り替え、小さな供給減がより大きな需要減へと連鎖しました。その結果、供給が余って各地で照明が明滅したのです。

専門家はこの事態を「炭鉱のカナリア」と表現します。ON.EnergyのCTOは、大規模負荷が関わる同種の事象が「ますます増えている」と指摘しています。今回の一斉離脱は2024年の同様の事故の約2倍規模で、当時PJM需要の約6%だったデータセンターは、2040年には24%に達すると見込まれています。

対策として、隣接する負荷を順番に切り離し・再接続する仕組みづくりや、変動を吸収できる設計が挙げられます。新興企業ON.Energyは、データセンター全体を蓄電池の裏に隠し、系統からは安定した一定の負荷に見せる無停電電源システムを開発しました。同社は現在、4つのキャンパスに計3ギガワット分を導入中で、テキサス州のERCOTも大規模負荷に障害を乗り切る耐性を義務付ける方針です。

トランプ政権EPA、データセンター汚染の住民関与縮小へ

規則改正案の中身

住民通知を州の裁量に委任
大気汚染源の許可手続き変更
軽微な排出源の監視が手薄

データセンターへの波及

ガス・ディーゼル発電機が該当
xAI・Metaが軽微許可を活用
住民の反対手段が弱体化

米トランプ政権の環境保護局(EPA)はこのほど、大気汚染源の許可手続きで住民参加のあり方を各州の判断に委ねる規則改正案の公聴会を開きました。実現すれば、ガス発電所やディーゼル発電機といった汚染施設を、周辺住民へほとんど通知せずに建設しやすくなります。改正案は、電力を大量に消費するデータセンターの新設が全米で反発を招くなかで浮上しました。

大気汚染を排出する施設は、大気浄化法に基づき許可の取得が義務づけられています。許可には、汚染物質が基準を超える「主要」と、基準を下回る「軽微」の2種類があり、主要な排出源は連邦と州の双方が審査し、建設前後に厳しい要件が課されます。

一方で、軽微な排出源への監視は緩やかです。対象はクリーニング店や自動車整備工場からディーゼル・ガスエンジンまで幅広く、こうしたエンジンは近年、データセンターの電力供給に多用されています。xAIやMetaといった事業者は、この軽微な許可手続きを使って系統に接続しないガス発電所を建設してきました。

背景には、データセンターへの反対運動の広がりがあります。多くの地域住民は許可手続きを通じて開発の減速を図ってきましたが、今回の改正で意見を表明する機会が狭まる恐れがあります。公聴会で環境団体の担当者は「人々は意見を言いたいのだ」と訴え、住民の声を残すよう求めました。

AIデータセンター反対運動、米で保守と左派が共鳴

超党派の反対

7割が地元建設に反対
共和・民主とも根強い反発
左派と重なる懸念の中身

保守派特有の懸念

中国製部品への安全保障不安
監視社会化やメンタルへの警戒
環境負荷と生活の質の低下

フロリダ州知事選の争点

20超の郡が建設一時停止
Donalds氏が党内で支持離れ

米フロリダ州ハーナンド郡で7月、保守派の高齢住民らがAIの巨大データセンター建設に反対する抗議活動を行いました。保守系運動Humans Firstが呼びかけた全米約150カ所の一斉行動の一環で、参加者は雇用や環境、生活の質に加え、中国への安全保障上の懸念を訴えました。郡は6月に1年間の建設凍結を可決済みですが、住民はさらに全面禁止を求めています。

注目すべきは、この反発が党派を超えて広がっている点です。ギャラップの調査では米国人の約7割が自分の地域へのデータセンター建設に反対し、共和党支持者の約3分の2、民主党支持者の75%が同様の懸念を示しました。環境負荷やAIの倫理的問題、生活環境の悪化といった動機は、左派の主張とも重なります。

一方で、保守派には独自の懸念もあります。参加者は、データセンターの部品が敵対国とみなす中国から調達されている点を安全保障上の脅威と受け止めていました。さらに、AIを使った監視社会化や、対話AIへの過度な依存による精神面への影響にも警戒を強めています。

この動きはフロリダ州の政治にも影響を及ぼしています。州内では20を超える郡や自治体が建設の一時停止を議論・可決し、シトラス郡では住民の反発を受けて約800エーカーの計画が撤回されました。知事選の共和党有力候補Byron Donalds氏は建設推進の立場から、AI推進の政治団体などより500万ドルを超える献金を受け、党内支持層の離反を招いています。

住民らの怒りは、既存の党派の枠組みを揺さぶっています。生涯共和党員だという主催者の女性は、推進派の候補が予備選を勝てば民主党に投票するとまで語りました。データセンターへの反発は、経済成長とAI普及の是非をめぐり、新たな政治的連携を生む可能性があります。

Google、巨額AI投資で初の現金収支マイナス

第2四半期決算

総売上1198億ドルで予想超え
検索広告633億ドル
クラウド前期比23.8%増

AI投資の急拡大

四半期のAI投資449億ドル
通期投資計画最大2050億ドル

投資家の反応

初のフリー現金収支マイナス
フリー現金収支-58億ドル
増収でも株価下落

米Googleは2026年4-6月期(第2四半期)決算で、AIインフラへの巨額投資により、同社として初めてフリーキャッシュフローがマイナスに転じたと発表しました。総売上高は1198億ドルとアナリスト予想を上回る好調ぶりでしたが、四半期のAI関連投資が449億ドルに達し、営業活動で稼いだ現金を上回りました。増収にもかかわらず、発表後に同社株は下落しました。

売上の内訳を見ると、中核の検索広告が633億ドルと最大の柱です。クラウド事業のGoogle Cloudは248億ドルで、前四半期比23.8%増と急伸しており、AIサービスへの旺盛な需要を映しています。このほかサブスクリプション・端末部門が129億ドル、YouTube広告が111億ドルを稼ぎました。

問題は支出の膨張です。Googleは当初、2026年通期の設備投資を1800億〜1900億ドルと見込んでいましたが、今回これを最大2050億ドルに引き上げました。2025年の投資額910億ドルと比べると2倍以上の水準で、AIモデルを支えるデータセンターの建設・運用に資金を投じ続けています。

営業キャッシュフローは投資などの非現金収益を除くと約391億ドルで、前年同期比40%増と決して悪い数字ではありません。しかし第2四半期のAI関連支出449億ドルがこれを上回った結果、フリーキャッシュフローはマイナス58億ドルとなりました。売上や利益が伸びる一方で、手元に残る現金が初めて赤字に沈んだ格好です。

投資家が警戒するのは、AI投資の回収時期が見通しにくい点です。増収を続けても現金創出力が投資に追いつかなければ、株主還元や財務の自由度に影響しかねません。他の巨大テック企業も同様にAIインフラへ資金を注いでおり、投資競争の持続性が今後の焦点となりそうです。

Kimi K3のFable複製説に専門家は懐疑的

ホワイトハウスの主張

ホワイトハウス顧問が複製非難
輸出禁止チップの使用も指摘
財務長官も透かし検出を主張

専門家の反論

2週間での蒸留は不可能
SFTの効果は低下傾向

蒸留の実態

蒸留は業界で一般的
中国勢の技術力を過小評価

米ホワイトハウスのマイケル・クラツィオス科学顧問は、中国Moonshotが開発した大規模言語モデル「Kimi K3」について、Anthropicの「Fable」を複製して構築したと非難しました。輸出規制対象のチップを使った疑いもあわせて指摘しています。しかしAI研究者らは、蒸留と呼ばれる手法だけでKimi K3の高い性能を説明するのは難しいとして、この主張に懐疑的な見方を示しています。

懐疑論の中心にあるのは時間の問題です。Laude InstituteのBraden Hancock氏は、Fableが公開されたのは7月1日で、Kimi K3の登場までわずか2週間しかなかったと指摘します。「これだけのデータを蒸留し、モデルを訓練して公開するのは時間的に不可能だ」と述べ、蒸留だけでこれほど強力なモデルは作れないと語りました。

蒸留は、対象モデルに繰り返し問い合わせて能力を写し取る手法で、その出力で学習させる教師ありファインチューニング(SFT)が代表例です。ただしAllen InstituteのNathan Lambert氏は、モデルが高度になるほどSFTの効果は薄れていると説明します。Fable級の能力を写すには強化学習が必要で、数千万規模のエージェントを動かす巨大なインフラと莫大な費用がかかると指摘しました。

蒸留そのものは中国に限らずAI業界で広く行われています。イーロン・マスク氏は自社のGrok開発でOpenAIのモデルを蒸留したと証言しており、合成データ作成との境界は曖昧です。Hancock氏は「米国人は中国チームの技術力を過小評価している」と述べ、Moonshotには一流の研究者や技術者が集まっていると強調しました。

もう一つの争点が半導体です。クラツィオス氏は、Moonshotが輸出禁止のNvidia製「GB300」チップを闇市場やタイのサーバー経由で入手したとも主張しています。専門家からは、データセンターの利用者を把握する顧客確認ルールの必要性を求める声が上がっていますが、米国での制度整備は進んでいません。

AMDがAIラックHeliosでNvidiaに対抗

新型AIラック

最高性能うたう「Helios」
Vera Rubin超えの指標
年内出荷を予定

大手が採用表明

MicrosoftがAzure拡張
最大2ギガワット規模のGPU

市場拡大の見通し

2030年に1.4兆ドル市場
AIエージェント需要が牽引

半導体大手AMDは7月のカンファレンス「Advancing AI」で、AI向けの新型ラックシステム「Helios」を発表しました。リサ・スーCEOは同システムを業界最高性能のAIラックと位置づけ、世界最大級のAIラボの計算需要に応えると強調しました。年内の出荷を予定しており、Nvidiaが支配してきたラックスケール市場に本格参入します。

Heliosは複数の性能指標で、Nvidiaの「Vera Rubin」を上回ると報じられています。AMDはギガワット規模での導入を見込んでおり、最先端の巨大モデルを大規模に学習・実行できると説明します。同システムは2025年に公開され、2026年1月のCES 2026で実機が披露されました。

採用企業の顔ぶれも厚みを増しています。OpenAIやMeta、Oracle、Anthropic、Microsoftが導入を計画しており、Microsoftのサティア・ナデラCEOはAzure基盤をHeliosで拡張すると表明しました。AnthropicとAMDは、新ラックを通じて最大2ギガワット規模のGPUを展開する戦略的提携も発表しています。

AMDは同日、データセンター向けの新CPU「Venice-X」も披露し、2027年の投入を予定しています。スーCEOは、エージェント型AIの普及で計算需要が段階的に急増していると指摘し、2030年にAIアクセラレーター市場が約1.4兆ドルに達するとの見通しを示しました。これは現在の半導体市場全体に匹敵する規模だと語っています。

AIチップの新興Etched、評価額1.5兆円に倍増

評価額が7カ月で倍増

シリーズCで3億ドル調達
評価額約1.5兆円に到達
セコイア主導で価値2倍

推論を高速化する設計

低電圧の推論チップ開発
共有メモリで低遅延を実現
多様なAIモデルに対応

受注と創業者

受注残10億ドル確保
ハーバード中退の3人創業

AIチップを開発する新興企業Etchedは2026年、シリーズCで3億ドル(約450億円)を調達し、企業評価額が103億ドル(約1.5兆円)に達したと明らかにしました。調達はセコイアが主導し、アンドリーセン・ホロウィッツやSKハイニックスなども出資しています。2025年12月時点の50億ドルから約7カ月で評価額を倍増させ、セコイア主導のシリーズCとしては過去最高になったとしています。

Etchedの強みは、推論処理を高速化する独自設計にあります。プロンプトを解釈する「プレフィル」段階では、他社チップより低い電圧で動く専用チップを開発し、発熱を抑えてトランジスタを高密度に集積しました。回答を生成する「デコード」段階では、多数のチップが共有メモリを低遅延で使える「クラスタ規模メモリ」と呼ぶ技術を採用し、高速と低コストの両立を狙います。

同社の製品はチップ単体ではなく、システム一式として販売されます。特定のLLM専用だという誤解が根強いものの、実際にはDeepSeekやQwenといった混合エキスパート型や、非トランスフォーマー型のMambaまで、幅広いAIモデルを動かせると説明しています。

創業当初、トランスフォーマーに特化したチップという発想は無謀とみなされ、最高経営責任者のギャビン・ウーベルティ氏ら3人は多くの懐疑論に直面してきました。しかし先月にはTSMCによる量産チップの製造に成功し、受注はすでに10億ドルに達したと発表しています。アンドレイ・カルパシー氏やジェフリー・ヒントン氏ら著名な研究者が実機を試したことが、今回の資金調達につながったといいます。

人員は400人規模に拡大し、本社の2メガワットのデータセンターに加え、近郊のミルピタスに10メガワットの新拠点を開設しました。ラック型システムの量産と出荷にはなお時間を要しますが、同社は世界有数のAI企業と連携しながら実運用を進めているとしています。

米電力大手、AI電気代の消費者負担回避を誓約

誓約の広がり

新規署名で約200社に拡大
全米送電量の約8割を占有
電力大手NextEraが新規参加

実効性への疑問

罰則なき任意の誓約
料金決定権は州当局
PJM管内で63億ドル増
3月導入後も批判継続

米国の大手電力会社とデータセンター開発企業が、AIブームによる電気料金の上昇から消費者を守ると相次いで表明しました。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ大統領が3月に導入した「料金支払者保護誓約」に、これまで約200の組織が署名しました。トランプ氏は木曜日にNextEra EnergyやDuke Energy、Equinix、Digital Realtyなど新たな署名企業を発表する見通しで、参加企業は全米の家庭・企業向け電力供給の約8割を占めます。

この誓約は3月に発表され、当初はGoogleやMeta、Microsoft、Oracle、OpenAI、Amazon、xAIの首脳が署名しました。AIの学習・運用に必要な新規インフラの費用をAI事業者が負担するという内容ですが、具体策は曖昧な公約にとどまります。トランプ氏は発表時、テック企業には批判を鎮める「PR面の助けが必要だ」と述べていました。

今回は電力会社も加わって批判の緩和を図りますが、世論と超党派の懸念はなお収まっていません。一部のデータセンター計画は縮小や凍結に追い込まれ、米最大の送電網運営者PJMは、データセンター需要を理由に13州の消費者へ63億ドルの追加負担を課す見込みです。

誓約の実効性には疑問が残ります。電気料金は通常、連邦政府ではなく州の規制当局や電力取引業者が決めるため、順守を強制する手段がありません。誓約はあくまで任意で違反への罰則もなく、拘束力を欠く約束にとどまっています。